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定款作成の完全ガイド!定款は自分で作成できる

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック
この記事でわかること
- 定款作成の基礎知識
- 定款作成の注意点
- 定款作成に必要な記載事項のルール
会社を設立する際に必要となる「定款」は、会社の基本ルールや事業の目的を定めた重要な文書です。定款作成は専門家に依頼するというイメージをお持ちかもしれませんが、定款は自分で作成することもできる書類です。
この記事は、初心者向けの定款作成ガイドです。定款の基本から作成方法、記載事項のルール、そして作成の際の流れと作成後の手続きをわかりやすく解説します。電子定款と紙定款の違いや、作成時の注意点についても触れます。
自分で定款作成をしようと考えている人や少しでも会社設立の費用を抑えたい人にとって役立つ情報が満載です。
この記事で、定款作成がどんなものなのかというイメージをしっかりとつかんでください。
目次
定款は自分で作れる
定款とは、会社の基本的なルールやどのような事業を行うかなどの運営方針を記載した文書です。定款は「会社の憲法」とも呼ばれます。定款を見れば、どんな会社で何の目的のために作られた会社なのかがわかるという大切な文書です。
定款は、株式会社などの法人を設立する際には必ず必要になる書類です。当然、とても重要な書類ですが、定款は、行政書士や司法書士などの専門家に依頼せずに自分で作成することができます。
ただし、定款には記載事項のルールがあるほか、株式会社の場合は定款認証という手続きを経る必要があります。
定款の記載事項を解説
ここでは、定款を自分で作成する場合に必ず知っておくべき記載事項について解説します。
絶対的記載事項
絶対的記載事項とは、定款に「必ず記載しなければならない事項」です。絶対的記載事項が記載されていない定款は、定款認証で認証を受けられません。
以下が定款の絶対的記載事項です。
事業目的 | 会社がどのような事業を行うために設立されたのか |
---|---|
商号(法人名) | 会社の法人名 |
本店所在地 | 会社の本店住所(最小行政区画でも可) |
資本金 | 設立時の資本金 |
発起人の氏名又は名称及び住所 | すべての発起人の氏名(法人の場合は名称)と住所 |
どのような株式会社であっても、絶対的記載事項については省略することはできません。定款を作成する場合は必ずすべての項目をチェックして漏れなく記載してください。
相対的記載事項
相対的記載事項は、必ず記載しなければならない事項ではありません。ただし「定款に記載がなければできないこと」でもあるため、できるだけ定款作成時に記載しておくほうが理想的です。
相対的記載事項には、現物出資や発起人の報酬(特別利益)、設立時に会社が引き受ける財産などが該当します。定款作成の段階で記載しておくことで後のトラブルを防止できます。
会社設立後のお金のトラブルはできるだけ避けたいところですから、これらの項目は先に書いておきましょう。
任意的記載事項
任意的記載事項もまた、相対的記載事項と同様に必ず記載しなければならないというわけではありません。
相対的記載事項に含まれないことで、できるだけ明確にしておきたい重要事項があれば記載します。
定款の作成日は?
