

東京弁護士会所属。新潟県上越市出身。
建物の取り壊しや土地売却などに伴う立ち退き問題は、生活基盤や事業拠点に関わる重大な局面であり、金銭面だけでなく精神的にも大きな負担となります。
適正な立ち退き料を算出・獲得するためには、法律の知識はもちろん、不動産価値の評価や移転に伴う経済的損失を正確に把握する視点が欠かせません。 私は証券会社や金融機関での10年以上の実務経験を活かし、客観的なデータに基づいた説得力のある交渉を行うことを得意としています。 依頼者様の不安に寄り添い、経済的・心理的に最善の結果を得られるよう尽力いたします。まずはお気軽にご相談ください。
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目次
借地権とは、建物を所有することを目的として、他人の土地を借りる権利をいいます。借地借家法では、借地権を「建物の所有を目的とする地上権」または「土地の賃借権」と定めています(借地借家法2条1号)。
実務上は、土地の賃貸借契約を結んで土地を借りているケースが多く、一般に「借地権」という場合も、土地の賃借権を指すことが多いです。もっとも、地上権と賃借権では権利の内容や譲渡の扱いなどが異なるため、自分がどのような借地権を持っているのかを確認することが、売却を検討するうえで重要です。
借地権の売却相場は一律ではなく、普通借地権・定期借地権などの種類や具体的な契約内容によって変わります。「借地権なら更地価格の○%で売却できる」と単純に考えることはできません。
借地権の種類ごとの特徴と、売却価格・売却のしやすさへの影響は以下のとおりです。
| 借地権の種類 | 特徴 | 売却価格・売却のしやすさへの影響 |
|---|---|---|
| 旧法借地権 | 1992年7月31日以前に締結された借地契約に適用される旧借地法に基づく借地権。借地人の権利が比較的強く保護されており、契約更新によって長期間利用できるケースもあります。 | 定期借地権と比べると長期間利用できる可能性があるため、買主が見つかりやすい傾向があります。 |
| 普通借地権 | 契約期間が満了しても、一定の要件を満たせば更新できる借地権。長期にわたって土地を利用できる可能性があります。 | 安定した権利として評価されやすい一方、契約期間や地代、建物の状態、地主との関係などによって売却価格や買主のつきやすさが変わります。 |
| 定期借地権 | 原則として契約の更新がなく、契約期間が満了すると土地を返還する必要があります。 | 残存期間が短いほど買主が利用できる期間が限られるため、売却価格が低くなったり、売却しにくくなったりする傾向があります。特に残存期間が短い場合は、買主が住宅ローンを利用しにくくなることもあります。 |
自分の借地権がどの種類に該当するのか、残存期間がどの程度あるのかを確認したうえで、売却相場を判断することが大切です。
なお、借地権を売却するコツや流れ、トラブルへの対処法については、関連記事『借地権を売却するコツは?方法や相場など注意点を解説』で詳しく解説しています。
借地権の売却相場は、更地価格の50%~70%程度が一つの目安とされることがありますが、実際の売却価格は物件ごとに異なります。借地権の種類や契約内容、土地の立地、残存期間などによって評価が変わるため、相場はあくまで目安として考える必要があります。
借地権の売却価格は、更地価格だけで決まるわけではありません。主に以下のような事情によって変わります。
なかでも、借地権割合は売却相場を考えるうえで重要な指標です。借地権割合とは、土地の価格に占める借地権の割合をいい、国税庁が公表する路線価図などで確認できます(後述)。
ただし、借地権割合をそのまま売却価格に当てはめられるわけではありません。たとえば、残存期間が短い、地代が高い、建物が老朽化しているといった事情があれば、買い手から低く評価される可能性があります。
このように、同じ地域・同じ面積の借地権でも、契約条件などによって売却価格は異なります。相場はあくまで目安と考え、最終的な売却価格は個別の査定や交渉によって判断しましょう。
地主に借地権を買い取ってもらう場合、更地価格の50%~70%程度が一つの目安とされています。ただし、実際の売却価格は、どちらから買い取りを持ちかけたかによっても変わります。
借地人は高く売りたい一方、地主は安く買いたいため、両者の利害は一致しません。そのため、売却を持ちかける側によって交渉力が変わり、価格にも影響することがあります。
借地人から地主に買い取りを依頼する場合は、更地価格の50%程度が一つの目安とされることが多いです。地主にとって借地権を買い取る必要性が低ければ、価格交渉で地主側が優位になりやすいためです。
