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立ち退き料請求|手続きに強いVSG弁護士法人|無料相談受付中 > コラム > 立ち退き交渉 > 借地権を売却するコツは?方法や相場など注意点を解説

借地権を売却するコツは?方法や相場など注意点を解説

弁護士 山谷千洋

この記事の執筆者 弁護士 山谷千洋

東京弁護士会所属。埼玉県出身。
建物の老朽化や売却に伴う「立ち退き」は、これまで大切にしてきた生活やビジネスの基盤を揺るがす大きな出来事です。突然の通告に対し、「いつまでに、いくらで立ち退くのが正当なのか」という不安を抱えるのは当然のことです。
立ち退き交渉を円滑に進めることは、いわば「目的地へ向かうための線路を、専門家と一緒に安全に敷き直すこと」に似ています。脱線(法的なトラブル)を防ぎつつ、適正な「立ち退き料」という切符を手に入れ、安心して次の場所へ移動できるようサポートするのが私の役割です。
私はこれまで不動産問題を中心に、数多くの交渉現場で依頼者様の権利を守ってきました。法律の壁は高く感じるかもしれませんが、難しい言葉を使わずに、一つひとつ丁寧に進むべき道をお示しします。まずはあなたの今の状況をお聞かせください。最善の解決策を共に導き出しましょう。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/yamatani/

相続した借地権付き建物の売却や地主からの譲渡承諾、承諾料の交渉や更地返還トラブルについて、現地で弁護士へ相談を検討している所有者のイメージ画像

この記事でわかること

  • そもそも借地権は売却できるのか
  • 借地権を売却する場合の相場や計算方法
  • 借地権を実際に売却する際によくあるトラブルと対処法

借地権とは、建物を所有するために他人の土地を借りる権利です。借地権や借地権付き建物は売却できますが、地主の承諾が必要になるなど、通常の不動産売却とは異なる注意点があります。

売却を考えている場合は、まず不動産会社に相談して売却価格や方法を検討するのが一般的です。一方、地主から売却を拒否された、承諾料を高額に求められたなど、交渉でトラブルになった場合は、弁護士への相談をおすすめします。

この記事では、借地権を売却する方法や相場、売却価格の計算方法、売却時によくあるトラブルについて弁護士が解説します。

目次

借地権とは?

借地権とは、建物を所有するために他人の土地を借りる権利です。土地そのものの所有権ではなく、土地を使用するための権利である点が特徴です。

借地権には、契約期間や更新の有無などによって「普通借地権」や「定期借地権」などの種類があります。種類によって権利の内容や売却のしやすさが異なるため、まずは自分がどのような借地権を持っているのか確認することが大切です。

また、借地権を売却するときは、借地権だけを単独で売るのではなく、借地上に建っている建物とセットで売却するケースが一般的です。そのため、借地権の価値だけでなく、建物の状態や借地契約の内容も含めて売却を検討する必要があります。

借地権を売却することはできる?

権利である借地権は売却できます。ただし、借地権の種類や契約内容によっては地主の承諾が必要となるため、通常の不動産売却とは異なる手続きが必要です。

特に、借地権付き建物を第三者へ売却する場合、地主との間で承諾料や契約条件について交渉が必要になることがあります。

ここでは、借地権を売却する方法や、売却を検討すべきケースについて解説します。

「借地権」もしくは「借地権付き建物」を売却することも可能

借地権は財産的価値を持つため、原則として売却できます。もっとも、実際の売却では、借地権だけを切り離して売るのではなく、借地上の建物とセットで「借地権付き建物」として売却するケースが一般的です。

借地権が土地の賃借権である場合、その譲渡には原則として地主の承諾が必要です(民法612条1項)。地主から承諾を得る際には、承諾料を求められることもあります。

一方、借地権が地上権である場合は、原則として地主の承諾なく譲渡できます。借地権の多くは賃借権ですが、まずは自分の借地権がどのような権利なのか、契約書に譲渡・転貸に関する特約がないかを確認することが大切です。

