雑誌の記事で相続登記が義務化されるという記事を目にしましたが本当でしょうか？

相続登記とは、被相続人が所有していた土地や建物の名義を相続人の名義に変更することです。
銀行預金や有価証券であれば、各金融機関などで手続きをすれば名義変更や解約などの手続きを行うことができます。
しかし、土地や建物などの不動産については法務局で登記の手続きを行わなければなりません。
費用もかかりますし、もともと住んでいた実家など、現在は使っていない不動産について相続登記する必要性を感じることもないことから、相続登記を行わないケースも少なくないのです。

しかし、相続登記を行わないことによる弊害やリスクも指摘されています。
まずは、その不動産の売却を行ったり、その不動産に担保の設定を行ったりすることができないことです。
また、登記上の所有者が実態と異なることで、取壊しや増改築の工事を行うことが困難になる可能性もあります。
したがって、大きな変更を加えようとすることが困難になってしまうのです。

次に、相続登記が行われていない不動産については、第三者から見れば登記上の所有者の相続人によって共有されている状態となります。
仮に遺産分割協議書で相続する人が決められていても、そのことが登記に現われていなければ、第三者は登記を信じるしかないためです。
その結果、ほかの相続人の持分を差し押さえられたり、単独所有であるはずの不動産が勝手に共有登記に変更されてしまったりする可能性があるのです。

このように、相続登記を適切に行わないことによる問題は後から発生してしまうため、そのような問題が生じることのないように相続登記を義務化しようという議論がされています。
また、現状空き家が増えており、今後ますます地方を中心に空き家が増加すると予想されていることから、防災上、衛生上、防犯上などの観点で、空き家がこれ以上大幅に増えることのないようにするため、相続登記の義務化が検討されているのです。
ただ、具体的にいつから義務化が行われるのか、相続登記されていないままの不動産についての取扱いはどうなるのか、罰則はどうなるのかといった具体的な内容はまだ決まっていません。
しかし、義務化される前であっても、相続登記しないことには様々なリスクがあるため、できるだけ早く相続登記を行う必要があるといえるでしょう。