地主が買い取りに応じない場合は、第三者への売却を検討することになります。ただし、借地権が賃借権の場合、第三者へ売却するには原則として地主の承諾が必要となる(民法612条1項)ため、地主との関係が悪化しているケースでは、買い取りの打診方法そのものが重要になります。不用意に希望価格だけを伝えるのではなく、契約内容や借地権の評価を整理したうえで交渉することが大切です。
地主が土地を活用したいなどの理由で買い取りを申し出る場合は、更地価格の60%~70%程度が一つの目安です。地主側に土地を取得する必要性があるため、借地人から買い取りを依頼する場合よりも、価格交渉を有利に進められる可能性があります。
引っ越し費用や新居の取得費用などを考慮して、買い取り価格に一定額が上乗せされることもあります。実務では、単純な借地権価格だけでなく、立ち退きによって自分に生じる負担をどこまで補償してもらうかも重要な交渉ポイントになります。地主に買い取ってもらう場合は、第三者への売却で必要となる譲渡承諾料が基本的にかからない点もメリットです。
ただし、上記の50%~70%という数字はあくまで目安です。実際には、土地の立地や借地契約の内容、残存期間、建物の状態などを踏まえて個別に価格を判断する必要があります。地主から買い取りを持ちかけられた場合も、提示された金額をそのまま受け入れるのではなく、適正な価格かを確認してから合意することが重要です。
借地権を専門の買取業者などに売却する場合、更地価格の50%程度が一つの目安です。地主に買い取ってもらう場合と比べて価格が低くなることがありますが、買主を探す手間を抑え、比較的スピーディーに売却を進めやすい点がメリットです。
買取業者は、購入後の再販売を前提として、地主との交渉や建物の解体、再販売にかかる費用・時間、売却できないリスクなどを考慮して買取価格を提示します。そのため、買取業者から提示された金額が、そのまま借地権の適正な市場価格を示しているとは限りません。
特に、早く売却したいからといって、最初に提示された金額だけで判断するのは避けましょう。複数の買取業者から査定を受けて価格を比較し、なぜその金額になったのかまで確認することが重要です。
弁護士に相談すれば、買取業者から提示された価格だけでなく、借地契約の内容や地主との関係も踏まえて売却条件を確認できます。「早く売れるか」だけでなく「いくら手元に残るか」という視点で比較することが大切です。
一般的な普通借地権の評価額は、土地の評価額に借地権割合を掛けて算出します。ただし、実際の売却価格は契約内容や土地の条件などによって変わるため、計算結果はあくまで目安として考えましょう。
借地権の価格を算出するには、まず対象となる土地を更地として評価した場合の価格を把握します。土地の評価方法には、主に「路線価方式」と「倍率方式」があります。
| 評価方法 | 概要 | 計算方法 |
|---|---|---|
| 路線価方式 | 土地に面している道路に設定された路線価をもとに評価する方法です。土地の形状や角地などの条件に応じて、補正が必要になる場合があります。 | 路線価 × 土地面積 × 各種補正率 |
| 倍率方式 | 路線価が設定されていない地域で用いられる方法です。 | 固定資産税評価額 × 評価倍率 |
なお、路線価方式や倍率方式によって算出される土地の評価額は、相続税・贈与税などの財産評価に用いられるものであり、実際の売却価格や市場価格を示すものではありません。借地権の実際の売却価格は、土地の立地や形状、借地契約の内容、残存期間、地代など、さまざまな事情によって変わります。
土地の評価額を確認したら、次に対象となる土地の借地権割合を確認します。借地権割合は、国税庁の「財産評価基準書」に掲載されている路線価図などで確認できます。
路線価図では、「80F」のように数字とアルファベットを組み合わせて表示されています。数字は1㎡あたりの路線価、アルファベットは借地権割合を示しています。
| 記号 | 借地権割合 |
|---|---|
| A | 90% |
| B | 80% |
| C | 70% |
| D | 60% |
| E | 50% |
| F | 40% |
| G | 30% |
たとえば「80F」と表示されている場合、路線価は1㎡あたり8万円、借地権割合は40%です。路線価図の数字は千円単位で表示されるため、「80」は8万円を意味します。
土地の評価額と借地権割合が分かったら、「土地の評価額×借地権割合」で借地権の評価額の目安を算出します。
たとえば、「路線価:1㎡あたり10万円」「土地面積:150㎡」「借地権割合:70%」の場合、次のように計算します。
土地の評価額:10万円 × 150㎡ = 1,500万円
借地権の評価額:1,500万円 × 70% = 1,050万円
