家賃を滞納すると、ブラックリストに載ってしまうのではないかと不安を感じている方も多いでしょう。
信用情報に問題が生じると、今後の賃貸契約やローンの審査にも悪影響を及ぼします。
しかし、どのような条件でブラックリストに載るのか、そしてその情報が何年で消えるのかについて正しく理解している人は少ないかもしれません。
この記事では、家賃滞納・ブラックリストに載った場合の影響や、ブラックリストに載らないための対策を詳しく解説します。
正しい知識が得られれば、将来のリスクを回避し、安心して生活を送るための方法が考えられるでしょう。
「家賃やクレジットカードを滞納するとブラックリストに載る」と言われますが、実際にはブラックリストと言うリストは存在しません。
家賃を滞納するとどうなるのでしょうか、ここではブラックリストの正体と家賃を滞納してしまった後の流れについて解説します。
信用情報機関に事故情報が載っている状態を「ブラックリストに載っている」と言います。
信用情報機関とは、加盟する金融会社から登録されるローンやクレジットに関する信用情報を管理・提供する機関です。
金融会社にローンやクレジットの利用申し込んだ際、金融会社は申込者の過去の信用情報を照会し、融資の審査を行います。
ローン支払いの延滞、債務整理、保証会社の代位弁済などの金融事故は信用情報機関に登録され、融資の審査に影響します。
家賃とローンには関係が無さそうですが、信販系とLICC(全国賃貸保証業協会)の保証会社は信用情報を共有しています。
近年、賃貸住宅の入居に連帯保証人を立てるケースが減り、賃貸保証会社が家賃保証を行う物件が増えています。
賃貸保証会社は家賃が滞った場合に、入居者に代わって家賃を大家さんに立て替えて支払います。
賃貸保証会社を利用する場合、入居者は賃貸保証会社に家賃の0.5~1カ月分の家賃保証料を支払います。
また、2年目以降は年1~2万円の保証料が必要です。
賃貸保証会社には3種類あり、クレジットカード会社などの信販系、全国賃貸保証業協会のLICC系、それ以外の独立系です。
信販系・LICC系の賃貸保証会社は信用情報を共有しており、家賃滞納があれば事故情報として登録されてしまいます。
独立系は信用情報を共有していないため、信販系やLICC系の賃貸保証会社に事故情報が載っていても、審査に影響がありません。
独立系の賃貸保証会社は独自の審査基準を持っているため、他の賃貸保証会社よりも審査の難易度が低い傾向にあります。
しかし、賃貸保証会社は管理会社や大家さんが決めるため、入居者が指定できません。
信用情報に不安のある方は、物件を探す際、独立系の保証会社を希望する旨を仲介会社に伝えると良いでしょう。
家賃をどのくらい滞納したらブラックリストに載るのでしょうか。
2カ月以上の滞納でブラックリストに載ると言われていますが、実際の登録条件は公表されていません。
家賃をクレジットカード払いにして滞納した場合は、クレジットカードの滞納としてブラックリストに登録されてしまいます。
ブラックリスト(信用情報)の登録情報は、一般的に5~10年で抹消されます。
事故情報は抹消されますが、クレジットカードの利用実績がない空白期間が生まれるため、その後も影響が残るかもしれません。
また、信用情報機関の情報は時間が経てば消えますが、自社の顧客情報は抹消されません。
そのため、一度事故を起こした保証会社は何年経っても審査が通らない場合があります(社内ブラックと言います)。
ブラックリストに載るデメリットは次のとおりです。
ブラックリストに載ると保証会社の審査が通りにくくなるため、借りられる賃貸物件の選択肢が減ってしまいます。
しかし絶対に審査に落ちるわけではないため、独立系保証会社の賃貸物件や、保証会社が不要のUR賃貸住宅を選ぶ方法もあります。
ブラックリストに載ると、お金を借りにくくなります。