地主から承諾を得られない場合でも、一定の要件を満たせば、裁判所に地主の承諾に代わる許可を求める手続きがあります。売却を進める前に、自分の契約内容や地主との交渉状況を確認しておきましょう。

借地権の種類によって売却の難易度は変わる

借地権は、旧法借地権・普通借地権・定期借地権のどれに該当するかによって、売却のしやすさが変わります。特に、契約期間や更新の可否は買主にとって重要な判断材料です。

旧法借地権

旧法借地権とは、1992年7月31日以前に締結された借地契約に適用される旧借地法に基づく借地権です。借地人の権利が比較的強く保護されており、契約更新によって長期間利用できるケースも多いため、定期借地権と比べると買主が見つかりやすい傾向があります。

普通借地権

普通借地権は、契約期間が満了しても一定の要件を満たせば更新できる借地権です。長期にわたって土地を利用できる可能性があるため、安定した権利として評価されやすい点が特徴です。ただし、実際の売却価格や買主のつきやすさは、契約期間や地代、建物の状態、地主との関係などによっても左右されます。

定期借地権

定期借地権は、原則として契約の更新がなく、契約期間が満了すると土地を返還する必要があります。そのため、残りの契約期間が短いほど買主にとって利用できる期間が限られ、売却しにくくなる傾向があります。

特に残存期間が短い場合は、買主が住宅ローンを利用しにくくなることもあるため、売却前に残りの契約期間や契約内容を確認しておくことが重要です。

借地権の売却を検討すべきケース

借地権を持ち続けるメリットが少なくなっている場合は、売却して管理や地代などの負担から解放されることを検討するのも一つの方法です。

たとえば、次のようなケースでは売却を検討するとよいでしょう。

  • 建物を使用しておらず、今後も利用する予定がない
  • 地代や更新料などの負担が大きい
  • 建物が老朽化し、維持・管理が難しい
  • 借地権付きの不動産を相続したものの、自分では利用する予定がない
  • 借地権を複数人で相続し、管理や処分について意見がまとまらない
  • 地主との関係が悪化し、今後も借地を維持することが難しい
  • 借地権を売却して、まとまった現金を得たい
借地権の売却を検討すべき具体的なケース
たとえば、相続した実家が借地の上に建っており、管理できないため地主に土地を返したいと申し出たところ、「建物を解体して更地にしてほしい」と求められたようなケースです。

実家は長年空き家となっており、庭木やツタが生い茂っていたほか、古いタイヤや家電なども放置されていました。建物の解体費用だけでなく、遠方に住んでいるため解体までの維持・管理にも不安がある状況です。

このような場合でも、すぐに建物を解体するのではなく、借地権付き建物として売却できないか検討する余地があります。土地を再活用したいと考える不動産投資家などが買主となった場合、建物の解体費用を買い主が負担してくれるケースもあります。

使っていない建物でも地代や固定資産税、修繕費などの負担は続きます。建物の老朽化が進めば、修繕や解体などの費用が発生する可能性もあります。自分では使う予定がないにもかかわらず負担だけが続いているのであれば、借地権を売却して手放すことも選択肢の一つです。

借地権を売却する場合の相場はいくら?

借地権の売却価格に一律の相場はなく、土地の更地価格や借地権割合をもとにした評価額が一つの目安になります。ただし、実際の売却価格は、借地契約の内容や建物の状態、残存期間、立地、地主との交渉などによって変わります。

そのため、「更地価格×借地権割合」で算出した金額だけで売却価格を判断するのではなく、実際に買主がいくらで購入するのかという市場価格も踏まえて検討することが重要です。

ここでは、売却先ごとの相場の目安について解説します。

地主に買い取ってもらう場合|更地価格の50%〜70%程度

地主に借地権を買い取ってもらう場合、更地価格の50%~70%程度が一つの目安になります。ただし、借地人から買い取りを求める場合と、地主から買い取りを提案される場合では、交渉の前提が異なるため、実際の価格にも差が生じます。