この場合、借地権の評価額は1,050万円が一つの目安となります。
ただし、ここで算出した金額が、そのまま実際の売却価格になるわけではありません。実際の売却価格は、土地の立地や建物の状態、借地契約の残存期間、地代、地主との関係などによって変わります。
そのため、計算結果はあくまで売却価格を検討する際の目安として利用し、実際に売却するときは、借地権・底地の取扱実績がある不動産会社などに査定を依頼することが重要です。
借地権を売却するときは、譲渡承諾料や解体費用、仲介手数料、印紙税、譲渡所得税などが発生する場合があります。売却価格がそのまま手元に残るわけではありません。
売却価格だけで判断すると、想定していた手取り額を下回ることもあるため、売却前に必要な費用を把握しておくことが大切です。
借地権のうち土地の賃借権を第三者へ譲渡する場合は、原則として地主の承諾が必要です(民法612条1項)。地主から譲渡の承諾を得る際には、「譲渡承諾料(名義書換料)」を求められることがあります。
譲渡承諾料は法律で一律に定められておらず、地主との協議によって決まります。実務上は、借地権価格の1割程度が一つの目安とされることが多く、たとえば借地権価格が1,500万円であれば、譲渡承諾料は150万円程度が目安となります。
注意したいのは、「多額の承諾料を支払えば、必ずスムーズに売却できる」というわけではない点です。地主との交渉や借地契約の内容によっては、譲渡の条件をめぐって協議が難航することもあります。売却を円滑に進めるためには、法的なルールや相場を把握したうえで、地主との交渉や手続きを慎重に進めることが重要です。
なお、地主が借地権を買い取る場合など、第三者への譲渡に当たらないケースでは、譲渡承諾料が発生しないのが一般的です。
借地権付き建物を売却する際、建物を解体して更地で引き渡す条件であれば、解体費用がかかります。解体費用は建物の構造や規模、立地、周辺環境などによって異なります。
木造住宅の場合、1坪あたり3万~5万円程度が一つの目安です。たとえば30坪の木造住宅なら、90万~150万円程度となります。
ただし、実際の費用は建物の状態や付帯設備、アスベスト(石綿)の有無・含有レベルなどによって変わります。解体が必要な場合は、売却を決める前に見積もりを取っておきましょう。
また、解体費用を誰が負担するのかによって、実質的な手取り額は変わります。売却価格だけで判断せず、解体費用の負担者や引き渡し条件まで含めて比較することが大切です。
不動産会社に仲介を依頼して第三者へ借地権を売却する場合、仲介手数料が発生します。一方、買取業者へ直接売却する場合や地主と直接売買する場合は、通常、仲介手数料はかかりません。
仲介手数料には法律上の上限があり、売買価格に応じて計算します。速算式は以下のとおりです。
| 売買価格 | 仲介手数料の上限 |
|---|---|
| 200万円以下 | 売買価格 × 5% + 消費税 |
| 200万円超400万円以下 | 売買価格 × 4% + 2万円 + 消費税 |
| 400万円超 | 売買価格 × 3% + 6万円 + 消費税 |
たとえば、借地権を2,000万円で売却する場合、仲介手数料の上限は「2,000万円 × 3% + 6万円 = 66万円(+税)」となります。
ただし、実際に売却する際は、仲介手数料の安さだけでなく、「どの不動産会社に依頼するか」も重要です。借地権の売却では、地主から譲渡の承諾を得るための交渉など、通常の不動産売買とは異なる対応が必要になるためです。
そのため、不動産会社を選ぶ際は、仲介手数料だけでなく、借地権の売却実績や地主との交渉経験なども確認しましょう。
印紙税とは、契約書など一定の課税文書を作成した際にかかる税金です。借地権を売却する際に売買契約書を作成すると、契約書の内容や記載金額に応じて印紙税がかかります。
借地権の売却では、借地権のみを譲渡するのか、借地権付き建物を売却するのかによって軽減措置(租税特別措置法91条)の適用関係が変わる点に注意が必要です。
| 売却するもの | 契約書の区分 | 軽減措置 |
|---|---|---|
| 借地権のみ | 地上権又は土地の賃借権の譲渡に関する契約書 (印紙税法 別表第一「課税物件表」第1号の2文書) | 原則として対象外 =本則税率で印紙税を計算 |
| 借地権付き建物 | 不動産の譲渡に関する契約書 (印紙税法 別表第一「課税物件表」第1号の1文書) | 一定の要件を満たせば対象 |
軽減措置の対象となる契約書は、「不動産の譲渡に関する契約書のうち記載金額が10万円を超えるもので、2014年4月1日から2027年3月31日までの間に作成されるもの」です。
軽減措置が適用される場合の税額は、以下のとおりです。
| 契約金額 | 本則税額 | 軽減後税額 |
