東京会社設立・起業情報

会社設立時に使える補助金・助成金11選!申請の流れや注意点も解説

会社設立時に起業家が申請できる補助金・助成金

この記事でわかること

  • 補助金と助成金の違いがわかる
  • 会社設立時に活用できる補助金・助成金がわかる
  • 補助金・助成金の申請時の注意点がわかる

会社を設立する際は、さまざまな費用が必要になります。自己資金を用意していても、事業を始めてみたら思うように利益が出ず、資金不足に陥ることがあるかもしれません。そのため、国や地方自治体が支給している補助金や助成金を活用して、資金繰りを少しでも楽にしたいところです。

この記事では、会社を設立する際に申請できる補助金や助成金の種類や申請の流れ、注意点について解説します。これから会社を設立して事業を始める人は、ぜひ参考にしてください。

目次
補助金と助成金の違い
会社設立時や会社設立後6カ月ほどで申請できる補助金
会社設立から1年ほどを目安に申請できる助成金一覧
補助金・助成金の申請から入金までの流れ
補助金・助成金を申請する際の注意点
会社設立時の助成金・補助金の申請は、専門家に相談して効率化しよう

補助金と助成金の違い

補助金と助成金は、どちらも国や地方自治体などの公的機関から事業者を支援するために支給される、原則、返済不要の資金ですが、性質や支給要件に違いがあります。

それぞれの特徴を、以下で詳しく確認していきましょう。

補助金とは、行政が政策目標に沿った事業者を支援するために支給するお金

補助金とは、国や地方自治体などが、政策目標に沿った事業を行う事業者を支援するために支給するお金です。支給対象になるのは、政策実現や地域新興につながる新規事業の立ち上げ、事業拡大、設備投資などを行う事業者であり、事業を実施する際にかかった費用の一部について補助を受けることができます。

ただし、予め採択件数や予算が決められている場合が多く、申請すれば必ず支給されるわけではありません。補助金が支給されるか否か、支給される場合にその金額がいくらになるかは、事業の実施前と実施後に提出する書類を通じた審査によって決まります。補助金が支給されないことも想定して資金計画を立てておきましょう。

補助金は予算が決まっているため、通年で申請を受け付けているケースが多い助成金と異なり、公募期間が明確に定められている点にも注意しなければなりません。補助金の申請額が予算の上限に達した場合は、年度の途中でも公募が終了となるケースもあります。

助成金とは、行政が主に雇用や労働環境の改善を支援するために支給するお金

助成金とは、主に厚生労働省や地方自治体などが管轄し、雇用や労働環境の改善を図る取り組みに対して支給するお金です。例えば、雇用を促進する取り組みやスキルアップ支援、働き方改革などが助成金の支給対象となります。

助成金は補助金と異なり、要件を満たしていれば、原則として支給を受けることができます。通年で公募されていることが多い点も補助金との違いです。

なお、国や地方自治体のような公的機関以外に、民間団体が実施している補助金や助成金もあるため、視野を広げて活用できる補助金・助成金を探すのがおすすめです。

会社設立時や会社設立後6カ月ほどで申請できる補助金

会社が活用できる補助金には、さまざまな種類があります。会社設立時や、会社設立後6カ月ほどで申請できる主な補助金としては、以下の5点が挙げられます。

会社設立時に申請できる主な補助金

  • IT導入補助金
  • 地方自治体の創業補助金
  • ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
  • 小規模事業者持続化補助金

なお、過去には「地域創造的起業補助金」や「スタートアップチャレンジ推進補助金」といった制度もありました。しかし、地域創造的起業補助金は「創業支援等事業者補助金」に名称変更されて、支給対象事業者も創業者から創業者を支援する事業者に変わっており、スタートアップチャレンジ推進補助金は事業を終了しています。

このように、補助金制度は変更や廃止となる可能性があるため、常に最新の情報を収集するようにしてください。以下では、2024年5月現在で募集している補助金の例について解説します。

IT導入補助金

IT導入補助金とは、生産性の向上などを目的として、IT導入支援事業者に協力してもらいながらITツールを導入する中小企業や小規模事業者に対して、導入資金を支援する制度です。対象となるソフトウェアやサービスは、補助金の公式Webサイト内の「ITツール・IT導入支援事業者検索(コンソーシアム含む)」で検索できます。

導入するITツールの費用の2分の1から5分の4を上限として、最大で450万円の補助が受けられます。

地方自治体の創業補助金

創業時にかかる費用に対する補助金は、地方自治体でも実施されています。主な例としては以下のような制度が挙げられますが、市区町村単位でもさまざまな支援を行っているため、開業する自治体の制度について幅広く情報を収集するのがおすすめです。

