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事業目的には将来予定している内容も盛り込むといいの?
この記事の執筆者 税理士 森健太郎
ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック
▼目次
会社を設立するときには、定款で会社の事業目的を定める必要があります。
事業目的というのは会社がメインで行う事業の内容を書くのが一般的です。
ただ、メインで行う事業といっても、会社の設立当初というのは収益を少しでも拡大するためにいろんな事業に挑戦するということも少なくないと思います。
あまり初期の段階で事業目的を限定してしまうのに不安を覚える…という方や、将来的に取り組みたい事業内容を事業目的として含めておきたいという方も多いかもしれませんね。
ここでは会社設立にあたって、事業目的を定める際に注意しておくべきポイントについて解説させていただきます。
これから会社設立の手続きを行う事業者の方は参考にしてみてくださいね。
将来行う予定の事業を事業目的に盛り込むのはOKか?
結論から言うと、現在は行なっていなかったとしても、将来的には取り組もうと思っている事業を会社の事業目的に盛り込んでおくことに問題はありません。
ただし、事業目的を決める際のルール(法律上の建前)としては、以下のような条件を満たす必要があります。
明確な内容であること
例えば、「営利を目的とする一切の事業」ではやや漠然としすぎていると思われます。
会社である以上は営利を目的とするのは当然のことですから、これでは何も書いていないのと同じと判断されてもやむを得ません。
会社が主として扱う商品やサービスの内容からある程度限定した事業目的を考える必要があります。
営利目的であること
会社は営利を目的とする組織である必要がありますから、公益的な目的だけを事業目的にかかげるのは適切ではありません(「老人福祉に資すること」など)。
何らかのビジネスに関わる事業者であることがうかがえる事業目的にしておく必要があります。
適法なものであること
当然なことですが、会社は法律の範囲内で活動する組織でなくてはなりません。
注意点としては許認可や資格が必要になる事業の存在です。
例えば、弁護士や税理士といった専門資格を持たない人が「税務申告に関する事業」「民事訴訟に資するサービス」といった内容を掲げてしまうと、意図せずに適法性を欠いてしまう結果となることが考えられます。
会社は事業目的の範囲内でのみ事業ができる
法律上、会社は定款で定めた事業目的の範囲内でのみ事業を営むことができるということになっています。
そのため、あまり限定された内容の事業目的を定款に書いてしまうと、会社として行う事業が限定され、ビジネスチャンスを逃してしまうのでは…という心配がある方もおられるかもしれませんね。
しかし、事業目的と外れる事業や取引を行ったからといって問題となるようなケースというのは非常に限られているのが実際のところです。
具体的には、会社の取引相手が過去に行った取引を無効にしたいというような場合に、意図的に「この取引は会社の事業目的と外れているので、無効だ」というような形で裁判で争うような場合に、問題となるようなケースに限られるでしょう。
さらに、このようなトラブルにまきこまれたような場合にも、あまり大きな問題となることは少ないというのが実際のところです。
というのも、会社はそもそも営利を目的とする組織ですから、事業目的に直接的に該当する行為ではなかったとしても、「事業目的を支える役割を持っている事業」とみられる場合には定款記載の事業目的の範囲内とみなすことができるためです。
例えば、定款に書いている事業目的が「通信サービス事業」であったとしても、事業の結果として得た利益を、現金で寝かせておくのはもったいないから不動産投資の原資にする…ということもあるでしょう。
その不動産投資の結果として得たお金は本業である通信サービス事業に再投資することができるわけですから、営利を目的とする会社として行う事業として不適切なことは何もありません。
このように、会社が事業として行う取引や投資行為が、定款記載の事業目的に合致しないことで問題が生じるケースは非常に限定されると考えられます。
事業目的はたくさん書くほど良い?
上でも解説させていただいた通り、会社が将来的に取り組もうと考えている事業を設立時の定款に事業目的として定めることに問題はありません。
一方で、事業目的をあまりにもたくさん定款に記載することがメリットになることも少ないと言えるでしょう。
定款は金融機関の融資審査を受ける時や、新規の取引先との取引を開始するときには登記簿謄本の取得などを通してチェックされる可能性があります。
その際に「この会社は主として通信事業を行いながら、青果の卸売りもして、しかも不動産賃貸業をして…」という内容の定款になっていると「結局この会社は何をやっている会社なんだ?」といぶかしまれてしまうかもしれません(少なくともプラスの評価にはならないでしょう)。
定款記載の事業目的を考える際には、会社のメインの事業をシンプルに表現するのが望ましいです。
簡潔にすぎる…という不安がある場合にも、上で解説させていただいたように営利を目的とする株式会社である以上、メインの事業を支えるためにいろんな取引を行うことは自然なことですから、問題となることは少ないです。
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