|---|---|---|
| 100万円を超え500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
| 500万円を超え1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
| 1,000万円を超え5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
| 5,000万円を超え1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
| 1億円を超え5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
たとえば、借地権のみを2,000万円で譲渡する場合(契約書に「借地権 2,000万円」とだけ記載されている場合)は、軽減措置の対象とならず印紙税は2万円です。一方、「借地権500万円」「建物1,500万円」と金額を併記して借地権付き建物を合計2,000万円で売却する場合は、「不動産の譲渡に関する契約書」として軽減措置の対象となり印紙税は1万円です。
軽減措置の適用条件や期間は変更される可能性があるため、契約時点の最新情報を確認しましょう。
参照:
No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置|国税庁
No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
借地権譲渡契約書|国税庁
借地権を売却して利益(譲渡所得)が生じた場合、その利益に対して所得税や住民税などの譲渡所得税がかかることがあります。
譲渡所得と譲渡所得税は、基本的に以下の計算式で求めます。
譲渡所得 = 譲渡収入金額 -(取得費 + 譲渡費用)
譲渡所得税 = 譲渡所得 × 税率
譲渡所得を計算する際は、売却価格から借地権の取得にかかった費用(取得費)と売却に直接かかった費用(譲渡費用)を差し引きます。そのうえで、算出した譲渡所得に税率を乗じて税額を計算します。
税率は、譲渡した年の1月1日時点での所有期間によって、短期譲渡所得と長期譲渡所得に分かれます。
| 区分 | 所有期間 | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 9% |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 5% |
※確定申告の際には、所得税と併せて基準所得税額に2.1%を掛けて計算した復興特別所得税を申告・納付することになります。
一定の要件を満たす場合には、マイホームを売却したときの3,000万円の特別控除など、譲渡所得に関する特例を利用できる可能性があります。
取得費や譲渡費用の範囲、特別控除の適用可否などによって税額は変わります。「どの費用を差し引けるのか分からない」「特例を利用できるか確認したい」といった場合は、税理士に相談すると安心です。
借地権を少しでも有利な条件で売却するには、売却価格だけでなく、地主との交渉や売却にかかる費用まで含めて条件を整えることが重要です。
ここでは、売却価格を左右しやすいポイントを解説します。
借地権の売却では、地主から譲渡の承諾を得たり、譲渡承諾料などの条件を交渉したりする場面があります。そのため、普段から地主との関係を悪化させないことが、売却をスムーズに進めるうえで重要です。
たとえば、地代を滞納している、連絡を無視する、過去に契約違反を繰り返しているといった事情があると、地主から「できるだけ厳しい条件にしたい」と考えられてしまう可能性があります。関係が悪化していれば、譲渡承諾料や売却条件についても強気に交渉されることがあるでしょう。
一方、これまで契約を守り、地主とのやり取りを丁寧に行ってきたのであれば、売却時の話し合いにも応じてもらいやすくなります。心理的にも、普段から良好な関係を築いている相手には、できるだけ協力したいと考えるのが自然です。
もっとも、地主との関係が良好だからといって、必ず高く売却できるわけではありません。売却時には、借地権の価値や契約内容、譲渡条件などを踏まえて交渉することが大切です。
借地権は、所有権付きの土地と比べて権利関係や売却方法が複雑なため、借地権の取扱実績が豊富な不動産会社を選ぶことが重要です。
不動産会社によって、借地権の査定価格だけでなく、想定する買主や売却方法、地主との交渉方針も異なります。1社だけで決めず、複数社に査定を依頼して比較するとよいでしょう。
比較する際は、査定価格の高さだけで判断するのではなく、以下の点も確認することが大切です。