ローンや借入れに関する信用情報機関は3つ(JICC、CIC、全国銀行協会)です。
信用情報機関はお互いに情報共有しているため、どこかに事故情報が登録されると他の系列の審査にも影響します。
クレジットカード(信販系)だけでなく、銀行のカードローン、消費者金融のカードローンの審査は厳しくなるでしょう。
ブラックリストに載ると、住宅ローンなどのローンが組みにくくなります。
土地購入、建物建築のための住宅ローンは高額の借入れのため、審査はかなり厳しいといえます。
スマホの分割払いも信用情報を確認する場合があり、ブラックリストに載っていると分割払いができない恐れがあります。
ブラックリストへの掲載を避ける方法はいくつかあります。
家賃の支払いが難しい場合は、滞納する前に管理会社や大家さんに事情を説明して、支払い日の相談をします。
どうしても家賃が支払えないと分かった時点で、支払えない事情を管理会社や大家さんに説明するべきでしょう。
事前に連絡をしても家賃滞納の事実は変わらず、賃貸保証会社が代位弁済されても仕方ありません。
しかし、黙っていると管理会社や大家さんの心証が悪くなってしまいます。
家賃の支払いは契約時の大切な約束事のため、借主として誠意を見せる必要があります。
近日中に支払える場合には、「○○日には支払います」と、支払う意思を伝えます。
管理会社や大家さんも、遅れるとはいえ、支払い予定を伝えてもらえれば安心するでしょう。
事前に相談すれば賃貸保証会社への連絡を待ってくれるかもしれません。
一時的にお金が足りないのであれば、家族や金融機関でお金を借りて支払う方法もあります。
家族や親族が連帯保証人になっている場合は、結局その人に請求が回ってしまうため、相談してみましょう。
連帯保証人になってもらえる関係であれば、助けてくれるかもしれません。
銀行やクレジットカードのキャッシングなどでお金を借りて家賃を支払う方法もあります。
しかし、結局は返済しなければならないため、根本的な解決にはならないでしょう。
家賃滞納の理由が2年以内の離職や廃業の場合は、住居確保給付金という公的扶助を利用できるかもしれません。
条件に該当する可能性があれば、自治体の窓口で相談してみましょう。
ブラックリストに載らないためには、家賃滞納しない状態にする必要があります。
もしも定期収入があるのに毎月の支払いに苦しんでいるのであれば、自転車操業を脱却する方法を考えましょう。
今はオンラインでの作業や、宅配といった様々な副業があります。
時間や場所の制約が少ないものであれば、忙しい会社員の方でも副業で収入を増やせるでしょう。
家計簿をつけるなどして、余分な出費を減らして、家計の健全化を図るのも良いでしょう。
既に多額の借金があり、家賃だけでなく毎月の返済にも苦慮している場合は、最終手段として債務整理をおすすめします。
債務整理を弁護士に依頼すれば一時的に借金の督促が止まり、残債務の分割支払いや将来利息の減額交渉をしてくれます。
過払い金があれば借金が無くなるだけでなくお金が戻ってくるケースもあるでしょう。
債務整理すると過払い金がない限りは信用情報に登録されてしまいますが、家賃の滞納が続くといずれは登録されてしまいます。
債務整理をして少なくとも現在の住まいの家賃を支払っていれば、ブラックリストに載ったからと追い出されはしないでしょう。
もしも家賃だけでなく、借金で苦しい場合には弁護士へ相談してみましょう。
家賃滞納すると、賃貸保証会社を使っている場合にはブラックリストに載ってしまい、将来の生活や住宅ローンに大きな影響を与えます。
家賃が支払えない場合は早めに管理会社に相談した上で、家族や金融機関、公的支援を活用して支払いましょう。
借金でどうしても家賃が支払えない場合は、ブラックリストに載ってしまいますが債務整理を検討して生活の立て直しを図りましょう。
家賃滞納、債務整理で困っている場合には弁護士などの専門家に相談してみましょう。