たとえば、地主から「土地を自由に使いたい」「借地関係を整理したい」といった理由で買い取りを持ちかけられた場合、借地人には立ち退きや建物の移転・解体などの負担が生じます。こうした負担への補償も考慮され、更地価格の60%〜70%前後で買い取られることがあります。

一方、借地人から「土地を手放したい」「管理が負担なので買い取ってほしい」と申し出る場合は、地主にとって必ずしも買い取る必要はありません。交渉上は地主が有利になりやすく、売却価格は更地価格の50%前後となることも珍しくありません。

もっとも、これらはあくまで一般的な目安です。建物の状態や借地契約の内容、残りの契約期間、建物の解体費用を誰が負担するかなどによって、価格は大きく変わります。地主から提示された金額が適正なのか判断できない場合は、そのまま合意せず、契約内容や周辺の取引相場などを踏まえて弁護士に確認してもらうことも重要です。

買取業者に売却する場合|更地価格の50%程度

借地権付き建物は、不動産会社や買取業者に直接買い取ってもらうこともできます。売却価格は更地価格の50%程度が一つの目安ですが、物件の条件によって大きく変わります。

買取業者は、買い取った後にそのまま利用するのではなく、建物の解体・修繕や建て替え、再販などに費用をかけて活用するのが一般的です。また、売却までに時間がかかるリスクや、地主との交渉などに伴う負担も業者が負います。こうした費用やリスクを見込むため、一般の買主に売却する場合よりも買取価格が低くなる傾向があります。

一方で、買主を一から探す必要がなく、地主との承諾交渉などを業者側に任せられる場合もあるため、価格よりも早期売却や手続きの負担軽減を優先したい場合には適した方法です。

ただし、業者によって査定額や提示される条件は異なります。1社だけで判断せず、複数の業者に査定を依頼し、価格だけでなく、地主との交渉や建物の解体費用などの条件も比較しましょう。

借地権の売却価格はどう計算する?相場を算出する3つのステップ

借地権の売却価格を検討するときは、「土地の更地価格×借地権割合」で算出した金額が一つの目安になります。たとえば、更地価格が1億円、借地権割合が60%の場合、借地権の評価額は6,000万円が目安です。

もっとも、これは税務上の評価などにも用いられる借地権の評価額であり、実際に売却できる価格と必ずしも一致するわけではありません。立地や建物の状態、契約の残存期間、地代、地主との関係など、さまざまな事情によって実際の取引価格は変わります。

ここでは、借地権の売却価格を検討する際の基本的な計算方法を、3つのステップに分けて解説します。

Step1:土地の更地価格を確認する

借地権の評価額を算出するには、まず「その土地が更地だった場合、いくらで評価されるか」を確認します。土地の評価方法には、主に「路線価方式」と「倍率方式」があります。

路線価方式
土地が面している道路に設定された1㎡あたりの路線価をもとに評価する方法です。都市部や主要道路沿いの宅地など、基本的には「路線価×土地面積」で土地の評価額(更地価格)を算出します。
倍率方式
路線価が設定されていない地域で用いられる方法です。「固定資産税評価額×評価倍率」で算出します。

路線価や評価倍率は、国税庁の「財産評価基準書」で確認できます。また、土地面積は登記簿や地積測量図、固定資産税評価額は固定資産税の納税通知書などから確認できます。

Step2:土地の借地権割合を確認する

土地の更地価格の目安を確認したら、次にその土地に設定されている借地権割合を確認します。借地権割合は、国税庁の「財産評価基準書」に掲載されている路線価図などで確認できます。

路線価図では、「40D」のように数字とアルファベットを組み合わせて表示されています。数字はその道路に面する土地の1㎡あたりの路線価(千円単位)を、アルファベットは借地権割合を示しています。

