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合同会社Vol.27 合同会社の代表社員とは?業務執行社員や代表取締役との違いも解説

森 健太郎

この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

合同会社Vol.27 合同会社の代表社員とは?業務執行社員や代表取締役との違いも解説

合同会社の「代表社員」。

株式会社の「代表取締役」と比べてあまり耳にしない言葉ですが、どのようなポストなのでしょうか。

その役割や決め方など詳しく解説します。

あわせて、「業務執行社員」や「代表取締役」との違いもご紹介します。

合同会社の代表社員とは?

合同会社の代表社員とは、合同会社の代表権を持つ社員のことです。

いわゆる社長を意味する場合が多いですが、厳密にいうと違います。

正しく理解するためには、合同会社の仕組みをわかっておく必要があります。

合同会社の仕組み

会社法上、合同会社は「社員」が単独あるいは複数で資本金を出資しあって設立されます。

ここでいう「社員」は従業員のことではありません。

「社員」=「出資者」であり、合同会社は出資した者が経営を行うという仕組みになっています。

株式会社では、株式を所有している人が出資者となります。

しかしその人が経営に参加するとは限りません。

出資者と経営者が分離しています。

これに対して合同会社では、出資している社員が経営を行います。

合同会社は出資者と経営者が同じで分離していないという特徴があるのです。

出資者=社員=経営者

出資者と経営者が同じである合同会社では、すべての社員が会社の決定権を持ちます。

決定権の大きさや強さは、出資額にかかわらずどの社員も平等です。

1円出資した社員にも100万円出資した社員と同等の決定権があります。

しかしすべての社員が等しい権限を持っていると、混乱を招く場合もあります。

1人の社員は契約に同意したけれど他の社員は反対した場合など、どちらの権限を優先するべきか、法的に収拾がつかなくなるおそれがあるのです。

そこで会社法は、社員の決定権を持つ代表者を選出して「代表社員」とし、決定権のありかを明確にする代表社員制度を設けました。

代表社員は登記簿に記載され、定款にも明記されます。

こうすることで、内外の決定権をめぐる混乱を避けることができます。

社長とは違うの?

代表社員はあくまでも、社員を代表して決定権を持つ存在です。

多くの会社では、このような存在の人を「社長」と呼称して「会社を代表する存在」としていますが、なかには会社を代表する存在である社長と決定権を持つ代表社員とを分けている会社もあります。

たとえば、経営の決定権は息子が持っているが、対外的な会議などには社長の肩書を持つ父親が出席している、などという場合も考えられるのです。

「代表社員」=「社長」とは限らないので注意しましょう。

代表社員の役割

代表社員の役割は、会社に関する決定を行うことです。

取引の最終意思決定や定款変更手続きなどの会社内務業務、融資審査の面談への出席など多くの役割があります。

わかりやすくいうと、最終的に書類に署名押印するのが代表社員の役割です。

さらにたいていの場合は会社を代表する存在として、社長としての役割も果たさなくてはいけません。

代表社員の決め方

代表社員は出資者である社員の中から決めます。

1人で設立する会社なら、その人が代表社員となります。

会社法上、代表社員を決める手段は定められていません。

多数決でも話し合いでもじゃんけんでもかまいません。

しかし代表社員の役割は多岐にわたり、責任も重大です。

社員で慎重に検討し、決定しましょう。

代表社員は複数いてもいい

代表社員が複数人いる合同会社も珍しくありません。

決定権のありかを明らかにするための代表社員制度ですが、あえて複数人おくことで、業務が円滑に進む場合があります。

たとえば、A分野とB分野を業務とする会社の場合、A分野に長けた人とB分野に長けた人の両方を代表社員とし、それぞれの分野に関する決定権を持たせるのです。

こうすることで意思決定がスムーズかつスピーディーになり、よりよい経営が期待できます。

国際的に展開する合同会社では、円滑な意思決定のために海外と国内で代表社員を分ける場合もあります。

代表社員が複数いる場合のデメリット

代表社員が複数いることで生じるデメリットもあります。

まず、逆に意思決定が遅くなる場合が考えられます。

代表社員に優劣がないため、意見が対立した場合に会社としての意思がまとまらず、経営が滞る可能性があります。

また、対外的に混乱を招くおそれもあります。

代表社員は会社名と氏名が入った印鑑を会社実印(「代表者印」ともいいます)として法務局に登録しますが、代表社員が複数の場合、会社実印も複数登録することが可能です。

複数の会社実印を登録している場合に、お互い知らない間に対外的な契約が成立している危険性があります。

このようなデメリットから、一般的には代表社員は1人にするのがおすすめです。

複数代表社員のメリットと比較して、よく検討しましょう。

代表社員の呼び方や肩書

会社法は、代表社員の呼び方や肩書について特に定めていません。

好きに名乗ることができますが、以下の呼び方が多いです。

  • ・社長
  • ・CEO
  • ・代表
  • ・代表執行役員
  • ・最高経営責任者

「代表取締役」と名乗る合同会社の代表社員もいますが、避けるべきです。

代表取締役は株式会社の代表者の肩書のため、株式会社であると誤解を招くおそれがあります。

違法ではありませんが、誤解した相手からの信用を失うなど思わぬトラブルに発展する場合もあります。

また、名刺には「代表」となっているのに今日の会議資料では「社長」となっているなど、会社内で統一されていない事例もあります。

そのときどきで気まぐれに、違う肩書を名乗る代表社員もいます。

いらぬ混乱を避けるため、代表社員の肩書はあらかじめ定款に定め、社内で統一しておきましょう。

業務執行社員との違い

「業務執行社員」と「代表社員」はどう違うのでしょうか。

業務執行社員とは

業務執行役員とは、出資と経営のどちらも行う社員のことです。

合同会社に出資した人は、基本的に社員として等しく決定権を持ち、業務と経営に携わります。

しかし出資者の中には、出資はするけれど経営には携わりたくない人や経営に長けているほかの社員に任せたいという人もいます。

このような場合に、業務執行の権限を持つ社員とそうではない出資しただけの社員を分けて定めることができます。

業務執行の権限を持つ社員を「業務執行社員」といい、業務執行社員を定めた場合、そのほかの社員は原則として業務に携わることができなくなります。

ただし、そのほかの社員も業務状況や財産の監視など、監査を行う権限はあります。

業務執行社員は登記が必要で、定款にも記載されます。

業務執行社員と代表社員との違い

業務執行社員と代表社員との違いは、代表権の有無です。

業務執行社員は代表権を持ちませんが、代表社員は代表権を持ちます。

業務執行社員と代表社員は、別々の人が就任することもできますし、ひとりが兼務することもできます。

代表権を持ち、かつ業務執行も行うのです。

ひとり会社の場合は、自動的に社員 兼 代表社員 兼 業務執行社員となります。

代表取締役との違い

代表社員と代表取締役の違いは、これまでお話ししてきた通りです。

合同会社の代表が代表社員、株式会社の代表が代表取締役です。

まとめ

合同会社の代表社員とは、会社の代表権を持つ社員のことです。

社員の中から会社決定権を持つ者として選任されます。

業務執行を行う業務執行社員とは代表権の有無という点で異なりますが、兼務することも可能です。

代表取締役は株式会社の代表者の肩書のため、合同会社の場合は名乗らないようにしましょう。

参考
合同会社設立って超簡単!合同会社について世界一わかりやすく説明!
>>合同会社設立って超簡単!合同会社について世界一わかりやすく説明!

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