主な地方自治体の創業補助金

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、革新的な製品・サービスの開発や、生産プロセス効率化のための設備投資、DX化などにかかる費用を支援する補助金です。2023年度の補正予算から、「省力化(オーダーメイド)枠」が新設され、生産性向上などのためのオーダーメイド設備の導入を支援する制度が設けられました。補助率や補助上限額は枠によって異なりますが、例えば省力化(オーダーメイド)枠では、2分の1または3分の2の補助率で、従業員規模に応じて750~8,000万円の補助上限額が設定されています。

付加価値の高い製品・サービスを開発するための設備投資を支援する「製品・サービス高付加価値化枠」では、今後成長が見込まれるDX・GX領域の事業者について、通常類型よりも補助上限額・補助率ともに引き上げて重点的に支援しています。

審査のためには事業計画書を提出する必要があり、説得力のある計画書を提出するためにも、設立から半年ほど実績を積んでから申請するのが一般的です。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、販路開拓などに取り組む小規模事業者を支援する、商工会や商工会議所の補助金です。小規模事業者の範囲は業種によって異なり、例えば、宿泊業、娯楽業、製造業などでは、常時使用する従業員数が20人以下である必要があります。

補助率は基本的には3分の2までで、補助上限額は、通常枠であれば50万円ですが、各特別枠の適用を受けられば200万円に拡充されます。

また、免税事業者から適格請求書発行事業者に転換する小規模事業者は、一律50万円が上乗せされるため、通常枠で100万円、特別枠適用で250万円の助成金を受けられます。

商工会や商工会議所の助言を受けながら販路開拓などを進めることを前提しており、ほかの補助金に比べて対象範囲が広い点が特徴です。

会社設立から1年ほどを目安に申請できる助成金

会社を設立した場合、創業にかかった費用などを支援する補助金だけでなく、従業員の雇用や職業訓練に関連する費用を支援する助成金も受給できる場合があります。ただし、雇用などを行ってから支給されるため、設立直後から助成金を利用するのは困難です。

そのため、事業を一定期間継続してから申請するのが一般的です。会社設立から1年ほどの会社でも利用できる助成金としては、以下のような例が挙げられます。

会社設立から1年ほどを目安に申請できる助成金

  • キャリアアップ助成金
  • トライアル雇用助成金
  • 雇用調整助成金
  • 人材開発支援助成金
  • 人材確保等支援助成金
  • 特定求職者雇用開発助成金

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、非正規雇用労働者のキャリアアップのため、正社員化や処遇改善の取り組みを実施した事業者を支援する制度です。

助成される金額は事業者が行った取り組みによって異なりますが、例えば有期雇用労働者を正社員化した場合、中小企業であれば従業員1人あたり最大80万円の助成金が支給されます。

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金とは、職業経験不足などの理由で定職に就くのが難しい求職者を、ハローワーク経由で原則として3カ月間試用した場合に、助成金が支給される制度です。
助成金の金額は、1週間の所定労働時間などによって異なりますが、例えば1週間の所定労働時間が30時間以上の無期雇用の場合であれば、月額4万円を最長で3カ月間分支給されます。

雇用調整助成金

雇用調整助成金とは、景気変動や自然災害などで事業縮小せざるをえなくなった事業者が、雇用を維持できるように休業、教育訓練、出向に要した費用を助成する制度です。

支給額は、中小企業であれば、原則として事業者が負担する休業手当や出向元負担額の3分の2ですが、1人1日あたり8,490円の上限金額も設定されています。

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金とは、雇用する人材に対して、職務に関連した専門的な知識や技能を習得できるよう職業訓練を行った場合に、訓練費用や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。

「人材育成支援コース」「教育訓練休暇等付与コース」「人への投資促進コース」といったコースがあり、コースによって助成率や助成額が異なります。

人材確保等支援助成金

人材確保等支援助成金とは、人材の確保や定着のために魅力ある職場づくりを行い、労働環境の向上を図る事業者を支援する制度です。助成額はコースによって異なり、人事評価制度の整備により離職率低下や賃金アップを達成した事業者に80万円を助成する「人事評価改善等助成コース」などのコースがあります。

特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金とは、高齢者や障害者、就職氷河期に正規雇用の機会を逃した求職者など、正規雇用への就業が困難な人材を雇用した事業者に対して助成金が支給される制度です。「特定就職困難者コース」などの5種類のコースがあり、コースの種類や労働者の区分によって、助成対象期間や支給額が変わります。

例えば、中小企業が60歳以上の高齢者を短時間労働で雇用した場合、特定就職困難者コースを利用して、半年ごとに20万円を1年間、合計で40万円の助成金を受け取ることが可能です。

補助金・助成金の申請から入金までの流れ

補助金・助成金を申請する際は、申請手続きを行う前に情報収集をしなければなりません。支給を希望する補助金・助成金のWebサイトでパンフレットや公募要領を確認しましょう。情報収集をしたら、申請を行います。補助金・助成金の申請から入金までの流れは、以下のとおりです。