借地権割合は、アルファベットごとに次のように定められています。

記号借地権割合
A90%
B80%
C70%
D60%
E50%
F40%
G30%

たとえば「40D」と表示されている場合、路線価は1㎡あたり4万円、借地権割合は60%という意味です。

Step3:借地権の評価額を算出する

土地の更地価格と借地権割合を確認したら、「土地の評価額×借地権割合」で借地権の評価額の目安を算出できます。

たとえば、「路線価:1㎡あたり8万円」「土地面積:200㎡」「借地権割合:60%」の場合、次のように計算します。

土地の評価額:8万円×200㎡=1,600万円
借地権の評価額:1,600万円×60%=960万円

この場合、借地権の評価額は960万円が一つの目安となります。

ただし、これはあくまで借地権の評価額を簡易的に算出したものです。実際の売却価格は、立地や建物の状態、借地契約の残存期間、地代、地主との関係などによって変わります。評価額どおりの金額で売却できるとは限りません。

実際に売却する際は、ここで算出した金額を目安としつつ、借地・底地の取引に詳しい不動産会社などに査定を依頼して、実際の市場価格を確認することが大切です。

借地権を実際に売却する際の流れとは?

借地権の売却は、地主に買い取ってもらうのか、不動産会社や買取業者に売却するのかによって進め方が異なります。ただし、どちらの場合も、まず借地契約や建物の権利関係を確認し、地主の承諾が必要かどうかを整理することが重要です。

売却を進める前に、借地契約書や建物の登記情報、地代の支払い状況などを確認しておきましょう。契約内容を確認せずに売却交渉を始めると、後から譲渡条件や承諾料などをめぐって問題になる可能性があります。

ここでは、売却先ごとの具体的な流れを解説します。

地主に買い取ってもらう場合の基本的な流れ

地主に借地権を買い取ってもらう場合は、最初に借地契約や建物の状況を確認し、借地権の価値を把握したうえで、買取条件を交渉することが重要です。基本的な流れは次のとおりです。

STEP1 借地契約・建物の状況を確認する
借地契約書や登記情報を確認し、契約期間、地代、更新条件、建物の状態などを整理します。
STEP2 借地権の価格を査定する
土地の評価額や借地権割合、周辺の取引事例などをもとに、売却価格の目安を確認します。
STEP3 地主に買い取りを打診する
地主に借地権を買い取ってもらえるか相談します。
STEP4 買取条件について交渉する
買取価格だけでなく、建物を残すのか解体するのか、解体費用を誰が負担するのか、明渡し時期などについても話し合います。特に価格交渉では、借地権の評価額だけでなく、建物の価値や解体費用なども踏まえて条件を整理することが大切です。
STEP5 売買契約を締結する
価格や引渡し条件などについて合意できたら、売買契約を締結します。
STEP6 決済・引渡しを行う
契約で定めた日に代金の決済と権利の引渡しを行います。必要に応じて、建物の解体や登記手続きなども進めます。

地主との交渉では、最初に提示された金額をそのまま受け入れるのではなく、なぜその金額になるのか、建物の解体費用などを誰が負担するのかまで確認することが重要です。条件の妥当性に不安がある場合は、合意する前に弁護士へ相談するとよいでしょう。

買取業者に売却する場合の基本的な流れ

買取業者に売却する場合は、複数の業者から査定を受け、買取価格だけでなく、地主との交渉や費用負担まで含めて条件を比較することが重要です。基本的な流れは次のとおりです。

STEP1 借地契約の内容を確認する
借地契約書や建物の登記情報、地代の支払い状況などを確認し、売却に必要な条件を整理します。
STEP2 複数の買取業者に査定を依頼する
借地・底地の取り扱い実績がある業者などに査定を依頼し、買取価格や売却条件を確認します。1社ではなく複数社に査定を依頼することで、提示された価格や条件を比較でき、より有利な売却先を選びやすくなります。
STEP3 買取価格・売却条件を比較する
査定額だけでなく、地主への承諾料、建物の解体費用、手数料などの負担も確認します。提示価格だけで判断せず、最終的に自分の手元にいくら残るのかを比較することが大切です。
STEP4 地主から譲渡の承諾を得る
借地権が賃借権の場合、原則として地主の承諾が必要です。業者によっては、地主への説明や譲渡承諾の交渉まで対応してくれる場合があります。
STEP5 業者と売買契約を締結する
買取価格や引渡し時期、建物の取り扱いなどの条件に合意したら、売買契約を締結します。
STEP6 決済・引渡しを行う
契約内容に従って代金の決済と引渡しを行います。必要に応じて、建物の処分や登記などの手続きも進めます。

なお、地主との交渉や契約内容に不安がある場合は、売買契約を締結する前に弁護士へ相談することも有効です。特に、地主が承諾を拒否している場合や、承諾料・解体費用などをめぐって意見が対立している場合は、弁護士に交渉を依頼することで、問題の整理と解決をめざせます。

借地権を売却する際によくあるトラブルとは?