定款を自分で作成する場合に難しいのが「定款の作成日はいつなのか」です。定款作成日は文字通り「定款を作った日」で間違いありません。ただし、最初の資本金の振込日より前に指定する必要があります。振込日と同日でも問題ありません。
当然ですが、定款作成日は定款認証より前の日付となります。
定款を作る理由
なぜ、定款を作る必要があるのでしょうか。会社法を守って運営していけば、わざわざ定款を作成する必要はないように思えます。ここでは、そんな定款を作る必要性についてまとめます。
会社の目的を定めたルール
定款は、会社を運営していくうえでの基本方針やルール、目的を文章にしたものです。例えば、会社の事業目的を定めることで「どんな事業のために作られた会社なのか」を明確にできます。
事業目的は株主や取締役など会社に関わるすべての人にとって重要な情報です。他にも、会社の住所や発起人の情報、そして、資本金をはっきりさせることで、トラブルや誤解を未然に防ぐ効果があります。
会社は法人登記をしたあとは、契約などを法人名義で行うことになります。法人そのものが法律的な責任を負うわけですから、定款でその範囲を定めておくことはとても大切なのです。
定款には電子定款と紙定款がある
定款には「電子定款」と「紙定款」があります。それぞれの違いについて解説します。
電子定款が9割を超えている
定款認証を受けている法人の9割以上が電子定款を利用しています。電子定款とは、紙で定款を作るのではなく電子データで定款を作成して保管したものです。
電子定款であれば、紙の状態で保管する必要がなく、定款認証ではオンラインやテレビ電話などが利用でき、郵送で受け取ることもできて便利です。また、費用面でのメリットもあります。
法的な効果はどちらも変わらない
電子定款も紙定款も定款としての役割や意味は同じです。法律的な効力もどちらも同等で、絶対的記載事項などのルールについて違いはありません。
電子定款と紙定款の大きな違いは、紙として保管するかどうかです。他にも、電子定款と紙定款では、定款認証の費用や流れなどが異なります。電子定款の詳細は以下の記事でチェックしてください。
ここで言う「電子」や「紙」とは定款の媒体のことで、定款の作成に何を使ったかではありません。WordやGoogleドキュメントで作成した定款であっても、印刷して紙定款として認証すれば紙定款となります。
定款作成の方法
続いて、定款作成の方法について解説します。自分で定款を作成する場合の基礎知識です。
WordやGoogleドキュメントで作成できる
まず、定款作成にはWordやGoogleドキュメントを利用できます。もちろん、他の文章作成ソフトでも問題はありません。また、あまり多くないかもしれませんが、手書きでも大丈夫です。
定款作成で大切なのは、絶対的記載事項がすべて記載されているかです。作成の方法については特に指定はありません。
定款作成を自分でするデメリット
定款を自分で作成すれば、費用が最小限で済むというメリットがあります。また、定款を自ら作成することで、設立前から定款の内容を把握できる点もメリットです。
ですが、自分で定款を作成するデメリットもあります。まず、定款には作成時のルールがあるため慣れていないと複雑な作業が必要になります。法律の知識も求められるため、初心者にとってはハードルが高いかもしれません。
また、事業年度や事業目的の設定、資本金の額などによっては、実務的・税務的な問題が発生する可能性もあります。例えば、事業目的を入れすぎたせいで融資や銀行口座を作る際にネックになるケースもあります。事業目的はたくさん指定してもいいのですが、入れすぎると「実態が不明瞭」とされてしまうのです。
定款を作成する費用
定款作成の費用はどの程度必要なのでしょうか。定款作成の費用について解説します。
自分で作れば作成の費用はかからない
定款の作成そのものには費用はかかりません。定款認証には費用がかかりますが、定款を作成する段階では、自分で作成すれば費用はかかりません。文章作成ソフトと文字入力ができるPCがあれば、誰でも定款を作成できます。
「定款自動作成システム」で手軽に定款作成!
ここまで、定款の記載事項や作り方、作成にかかる費用について解説してきました。会社の基本ルールを定款としてまとめるのは、初めて会社設立をする人にとってはハードルの高い作業かもしれません。とくに「定款の原案を作成する」という最初の一歩は、会社設立において大きな山場となります。
定款作成の第一歩の負担が小さくなるよう、ベンチャーサポートでは「定款自動作成システム」という無料ツールを公開しています。以下の入力フォームを埋めていくだけで、体裁の整った定款のWordファイルをダウンロードすることが可能です。ゼロから文章を作る手間が省けるため、かなりの時短になります。
・入力フォームに必要な事項を入力して下さい。
(「説明」を押すと注意点が表示されます)
・入力後に「定款を作成する」ボタンを押すと、会社の定款をWordファイルでダウンロードできます。
※当システムで作成される定款については一般的な会社設立のケースに対応できるように作成されますが、作成後は専門家による確認をお勧めします。無料サービスのため当方では責任を負いかねます。