「査定額は高いけれど、譲渡承諾料などの費用を差し引くと手元に残る金額は少ない」というケースは実務上よくあります。提示された価格だけでなく、売却条件や最終的な手取り額まで確認して比較しましょう。
借地権を売却するときは、提示された売却価格の高さだけでなく、諸費用を差し引いたあとに手元にいくら残るのか(最終的な手取り額)を基準に判断することが大切です。
たとえば、A社からは「2,000万円」、B社からは「1,900万円」と提示されたケースを考えてみます。
A社の場合、売却価格は高いものの、譲渡承諾料に200万円、解体費用に150万円がかかるため手取り額は1,650万円になります。一方、B社では譲渡承諾料が100万円に抑えられ、解体費用も買主負担となるため手取り額は1,800万円となり、B社のほうが手元に残るお金が多くなります。
なお、譲渡承諾料は地主との協議によって決まるものであり、不動産会社を変えれば当然に下がるというものではありません。ただし、地主との交渉経験が豊富な不動産会社であれば、承諾料の金額や解体費用の負担者といった条件面で、より有利な内容を引き出せる場合があります。
このように、提示された売却価格だけを比較するのではなく、譲渡承諾料などの費用や解体費用の負担者まで確認し、最終的な手取り額で比較することが重要です。
また、「できるだけ高く売りたい」「できるだけ早く手放したい」など、自分が何を優先するのかを整理しておくことも重要です。条件にこだわりすぎると買主が見つからず、かえって売却期間が長引くなど不利になるリスクもあるため注意が必要です。
借地権付き建物を売却する際、少しでも高く売ろうとリフォームや修繕を検討することがあります。しかし、修繕にかけた費用が、そのまま売却価格に上乗せされるとは限りません。
特に、築年数が古い建物では、買主が建物をそのまま使用するのではなく、購入後に解体して建て替えることを前提に検討するケースもあります。この場合、内装や設備を新しくしても、売却価格にはほとんど反映されない可能性があります。
そのため、売却前に大規模なリフォームを行うのではなく、雨漏りや設備の故障など、売却に支障が出る部分に必要な修繕を優先し、費用対効果を考えて判断することが大切です。
借地権を売却するときは、一般の買主だけでなく、隣地所有者への売却も選択肢に入れるとよいでしょう。
隣地所有者にとっては、借地権付き建物の敷地を取得することで、現在所有している土地と一体的に利用できる可能性があります。たとえば、土地を広く使えるようになったり、建物の建て替えや駐車場の整備がしやすくなったりする場合があります。
特に、現在の土地だけでは形状が使いにくい、接道条件に問題があるといったケースでは、隣地を取得するメリットが大きくなります。そのため、一般の買主よりも高い価格を提示してくれる可能性があります。
隣地所有者に売却を打診する際は、いきなり売買価格の交渉から入るのではなく、「隣地と一体利用することで、どのようなメリットがあるのか」を具体的に伝えることが重要です。隣地所有者が取得するメリットをイメージできれば、価格面でも前向きな提案を受けられる可能性があります。
また、借地権の譲渡には原則として地主の承諾が必要です。隣地所有者に声をかけるタイミングや、将来的に地主から底地を買い取って土地の所有権を取得することも含めて、どのように交渉を進めるべきかを事前に不動産会社へ相談しておくとよいでしょう。
借地権の売却では、地主から譲渡の承諾を得たり、譲渡承諾料や売却条件について交渉したりする必要があります。地主との交渉が難しい場合や、契約内容に不明点がある場合は、弁護士に相談することで、法的な根拠を踏まえて対応できます。
借地権の売却では、地主から譲渡承諾を得るための交渉や、名義書換料(譲渡承諾料)の金額をめぐって折り合いがつかないケースがあります。
弁護士に依頼すれば、借地契約の内容やこれまでの経緯を確認したうえで、法的な根拠を踏まえて地主との交渉に臨めます。たとえば、相場からかけ離れた高額な承諾料を提示された場合でも、契約内容や取引の実情などを踏まえ、妥当な条件を検討したうえで交渉を優位に進めてもらえるでしょう。
また、地主との交渉では、承諾料だけでなく、譲渡後の地代や契約条件、建物の扱いなど、売却後の条件まで含めて調整が必要になることがあります。こうした条件を整理し、借地人にとって不利な内容になっていないか確認しながら交渉できる点も、弁護士に依頼するメリットです。
借地上の建物とともに土地の賃借権である借地権を第三者へ譲渡する場合、原則として地主の承諾が必要です(民法612条1項)。地主が承諾しない場合でも、その譲渡によって地主に不利となるおそれがないときは、裁判所に対し、地主の承諾に代わる許可を求める申立て(借地非訟:借地借家法19条1項)ができます。