借地権の売却では、地主の承諾や売却価格、建物の扱いなどをめぐって、通常の不動産売却よりもトラブルが起こりやすい傾向があります。地主だけでなく、買主や金融機関など複数の関係者が関わるためです。

特に、売却を進めてから条件面で問題が発覚すると、契約直前になって話が白紙になることもあります。ここでは、借地権の売却でよくあるトラブルと、その対処法を解説します。

地主から借地権の売却を承諾してもらえない

借地権が土地の賃借権である場合、原則として地主の承諾を得なければ第三者に譲渡できません(民法612条1項)。地主の承諾を得ないまま売却すると、契約解除をめぐるトラブルにつながるおそれがあるため、勝手に売却を進めるのは避けましょう。

地主が承諾してくれない場合でも、譲渡の条件を整理したうえで交渉することで、承諾を得られる可能性があります。実際の交渉では、単に売却を認めてもらうのではなく、地主が何を懸念しているのかを把握することが重要です。

たとえば、地主が「知らない人に土地を使われるのが不安」と考えているのであれば、買主の属性や利用目的、資力などを説明し、譲渡後も地代の支払いなどで問題が生じないことを示すことが交渉材料になります。承諾料を提示し、地主側の不利益を補う条件を示す方法もあります。

それでも地主の承諾を得られず、合理的な理由なく譲渡を拒否されている場合には、裁判所に借地権の譲渡を許可してもらう方法があります(借地借家法19条)。

裁判所は、譲渡によって地主にどの程度の不利益が生じるかを具体的に検討します。たとえば、買主に十分な資力があり、地代を継続して支払える見込みがあることや、借地上の建物を適切に利用する予定であることなどは、地主に生じる不利益が小さいと判断する材料になります。一方、買主の資力に問題がある場合や、譲渡後に建物の利用方法が大きく変わる場合などは、地主の負担やリスクが大きいとして判断に影響する可能性があります。

地主との交渉では、承諾料の金額だけでなく、地主が拒否する理由を把握し、その懸念を解消できる条件を提示することがポイントです。交渉が難航している場合や、承諾料・譲渡条件をめぐって対立している場合は、弁護士に交渉を依頼することで、条件を整理しながら解決をめざせます。

借地権の売却価格をめぐって買主と折り合わない

借地権の売却では、自分が考えている価格と買主から提示された金額に大きな差が生じることがあります。借地権は更地のように単純に価格を決められないため、提示額の根拠を確認したうえで交渉することが重要です。

借地権の価格を判断するときは、更地価格や借地権割合だけでなく、建物の状態、借地契約の残存期間、地代、立地などを総合的に考慮する必要があります。たとえば、建物の老朽化が進んでいれば解体費用が価格に反映される一方、立地がよく再建築や土地活用がしやすければ、価格を押し上げる要素になります。

買主から想定より低い金額を提示された場合は、その価格がどのような根拠で算出されたのかを確認することが大切です。複数の不動産会社に査定を依頼し、それぞれの価格だけでなく、建物の状態、解体費用など、どのような事情が査定額に反映されているのかを比較しましょう。

売却を急ぐあまり、価格の妥当性を十分に確認せず契約してしまうと、後から価格や条件を変更することは容易ではありません。提示された金額が適正なのか判断できない場合や、買主との価格交渉が難航している場合は、契約を急がず、弁護士に相談して売却価格や契約条件を確認してもらうことも有効です。