注意点として、このシステムで自動作成された定款は、必ずしも自分の会社にとって最適なものだとは限りません。まずは下書き用に出力したうえで、必要に応じて改変したり規定を追加したりすることが必要です。手始めに基本事項をスピーディーに形にするツールとして「定款自動作成システム」をご活用ください。
また、日本公証人連合会のWebサイトでは、定款の記載例(株式会社、一般社団法人、一般財団法人の例)を見ることができます。とくに株式会社の定款を作成したい人は、定款自動作成システムとあわせて活用するとよいでしょう。
参考:日本公証人連合会「定款等記載例(Examples of Articles of Incorporation etc)」
定款作成したあとの流れ
定款は、作成したらそれで終わりというわけではなく、作成したあとの手続きが重要です。定款作成後の手続きの流れについて解説します。
定款認証の費用
定款を作成するだけなら費用はかからないと前述しましたが、定款認証には所定の費用がかかります。
定款認証の手数料は資本金によって変わります。
- 資本金の額等が100万円未満…3万円
(発起人が3人以下、法人出資でない、出資者が発起人のみ、取締役会がない会社の場合は1万5,000円) - 資本金の額等が100万円以上300万円未満…4万円
- その他…5万円
また、紙定款の場合は上記の手数料とは別に印紙代が4万円が必要です。電子定款の場合は、データ保存料などがかかります。
定款認証に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
法人登記
定款認証を無事に終えて、認証を受けたら法務局で法人登記を行います。法人登記をすることで、会社設立となります。この登記の際に必ず認証済みの定款が必要になるため、法人登記より前に定款作成と定款認証をしなければなりません。
定款の作成は誰に依頼するのか
ここまで定款作成について解説してきましたが、自分で作れるのか不安になってきたという人もいるでしょう。そのような場合は専門家に依頼するという選択肢があります。
行政書士
行政書士には書類の作成を依頼できます。定款の作成に不安があり、定款認証をクリアできる定款を作成してもらいたいという場合は、行政書士に依頼できます。
司法書士
定款作成だけでなく会社の設立に関するすべての手続きを任せたいという場合は、司法書士に依頼します。行政書士は書類作成がメインですが、司法書士であれば書類の作成から登記まですべてまとめて代行できます。
公証役場に問い合わせても対応はできない
ここで注意したいのが「公証役場に問い合わせをしても定款作成のアドバイスはもらえない」という点です。
公証役場は公的な機関ですが、公証人は定款作成のアドバイスをするための人ではありません。公証人は複数の仕事を抱えていて多忙であることが多く、定款作成について疑問があるからと問い合わせをしても対応はしません。
公証役場はあくまでも定款認証を受けるための場所です。
定款作成の注意点
定款を自分で作成する場合の注意点をいくつかご紹介します。ミスなくスムーズに定款認証を受けるためにも、知っておきたいポイントです。
住所は正確に記載する
まず、定款の絶対的記載事項である住所は正確に記載してください。定款に記載する本店所在地は、番地まで指定する必要はなく最小行政区画まででも問題ありません。
最小行政区画で指定する場合でも、番地まで指定する場合でも、住所を省略せず正しく記載しましょう。
事業目的に含まれていない事業はできない
定款の絶対的記載事項である事業目的に含まれていない事業はできません。定款は、あとから変更して事業目的を削除したり追加したりすることが可能です。ですが、現時点で記載事項に含まれない事業をするためには、先に定款を変更しなければなりません。
会社設立後に行う事業に関しては、定款作成段階で事業目的に入れておくようにしましょう。
定款は会社が存在している限り保管する
定款は、会社が存在している限り社内で保管する必要がある重要書類です。定款の変更が生じた場合は、定款の変更を決議した株主総会の議事録と一緒に保管します。
株式会社の場合は定款認証が必要
株式会社を設立する場合、定款作成のあとに必ず定款認証が必要です。定款認証を受けていなければ株式会社の設立はできません。
定款認証は公証人によって行われる手続きであり、認証の際には定款の内容について質問を受けることがあります。自分で作成する場合には、法律的な問いをされてもしっかりと答えられるように内容と関連する会社法を理解しておく必要があります。
定款作成は自分でできる!記載事項のルールや定款認証について調べる必要あり
定款作成は専門家に依頼せずに自分でもできます。WordやGoogleドキュメント等を使って自分で定款を作って認証を受け、会社設立をすることも可能です。
その際には、定款作成の際に知っておく必要がある記載事項のルール以外にも、実務的な注意ポイントを押さえておく必要があります。
定款作成そのものには費用はかかりませんが、株式会社の設立で必ず必要な定款認証では所定の手数料がかかります。
定款作成に関して不安がある場合は、専門家に依頼するのもひとつの選択肢となります。
定款を作成された方へ
- 定款認証はどうすればよいかわからない
- 定款に不備がないか専門家にチェックしてもらい
- 電子定款による認証を専門家に依頼したい
- 定款認証の後の登記申請はどうすればよい?