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合同会社Vol.4 会社名を英語表記で登記する場合のチェックポイント
この記事の執筆者 税理士 森健太郎
ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック
海外との取引や海外進出も、今や珍しいことではありません。
日本語が通用しない取引相手の場合、日本語の会社名では不都合なことになります。
登記の際、対外的に通用する英語表記の会社名を、自由に決めることができるのでしょうか。
会社名を英語表記で登記する場合のチェックポイントについて、解説します。
登記は会社の証明
会社を始めるためには、会社を登記する必要があります。
登記された情報は公開されることによって、会社が信用力を持つことになります。
会社の設立には登記が必要
会社を設立する際は、商業登記制度に基づく登記が義務付けられています。
商業登記制度は、取引の安全と円滑化を図ることを目的に制定されているもので、会社についての重要な事項として定められている「登記事項」を登記しなければなりません。
登記された後は公開され、誰でも登記簿謄本を確認することができます。
登記事項は、会社の商号や目的、本店所在地、役員の氏名などで、登記簿謄本を閲覧した誰もが、会社が実在することや責任者の名前、行っている事業などを確認することができます。
取引相手は、取引相手となる会社の重要事項について登記簿を確認することができるため、安心して契約を結ぶことができます。
登記事項
会社についての重要な事項である登記事項は、会社法や商業登記法に定められています。
登記事項は、会社の種類ごとに性質が異なるため、それぞれで若干異なり、共通の事項と会社の種類ごとに異なる事項に区分されます。
たとえば、株式会社についての登記事項は、商号、本店及び支店の所在場所、事業の目的、発行可能な株式総数、発行済の株式総数、資本金の額、株式の譲渡制限についての規定、役員の氏名、代表者の氏名と住所、公告の方法が、必ず登記されることになります。
株式に関する記載は、株式会社では必須となるものの、合同会社では該当がありません。
ただし、株式を除く事項については、共通して登記が必要な事項となります。
英語表記で登記する場合のチェックポイント
実際、宣伝やニュースなどでもアルファベット表記の会社名を見かけます。
会社名に英語が使えれば、貿易や海外進出に有利でしょう。
また、他の商号との差別化や、洗練されたイメージを与えることも可能です。
ただし、自由に決めていい訳ではありません。
英語表記で登記する場合のチェックポイントを紹介します。
商号のルール
商号とは、「株式会社 XX」や「◯◯商店」など、個人商店や会社の名称です。
登記事項である商号は、一定の基準を満たせば、日本語以外の文字や記号を使用することができます。
まず、そのルールを確認しましょう。
使用できる文字と使用できない文字
日本語である、ひらがなやカタカナ、漢字は使用できます.このほか、アルファベットやアラビア数字、一部の記号も使用が認められています。
使用が認められる記号は、「&(アンパサンド)」「’(アポストロフィ)」「,(カンマ)」「-(ハイフン)」「.(ピリオド)」「・(中点)」で、商号の先頭や末尾を除き、使用できます。
一方、これ以外の記号は使用できません。
また、ローマ数字(時計文字)やアルファベット以外の外国の文字も使用が認められていません。
会社の種類は漢字で付ける
会社の種類とは、株式会社や合同会社、合資会社などのことです。
商号は、先頭か末尾に、会社の種類を付けなければなりません。
また、会社の種類は、漢字で表記し、「Company Incorporated」「Corp.」「Inc.」「Co.Ltd」のような英語を使用することはできません。
合同会社の場合は、「◯◯合同会社」または「合同会社◯◯」としなければなりません。
合同会社が「◯◯株式会社」などと表記することはできません。
特定の語句や名称は禁止
商号に、特定の語句や名称を使用することが禁止されています。
たとえば、「支店」「支社」「出張所」「事業部」など会社の一部門を表す語句や、わいせつや犯罪に関連するといった公序良俗に反する語句は使用できません。
また、国などの公的機関や銀行、信託、保険などの名称は、実際に同じ業種でない限り、使用が禁止されています。
一つの住所に同じ商号を使えない