相続登記をしていないため手続きが進められない

借地権付き建物を相続した場合、建物の相続登記を済ませていないと、売却手続きを進める際に問題になることがあります。特に相続人が複数いる場合は、誰が建物を相続したのかを明確にしておく必要があります。

たとえば、父親が亡くなり、長男が借地上の実家を相続したケースを考えてみましょう。父親の死亡後、長男が実家を売却しようとしても、建物の登記名義が父親のままでは、買主への所有権移転登記をそのまま進めることができません。亡くなった方(被相続人)名義のままで第三者に不動産を売却することは原則としてできないため、大元の所有者から相続人への名義変更が不可欠となります。

この場合、兄弟間で「誰が実家を相続するのか」が決まっていない状態であれば、まず相続人を確定させなければなりません。遺産分割協議によって誰が建物を取得するのかを全員で話し合い、合意書面を作成したうえで相続登記を行い、売却手続きを進める必要があります。

なお、相続登記は2024年4月1日から義務化されており、「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、相続により不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内」に申請する必要があります。正当な理由なく怠った場合には過料の対象となるため注意が必要です。

相続した借地権付き建物を売却する場合は、いきなり売却活動を始めるのではなく、戸籍謄本等を収集して相続関係と建物の名義を確認することが重要です。相続人同士で意見がまとまらない場合や、何代にもわたって相続登記がされていない場合は、権利関係の整理が難航しやすいため、早い段階で弁護士に相談するとよいでしょう。

買主の住宅ローン審査が通らず売却が進まない

借地権付き建物は、土地と建物を所有する物件と比べて、買主の住宅ローン審査で不利になる場合があります。借地権付き建物では土地の所有権を取得できないため、所有権物件と比べて担保評価が低くなる傾向があるためです。

そのため、買主が住宅ローンを利用して購入する場合、金融機関によっては希望する金額の融資を受けられなかったり、融資自体を断られたりすることがあります。買主がローン審査に通らなければ、売買契約の締結まで進まず、売却が長引く可能性があります。

このようなケースでは、借地権付き建物の住宅ローン審査に関する知識や取引経験がある不動産会社に相談することが大切です。こうした不動産会社であれば、金融機関によって借地権付き建物への融資姿勢が異なることを踏まえ、融資対象となりやすい金融機関の傾向を把握している場合があります。

また、借地契約の残存期間や地代、契約内容など、ローン審査で確認されやすい事項を事前に把握したうえで、買主に適切な情報を提供できます。さらに、借地権付き建物の購入に適した資金計画を立てられる買主を想定して販売することで、契約後に住宅ローン審査が通らず、契約が白紙になるリスクも抑えやすくなります。

借地権を売却する際に弁護士に相談・依頼するメリットとは?

借地権の売却では、地主との交渉や譲渡承諾など、法律上の問題が生じることがあります。特に地主との間でトラブルが生じている場合は、弁護士に相談・依頼することで、法的な観点から適切な対応を検討できます。

ここでは、借地権を売却する際に弁護士に相談・依頼するメリットを紹介します。

売却価格が適正かどうかを確認してもらえる

借地権付き建物の売却価格は、周辺の不動産相場だけでなく、借地契約の残存期間や地代、更新条件、譲渡承諾料など、さまざまな事情を踏まえて判断する必要があります。そのため、売主であるあなた自身で適正な売却価格を算定するのは容易ではありません。

弁護士に相談・依頼すれば、不動産会社から提示された査定額について、借地契約の条件が適切に反映されているかを確認してもらえます。たとえば、譲渡承諾料や建物の解体費用など、売却に伴って発生する費用を誰が負担するのか、契約条件によって売却価格が不当に低くなっていないかといった点を確認できます

また、価格そのものについて専門的な評価が必要な場合は、不動産会社や不動産鑑定士と連携して手続きを進めることも可能です。価格だけでなく、譲渡承諾料などの費用負担や地主との交渉条件まで含めて検討できるため、売却後に「思っていたより手元に残らなかった」といった事態を防ぎやすくなります