補助金の申請から入金までの流れ

補助金の申請から入金までの流れは、補助金の種類によっても異なりますが、基本的には以下のような手順で進みます。

補助金の申請から入金までの流れ

  1. 申請書・事業計画書などの必要書類の提出
  2. 審査と採択
  3. 交付申請と交付決定
  4. 事業実施後に報告書を提出
  5. 補助金の入金

最初のステップは、申請書と事業計画書などの必要書類の提出です。書類を提出したら、補助金を支給するか否かを決定する審査が行われます。

審査によって補助金交付事業として採択されたら、採択結果と申請可能額が通知されます。申請可能額は申請額から減額されているケースもあるため、必要に応じて事業内容を修正して交付申請を行わなければなりません。

交付申請まで進んでも、実際に補助金が入金されるのは事業の実施後です。入金より先に事業を実施してから報告書を提出し、請求手続きを行います。実施された事業の内容に問題がなければ、補助金が入金されます。

補助金の申請から入金まで、一般的には1年ほどの期間がかかりますが、場合によってはさらに長期間となるケースもあるため、事前にスケジュールを確認しておきましょう。

助成金の申請から入金までの流れ

助成金も、種類によって申請から入金までの流れは異なりますが、以下のような手続きを行うのが一般的です。

助成金の申請から入金までの流れ

  1. 申請書・事業計画書の提出
  2. 事業開始
  3. 支給申請と審査
  4. 助成金の入金

助成金には、補助金のような事業の事前審査・採択といった手続きがありません。申請書や事業計画書などの必要書類を提出したら、提出した計画書どおりに事業を実行し、支給申請を行います。支給申請後は、計画した事業の実行の有無や、不正受給ではないことを確認するための審査が行われ、必要に応じて実地調査なども行われてから、助成金が入金されます。

助成金も、申請から入金まで1年ほどかかるのが一般的です。ただし、中には数カ月程度で入金されるケースもあります。

補助金・助成金を申請する際の注意点

補助金と助成金のどちらを申請する場合でも、共通する注意点があります。計画的にスムーズに受給できるよう、以下の4点に注意してください。

募集期間が決まっている

補助金や助成金は、申請できる時期が決まっているため、注意が必要です。いつでも申し込めるわけではないため、経済産業省や厚生労働省、地方自治体のWebサイトなどでスケジュールを確認しましょう。

申請を予定している補助金・助成金があるときは、状況をこまめにチェックしてください。

必ず支給されるわけではない

補助金・助成金は、申請すれば必ず支給されるわけではない点にも注意しなければなりません。

特に補助金は、事前審査に通過する必要があり、人気のある補助金は要件を満たしていても支給されない場合があります。また、助成金では事前審査はないものの、提出書類に不備があったり、実施した事業が最終的に要件を満たしていなかったりする場合は支給されません。

資金繰りが苦しくなって、当初計画した事業の実施が困難にならないよう、補助金・助成金に頼った事業計画を立てるのは避けましょう。

申請書や事業計画書作成などの手間がかかる

補助金や助成金を申請する際は、申請書や事業計画書など、さまざまな資料の作成に手間がかかる点にも注意しなければなりません。事務手続きの不備は受給できないリスクに直結するため、申請作業にも時間と人員を割く必要がありますが、その手間によって通常業務がおろそかになる可能性もあります。

書類作成は、行政書士、社会保険労務士、中小企業診断士などの専門家に代行依頼するのもひとつの方法です。

入金までに時間がかかる

補助金や助成金は、事業を実施してからでないと給付されないため、入金までに時間がかかる点にも注意しましょう。事業に必要な資金は、一旦自己資金で準備しなければなりません。事後入金になることを見越して、資金繰りの計画を立ててください。

会社設立時の助成金・補助金の申請は、専門家に相談して効率化しよう

原則として返金義務がない補助金・助成金は、資金不足になりがちな会社設立後の起業家を助ける、強い味方です。募集期間や募集要件、スケジュールなどを十分に確認し、活用できそうな補助金・助成金があれば積極的に活用してください。

ただし、補助金・助成金の情報収集や申請手続きは煩雑で、設立したばかりの忙しい時期には大きな負担です。補助金・助成金の申請に時間をとられ、生産性が低下して事業を停滞させては元も子もありません。書類の作成ミスや不備でせっかくの補助金・助成金受給のチャンスを逃さないためにも、申請手続きは専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

ベンチャーサポートグループでは、行政書士や社会保険労務士が補助金・助成金の情報を取りまとめ、経営者への申請支援や申請代行サービスを行っています。補助金・助成金を検討している場合は、お気軽にご相談ください。

創業支援マネージャーが全て解決、サポート

東京のレンタルオフィス情報 >>

戻る

<< 会社設立に用意すべき必要書類について
会社設立・スタートアップに税理士は必要か? >>

お問い合わせはこちら

戻る