昨年末に父親が80歳で急死しました。
父はそれまでほとんど大きな病気をしたことがなかったので、家族みんな大変にびっくりしました。
おそらく本人もまだまだ長生きするつもりだったと思いますし、無念だったに違いありません。
あまりに急なことで、父は相続対策や遺言書の作成などを行っていませんでした。
それでも、母と私(長女)、そして弟2人(長男・次男)で行った遺産分割協議は、大きく揉めることもなく無事に成立しました。
父親名義となっていた土地が何筆かあったため、私以外の母と長男・次男の3人がそれぞれ相続しました。
ところで、相続登記については司法書士の先生に依頼せずに自分たちでしようという話になっていたのですが、実際に登記を行う段階になって3人とも多忙のため自分で法務局に行くことができないということになり、私が代わりに登記を行うこととなりました。
このような場合、委任状が必要となるのでしょうか。
委任状とはどのような書類なのでしょうか。
相続登記に限らず、相続に関する手続きを行うのは原則として、その財産を相続した本人です。
例えば銀行や証券会社で名義変更や解約の手続きを行う場合、あるいは自動車を売却する手続きなど、その財産を相続した人が行う必要があります。
しかし、中にはどうしても相続人本人が手続きをできない場合もあります。
多忙で平日に役所や金融機関に足を運ぶことができないとか、病気や高齢のために出かけることが難しい場合もあります。
そのような場合は、本人に代わって代理人が登記を行うことができます。
このような場合、たとえ相続人の家族が代わりに法務局で相続登記を行う場合であっても、委任状が必要です。
本来は相続人だけが相続登記をすることができるのですが、その相続人から登記に関する権限を与えられているということを証明する必要があるためです。
いくら相続人の子供や兄弟であることを証明しても、登記に関する権限を付与されているかどうかはわからないため、そのことを客観的に証明するために委任状が必要なのです。
なお、代理人が登記を行う場合であっても、未成年者の相続人がいて、その法定代理人が未成年者に代わって相続登記を行う場合、委任状は不要とされています。
同じように、認知症など判断能力が低下した人が成年後見人を選定した場合にも、当然に本人の代理権が認められるため、委任状は不要とされます。
なお、委任状に正式な書式や法定の決まりはありません。
委任する人と受任する人の住所は、住民票に記載されたものにすること、相続登記を行う際にはその登記を行う不動産の住所を正確に記載すること、登記の目的(例えば「所有権移転」など)を記載すること、登記の原因として「令和2年〇月〇日相続」などと記載すること、相続人の情報や不動産の情報を記載することなどです。
また、不動産の登記だけを司法書士に依頼することも多いと思います。
このような場合には、委任状も司法書士の方で準備してもらうことができるので、相続人が何かを準備する必要はありません。
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