同一住所で同一の商号を登記することは認められていません。
なお、現在の会社法が施行される前は、同一の市町村内で他人が同じ商号や類似している商号を登記していた場合、同じ目的で登記することは認められていませんでした。
現在、この規制は廃止されているため、同一市町村でも自由に商号を決めることができます。
ルールの範囲で英語を使うことができる
商号は、「株式会社 利根」のように、会社の種類と会社の名称を組み合わせて決めます。
会社の種類については、漢字を使う必要がありますが、会社の名称は、ルールの範囲内であれば英語を使用することができます。
アルファベットは認められているので、「株式会社 TONE」と表記することができます。
大文字と小文字を区別して使うことも可能なため、「Tone 」とすることもできます。
また、アンパサンド、コンマ、ハイフン、中点も、字句を区切るための符号としての使用が認められているため、{TO&NE}「TO-NE」「TO・NE」などと表記することも可能です。
なお、ピリオドについては、字句を区切るほか、直前にアルファベットを使用することで、省略をあらわす符号として使うこともできます。
日本語とアルファベットを組み合わせ、「株式会社 Riv.利根」などとすることも可能です。
会社の名称の配置は、自由に決めることができます。
会社の種類も英語表記したい場合は定款で定める
商号は、会社の種類を漢字で付けなければいけないため、全ての文字や語句を、アルファベットや英語で登記することはできません。
しかしながら、会社の基本的なルールを定めるための「定款」において、そのまま対外的に通用する英語の会社名を定めることができます。
定款は、登記申請の際の添付書類となります。
定款とは?
会社の基本的なルールを定めた文書を「定款」と呼びます。
株式会社の定款は、公証人による認証を受けることになっています。
定めた定款は、認証を受けることによって、法定の手続きや方式で行われていることが、対外的に証明されることになります。
定款では、商号、事業の目的、本店所在地などが規定されることになります。
定款に記載する事項は、「絶対的記載事項」、「相対的記載事項」、「任意的記載事項」の3種類 に分かれます。
絶対的記載事項は、名称の通り、定款に必ず記載しなければならない事項です。
具体的には、商号、事業の内容、本店の所在地、出資額、発起人の氏名と住所、発行可能株式総数を、必ず記載しなければなりません。
相対的記載事項は、必ずしも記載しなければならない事項ではなく、記載がなければ効力が生じない事項です。
具体的には、現物出資の内容、株主総会などの招集通知を出す期間を短縮すること関する規定、取締役会の設置に関する規定、役員の任期の伸長についての規定、公告の方法、発起人が受ける報酬、その他の特別な利益の内容、株式譲渡制限に関する規定などがあります。
任意的記載事項は、絶対的記載事項と相対的記載事項以外で、法律に反しない範囲で、任意に決めた事項です。
株式の名義書換や定時株主総会の招集時期、役員の人数、決算期などの事項があります。
定款に英語名を併記する
定款で絶対的記載事項として位置づけられている商号については、登記事項の商号とは異なる、英語による表記を併記して定めることができます。
たとえば、「(商号)第一条 当会社は、株式会社 利根と称する。
なお、英文ではTone Inc.と称する」などと規定することができます。
認証を受けた定款は対外的な効力を持つため、国際的な取引や海外進出の際にも、この社名を公式に使用することができます。
また、銀行口座の名義としても使用することが可能です。
法的に効力のある英語名は対外的に効果を発揮
国際的な取引が当たり前の現在では、海外における現地法人としての登記だけではなく、日本での登記の際に、定款で英語の会社名を定める会社も多くなっています。
法的に効力のある英語の会社名があれば、相手も安心して取引を行うことができます。
取引には、契約書や請求書、領収証など重要な書類がつきものです。
これらの書類に記載することができるなど、対外的な効果が発揮されます。
まとめ
会社設立の登記に際しては、会社名を決めて申請することになります。
登記上の会社名は、完全な英語表記にすることはできませんが、定款で定めれば海外でもそのまま通用する名称とすることができます。
また、チェックポイントを抑えた上で、英語表記を利用した会社名を登記すれば、競合他社との差別化やイメージ戦略としても利用することが可能です。