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取締役会の設置、非設置について
この記事の執筆者 税理士 森健太郎
ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック
▼目次
会社の取締役として経営に関わる人が3人以上いる場合には、取締役会という組織を会社において、重要な事項について合議体制で意思決定を行うことが適切なことがあります。
取締役会は3ヶ月に1回会議を開く形で活動し、会社の資金調達や重要な財産の処分などについて話し合います。
また、会社のリーダーである代表取締役を取締役の中から選任するのも取締役会の重要な役割です。
取締役会は必ず置かないといけない機関というわけではありませんが、取締役会を置くことによって以下のようなメリットやデメリットが生じることがあります。
取締役会を設置するメリットとデメリット
取締役会を設置するためには、定款でその旨を定める必要があります。
定款で定めるということは、会社の外部の人が会社の登記簿謄本などを取得などを通して「この会社には取締役会が設置されているんだな」といったように知ることができることを意味します。
一般的に、金融機関などはたった1人の経営者が会社の経営を握っている会社より、複数の人が取締役会を構成しているような会社に安心感を感じる傾向がありますから、融資審査で有利に働く可能性があります。
一方で、取締役会によって重要事項を決める場合、1人のオーナー経営者がすべてを決めている会社と比べると意思決定のスピードが遅くなるということも考えられます。
また、取締役会を設置する場合には、会計参与や監査役といった役職の人たちを設置する義務が生じます。
通常これらの人たちには役員報酬といった形で人件費を負担する必要が生じますから、あまりにも多くの人たちを取締役にしてしまうとコストが大きくなってしまうというデメリットもあります。
取締役会で決められること
取締役会の権限について、法律では以下のように定められています(会社法第362条)。
- 1. 取締役会設置会社の業務執行の決定
- 2. 取締役の職務の執行の監督
- 3. 代表取締役の選定及び解職
- 4. 取締役会の専権事項
取締役会はすべての取締役が構成員となって組織することになっており、取締役会はその取締役の中から1人以上の代表取締役を選任しなくてはなりません(代表取締役は2人以上でも構いません)。
4の取締役会の専権事項というのは、本社ビルなどの建物や商品製造を行うための機械設備など、経営の根幹に関わるような重要な財産の処分や譲受け、借入金の受け入れ、役員以下の人事決定(支配人や使用人の選任と解任)などがあります。
また、株主構成に影響を与える事項についても取締役会の専権事項とされているものがあります。
例えば、発行可能株式総数を上限とする増資の決定や、自己株式の取得、株式分割などは取締役会の決議によって決めることになっています。
通常の取締役会で決めることができないこと
一方で、通常の取締役会の決議では決めることができないこともあります。
代表的なのは取締役個人と会社の利害関係が一致しない事項に関することです。
例えば、会社が取締役に対してお金を貸し付けるような場合には、取締役会で決めてOKということにしてしまうと会社に不当な利益を生じさせる可能性があります。
このような場合には当該の取締役(利害関係のある取締役)は取締役会の決議に参加することができず、その他の取締役だけで構成される取締役会で決議を行うことになります。
また、代表取締役を決める際の取締役会では、候補となっている取締役は決議に参加することができません。
まとめ
以上、取締役会の設置をすることによるメリットやデメリットについて解説させていただきました。
取締役会を設置することによって、複数の経営者が会社の重要事項の決定に参画することになり、より客観的な判断ができるようになる可能性があります。
一方で、事業が始まったばかりの段階で多くの経営者が会社の経営に関わることは意思決定スピードの低下などをまねくデメリットもあります。
会社の機関設計を考える場合には、事業の現在の状況に鑑みて慎重に判断するようにしましょう。
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