売却交渉を任せることでトラブルを防げる

借地権付き建物を売却する際は、地主から譲渡承諾を得る必要があり、承諾料や名義書換料などについて交渉が必要になることがあります。弁護士に依頼すれば、こうした地主との交渉を任せられるため、当事者同士で話し合うことによるトラブルを防ぎやすくなります。

たとえば、地主から高額な承諾料を求められた場合には、その金額が適切かを確認したうえで交渉できます。また、地主から契約解除や建物の明渡しを求められている場合にも、借地契約の内容やこれまでの経緯を確認し、適切な対応を検討できます。

さらに、地主が譲渡を承諾しないなど、当事者間の交渉だけでは解決が難しい場合には、借地借家法19条1項に基づく借地非訟手続(土地の賃借権譲渡または転貸の許可申立)を利用して裁判所から譲渡の許可を得る方法を検討することも可能です。当事者同士では感情的になりやすい交渉も、弁護士を介することで、法的な根拠に基づいて冷静に進めやすくなります。

売却に必要な書類のチェックや手続きを任せられる

借地権付き建物の売却では、借地契約書や売買契約書など、さまざまな書類を確認する必要があります。特に、借地契約書には、譲渡に地主の承諾が必要か、承諾料や名義書換料の定めがあるか、契約期間や更新についてどのような条件が設定されているかなど、売却に影響する事項が記載されています。

弁護士に依頼すれば、これらの書類を確認し、売却にあたって注意すべき契約条件や権利関係を整理できます。売買契約書についても、売主にとって不利な条項がないか、売却後のトラブルにつながる内容が含まれていないかなどを確認できます。

不動産会社も売却手続きや契約の仲介を行いますが、弁護士であれば、契約書の内容について法的な問題がないか、トラブルが生じた場合にどのような責任やリスクが生じるかといった点まで踏み込んで確認できることがメリットです。

相続人間のトラブルにも対応してもらえる

借地権付き建物を相続した場合、相続人の一人は売却を希望しているものの、ほかの相続人が反対するなど、売却をめぐって相続人同士の意見がまとまらないことがあります。相続人だけで話し合おうとすると、感情的な対立から協議が長引き、売却手続きそのものが進まなくなるおそれがあります。

弁護士に依頼すれば、各相続人の意向や相続財産の内容を整理したうえで、遺産分割協議の進め方を検討し、必要に応じて相続人との交渉を代理してもらえます。たとえば、借地権付き建物を売却して代金を分ける方法や、特定の相続人が建物を取得してほかの相続人に代償金を支払う方法など、それぞれの事情に応じた分割方法を提示し、合意形成をサポートできます。

また、相続登記が必要な場合には、司法書士と連携して登記まで含めた手続きをワンストップで依頼することも可能です。

売却が決まった後も、売却代金の分配割合や売却にかかった費用の負担をめぐって意見が対立することがあります。このような場合も、弁護士が各相続人の権利関係を確認し、取り分や費用負担を明確にしたうえで、合意書などの作成や相続人間の交渉を進めます。

相続問題と借地権の問題をまとめて相談できるため、自分たちだけで複雑な問題を整理しながら話し合う負担を減らし、協議の長期化を防ぎやすくなる点もメリットです。

借地権の売却に関してよくある質問(Q&A)

地主が借地権の売却を拒否したらどうすればよいですか?

地主が借地権の譲渡を拒否した場合、まずは譲渡の条件や承諾料などを提示して、地主と交渉することになります。承諾料については、借地権価格の1割程度が一つの目安とされることがありますが、借地契約の内容や地域の慣行などによって異なります。

地主が正当な理由なく譲渡を承諾しない場合には、借地借家法19条に基づき、裁判所に借地権の譲渡を許可してもらう「借地非訟手続(土地の賃借権譲渡または転貸の許可申立)」を利用できる場合があります。裁判所が地主に代わって譲渡を許可することで、地主の承諾がなくても借地権を譲渡できる可能性があります。

もっとも、借地非訟手続では、借地契約の内容やこれまでの地主との関係、譲渡の相手方など、さまざまな事情を踏まえて判断されます。手続きや地主との交渉を自分だけで進めるのは難しいため、早い段階で借地権問題に詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。

借地権を売却すると税金はかかりますか?