弁護士に依頼すれば、裁判所への煩雑な申立てや証拠書類の準備、地主側の主張に対する法的反論といった一連の法的手続きをすべて一任できます。地主との話し合いが行き詰まった状況でも、裁判所を通した解決手段を模索できる点が大きなメリットです。
もっとも、裁判所に申立てをすれば、必ず譲渡が許可されるわけではありません。裁判所は、新たな借地人の資力や信用力など、譲渡によって地主に不利となるおそれがないかを含め、個別の事情を踏まえて判断します。
そのため、法的手続きを進めるかどうかについては弁護士に相談したうえで、弁護士費用や手続きにかかる期間と、売却によって得られる利益とのバランスを考えて判断することが重要です。
相続した借地権を売却する場合、相続人間で売却について意見がまとまらないことがあります。また、遺産分割が済んでいない、相続人が複数いる、相続登記が済んでいないなど、売却前に相続に関する問題を解決しなければならないケースもあります。
弁護士に相談すれば、借地権の売却だけでなく、相続人間の交渉や遺産分割協議など、相続に関する問題もまとめて相談できます。相続関係を整理したうえで、誰が借地権を取得するのか、どのように売却を進めるのかといった点を含めて対応できることがメリットです。
必要に応じて司法書士や税理士などの専門家と連携し、相続登記や相続税など、弁護士だけでは対応できない手続きについても含めてサポートを受けられる場合もあります。
相続人同士で意見が対立している場合は、売却手続きを進める前に相続問題を解決する必要があるため、早めに相談するとよいでしょう。
はい、借地権の売却相場と査定価格は異なります。相場は一定の条件を前提とした価格の目安であるのに対し、査定価格は、個別の借地権について不動産会社が算出する売却予想価格です。
借地権は、契約内容や残存期間、地代、地主との関係、建物の状態、立地などによって価値が大きく変わります。そのため、一般的な相場と実際の査定価格が一致しないことも珍しくありません。
また、査定価格はあくまで売却予想価格であり、その金額で売却できることを保証するものではありません。最終的な売却価格は、買主との交渉や売却条件などを踏まえて決まります。
はい、借地権の売却価格は物件ごとに異なります。土地の立地や面積・形状、借地権割合に加え、契約期間や残存期間、地代、建物の状態など、さまざまな条件が価格に影響するためです。
たとえば、同じエリアにある借地権でも、残存期間が長いものと短いものでは、売却価格が異なることがあります。また、建物の状態や土地の使いやすさなどによっても評価は変わります。
そのため、インターネットで紹介されている相場だけでは、自分の借地権がいくらで売れるのかを正確に判断することは難しいでしょう。売却を検討する際は、個別の条件を踏まえて不動産会社の査定を受けることが大切です。
はい、路線価や公示地価などをもとに土地の評価額を確認し、借地権割合を掛けることで、借地権の評価額を自分でおおまかに算出できます。
ただし、この方法で求められるのはあくまで評価上の目安であり、実際の売却価格とは異なる点に注意が必要です。借地権は、契約内容や残存期間、地代、建物の状態などによって価格が変わるためです。
より正確な売却価格を知りたい場合は、借地権の取扱実績がある不動産会社に査定を依頼するとよいでしょう。複数の不動産会社から査定を受ければ、査定価格や売却条件を比較し、価格の妥当性も判断しやすくなります。
借地権の売却相場は、更地価格の50%~70%程度が一つの目安ですが、実際の売却価格は、借地権の種類や契約内容、残存期間、地代、建物の状態、地主との関係などによって大きく変わります。また、売却価格だけでなく、譲渡承諾料や解体費用、印紙税、譲渡所得税などの費用も考慮して、最終的な手取り額を判断することが重要です。
一方で、借地権の売却では、地主から譲渡承諾を得られない、承諾料などの条件がまとまらない、相続人同士で売却について意見が対立するといったトラブルが生じることがあります。
こうした問題を抱えている場合は、売却を進めてから対処するのではなく、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。弁護士であれば、借地契約の内容を確認したうえで地主との交渉を行い、必要に応じて裁判所への申立てや相続問題への対応までサポートできます。
「VSG弁護士法人」は、借地権に関する問題について、地主との譲渡承諾交渉や契約内容の確認、相続人間のトラブルなど、さまざまな法律問題に対応しています。借地権付き建物の売却を検討しているものの、「地主の承諾を得られるか」「提示された条件で売却してよいのか」「相続人との話し合いがまとまらない」といった不安がある方は、まずは私たちの初回相談をご活用ください。