先日、夫が亡くなりました。夫の遺言等はありませんでした。
相続人は、専業主婦であった私と子供2人(長男と次男)の合計3名です。
家のお金は基本的に夫が管理しており、夫の給与の振り込みはもちろん、各種の費用の支払い等、生活費なども夫名義の預金口座から引き落としなどで支払っていました。
今回、夫が亡くなったことにより、夫名義の預金はどの様に相続されるのでしょうか。
また、先日、銀行のATMで預金の引き出しをしようとしたところ、遺産分割協議が完了しないと、預金の払い戻し等はできないと言われてしまいました。
しかし、子供2人は既に独立していることもあり、また、夫の財産としても不動産があるなど、なかなか簡単に遺産分割協議がまとまるとは思えない状況です。この場合、いつまでも預金が引き出せないとすると、日々の生活日もままならない状態となってしまいます。
なんとか、預金を引き出す方法はないでしょうか。
行政書士 本間剛
ご質問にあるとおり、相続が発生した際に遺産分割協議が完了していないと、金融機関の預金を払い戻すことができないこととされていました。
このようになったのは2016年12月以降のことで、預金を引き出す際には遺産分割協議書が必要とされていました。
相続税の申告期限である相続発生から10か月が経過した日までに遺産分割協議を成立させるケースが多いため、多くの場合、およそ1年近く金融機関から預金を払い出せないという事態が生じていたのです。
この点については、2018年7月に民法改正が行われました。
その結果、遺産分割協議書がなくても預金の一部を引き出すことが可能となっています。
このことを相続預金の払い戻し制度といい、具体的には、預金額の1/3に法定相続分を乗じた割合に相当する金額まで引き出しが可能となったのです。
ご主人が亡くなった今回の相続では、あなたの法定相続分は1/2であるため、預金額に対して1/3×1/2=1/6までは遺産分割協議が成立する前でも引き出すことができます。
(ただし、金融機関ごとに150万円を上限額とします。)
預金の全額を引き出したり、名義を変えたりするのは、これまでどおり遺産分割協議が成立してからでなければできません。
また、相続預金の払い戻し制度を利用する際には、被相続人の除籍謄本や相続人全員の戸籍謄本、払い戻しを行う人の印鑑証明書などの必要書類があるため、ATMでの引き出しはできません。
必ず窓口で手続きを行うようにしてください。
行政書士 本間剛
相続サポートセンター(ベンチャーサポート行政書士法人) 代表行政書士。昭和55年生まれ、山形県出身。
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大卒後、税務署に就職し国税専門官として税務調査に従事。税理士としても10年を超えるキャリアを積み、現在は「相続に精通した税理士としての知識」と「元税務調査官としての経験」を両輪として活かした相続税申告を実践中。
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