借地権を売却して利益が生じた場合、原則として譲渡所得として所得税・住民税などの課税対象となります。

課税譲渡所得金額は、基本的に「譲渡価額-(取得費+譲渡費用)」で計算します。取得費には借地権を取得するために支払った費用など、譲渡費用には売却時の仲介手数料などが含まれます。算出した課税譲渡所得金額に所定の税率を掛けて、税額を計算します。

適用される税率は、譲渡した年の1月1日時点での所有期間が5年を超えるかどうかによって、長期譲渡所得と短期譲渡所得に区分され、異なる税率が適用されます。

また、一定の要件を満たす場合には、マイホームを売却したときの3,000万円の特別控除など、譲渡所得に関する特例を利用できる可能性があります。

ただし、取得費の計算方法や相続による取得、特例の適用可否などによって税額は変わります。税制改正や個別の事情によって取り扱いが異なるため、具体的な税額や特例の適用については、税理士に確認することをおすすめします。

建物が古い場合でも借地権の売却は可能ですか?

建物が古いからといって、直ちに借地権を売却できなくなるわけではありません。老朽化した建物でも、建物を再利用したり、建て替えたりすることを前提に、借地権付き建物を買い取るケースがあります。

そのため、建物の築年数が古いことだけを理由に「売却できない」と判断する必要はありません。借地権付き建物の取り扱い実績がある不動産会社などに相談し、建物の状態や立地、借地契約の内容などを踏まえて、売却の可能性を検討するとよいでしょう。

ただし、建物の老朽化が進んでいる場合は、建物の状態が売却価格に影響する可能性があります。特に、建物の修繕や建て替えの必要性などによって、買主が提示する価格が低くなることもあるため、複数の不動産会社に査定を依頼して比較することが大切です。

借地権付き建物を売却する際の解体費用は誰が負担する?

借地権付き建物を売却する際の解体費用を誰が負担するかについて、一律の決まりがあるわけではありません。借地契約の内容や売買条件などを踏まえて、売主と買主の間で決めることになります。

たとえば、売主が建物を解体して更地にしたうえで地主に土地を返還する場合は、基本的に売主が解体費用を負担するケースが多いです。

一方、建物を残したまま借地権付き建物を売却し、買主が取得後に建物を解体する場合は、買主が解体費用を負担することもあります。この場合、実際の売却交渉では、買主が負担する解体費用を考慮して売却価格を調整することも珍しくありません。

加えて、建物を解体する際には、家具や家電などの残置物を処分する費用が発生することもあります。売却後に費用負担をめぐるトラブルにならないよう、解体費用だけでなく残置物の処分費用についても、誰が負担するのかを売買契約書などで明確にしておくことが大切です。

まとめ|借地権を売却する際は弁護士に相談するのがおすすめ

借地権付き建物は、通常の不動産売却とは異なり、地主の承諾や承諾料、借地契約の内容など、法律上の問題を確認しながら売却を進める必要があります。相続した借地権付き建物の場合には、相続人間の意見がまとまらないなど、相続に関する問題が生じることもあります。

売却を検討しているものの、地主との交渉や契約内容の確認、相続人間の話し合いなどに不安がある場合は、弁護士への相談を検討しましょう。弁護士に依頼すれば、地主との譲渡承諾交渉や契約書の確認、相続人間の交渉など、売却に伴って生じる法律上の問題をまとめて対応してもらえます。

VSG弁護士法人」は、借地権に関する問題について、地主との譲渡承諾交渉や契約内容の確認、相続人間のトラブルなど、さまざまな法律問題に対応しています。借地権付き建物の売却を検討しているものの、「地主の承諾を得られるか」「提示された条件で売却してよいのか」「相続人との話し合いがまとまらない」といった不安がある方は、まずは私たちの初回相談をご活用ください。

借地契約の内容や相続関係を丁寧に確認し、できるだけスムーズに売却を進められるよう、弁護士が親身に寄り添ってサポートします。

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