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初めての相続で不安な方へ

遺族年金をもらっています。70歳以上になった時の年金の額はどうなるのでしょうか?

私の夫は3年前に68歳で他界しました。

それまで大病もしたことがなく、何の準備もないまま突然の死でしたが、夫の遺族年金をもらいながら生活をしております。

そのような状況の中、私自身も来年には70歳を迎えます。

遺族年金を受給する手続きを行う際には、様々な手続きで苦労した記憶があり、70歳となることでまた何か手続きをしなければならないのか、あるいは遺族年金の支給が終了してしまうのか、支給額などに何か変更があるのかといった不安を感じています。

もし遺族年金の支給が終了してしまうようなことにでもなれば、今後どのように生活していけばいいかわかりません。

70歳以上になると遺族年金の支給額などに何か変更はありますか。

専門家の解答

質問の内容から、年金を受給できるかどうかが今後の生活に大きくかかわってくるため、不安を抱えていることが伝わってきます。

結論から申し上げれば、来年70歳になることで遺族年金の支給要件や支給額に変更はないため、これまでと同様の遺族年金を引き続き受給することができます。

ここで、遺族年金をもらうための要件について改めて確認しておきましょう。

まず遺族基礎年金ですが、前提として亡くなった人に子どもがいない場合、あるいは亡くなった時点で20歳未満の子どもがいない場合は遺族基礎年金は支給されません。

遺族基礎年金が支給されるためには、亡くなった人と受給する人の双方に要件があります。

亡くなった人については、

  • 国民年金の被保険者である間に死亡したとき
  • 国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の人が死亡した場合
  • 老齢基礎年金の受給権者であった人が死亡したとき
  • 保険料納付済期間や保険料免除期間・合算対象期間を合算して25年以上ある人が死亡したとき

このいずれにも該当しなければ、遺族基礎年金が支給されません。

受給する人については、死亡した人によって生計を維持されていた人でなければなりません。

次に遺族厚生年金についても亡くなった人と受給する人の双方に要件があります。

まず亡くなった人については、

  • 厚生年金保険の被保険者である間に死亡した場合
  • 厚生年金保険の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき
  • 1.2級の障害厚生年金受給者が死亡したとき
  • 老齢厚生年金の受給権者であった人が死亡したとき
  • 厚生年金保険の保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間を合算して25年以上ある人が死亡したとき

このいずれにも該当しなければ支給されません。

受給する人については、死亡した人によって生計を維持されていた人でなければなりません。

以上の受給要件を満たして遺族年金が支給されているのであれば、70歳を迎えたことで遺族年金の支給が打ち切られたり、支給額が減額されることはないため、安心してください。

70歳以上でも遺族年金は受け取れる

70歳以上でも遺族年金は受け取れる

70歳以上の夫が死亡した場合など、遺族年金が受け取れるかどうか不安に思う人は多いでしょう。

遺族年金は、一定の要件を満たしていれば受け取りは可能です。

亡くなった人、遺族となった人のどちらか一方が70歳以上であった場合でも同様です。

満たさなければならない要件も変わりません。

遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります。

遺族基礎年金では、死亡した人や配偶者に年齢等の特別な要件はありません。

しかし遺族厚生年金では、受給資格期間が25年以上なければならないなどの要件があります。

また、遺族は死亡した人に生計を維持されていた配偶者と子である必要があり、子は年齢などの要件を満たさなければなりません。

遺族年金の手続き・受け取りについて

「遺族年金って、どうすればもらえるの?」と思う人もいるでしょう。

遺族年金は受け取りの資格があったとしても、手続きしなければもらえません。

近くの役場に行き、下記の書類を提出してください。

  • ・年金手帳
  • ・戸籍謄本
  • ・住民票の写し(世帯全員)
  • ・住民票の除票(死亡者)
  • ・請求者の収入が確認できるもの
  • ・死亡診断書
  • ・受取先金融機関の通帳など

マイナンバーの記入で、省略できる書類もあります。

くわしくは役場に問い合わせて、確認してみましょう。

また手続き自体は、亡くなった日の翌月から受け付けています。

気になる支給開始ですが、手続きから3~4ヶ月程度かかることが多く、偶数月に2ヶ月分まとめて支給されます。

手続きから支給まで時間がかかったとしても、給付されていない期間分をまとめて受け取れるので安心してください。

70歳以上だと遺族年金は平均いくらもらえるのか

70歳以上の夫死亡時など、亡くなった人が70歳以上だと遺族年金は平均いくらもらえるのでしょうか。

実は、70歳以上になったからといって、遺族年金の金額が変わるわけではありません。

ここから遺族年金の計算方法を紹介します。

遺族基礎年金の計算方法

配偶者に支給される遺族基礎年金の金額は、年額で「779,300円+子の加算額」という計算式で表されます。

子の加算額は、2人までであれば1人あたり224,300円で、3人目以降になると1人あたり74,800円です。

対象となる子の要件は以下のとおりです。

  • 18歳になった年度の3月31日までか、20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態かのいずれかであること
  • 結婚していないこと

子の年齢が要件を満たさなくなったとき、加算額の対象から外れます。

2人以内だった場合は224,300円減額され、3人以上だった場合は74,800円減額されます。

遺族基礎年金の額は、以下の表のとおりです。

配偶者と子が受け取る場合
基本額 加算 合計
子が1人の場合 779,300円 224,300円 1,003,600円
子が2人の場合 779,300円 448,600円 1,227,900円
子が3人の場合 779,300円 523,400円 1,302,700円
子だけが受け取る場合
基本額 加算 合計
子が1人の場合 779,300円 0円 779,300円
子が2人の場合 779,300円 224,300円 1,003,600円
子が3人の場合 779,300円 299,100円 1,078,400円

(2021年12月時点)

参考:遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)|日本年金機構

遺族厚生年金の基本的な計算方法

遺族厚生年金は、全額で老齢厚生年金の報酬比例部分のうち4分の3が支給されます。

老齢厚生年金は、厚生年金に加入して受給要件を満たしたときに原則として65歳以降に支給されるもので、老齢基礎年金に上乗せされる年金です。

老齢厚生年金には、定額部分と報酬比例部分があります。

報酬比例部分は、厚生年金保険に加入している期間及び期間中の報酬額に基づき計算されるものです。

報酬比例部分は、平成15年3月以前に加入していた期間と、平成15年4月以降に加入していた期間を別々に計算し、それを足して求めます。

平成15年3月31日までの期間は「平均標準報酬月額×1000分の7.125×加入期間の月数」で求められます。

平均標準報酬月額は、標準報酬月額の総額を加入期間の月数で割った額です。

また、老齢厚生年金の受給権者が亡くなったときは、式の「1000分の7.125」の数値は亡くなった人の生年月日に応じて「1000分の7.125~1000分の9.5」になります。

平成15年4月以降の期間は「平均標準報酬額×1000分の5.481×加入期間の月数」で求められます。

この式中での平均標準報酬額は、期間内の平均標準報酬月額と標準賞与額を足したものを、加入期間の月数で割った額です。

老齢厚生年金の受給権者が亡くなったときは、式の「1000分の5.481」の数値は無くなった人の生年月日に応じて「1000分の5.481~1000分の7.308」になります。

(2021年12月時点)

参考:遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)|日本年金機構

種類の違う年金は両方受け取れる?

種類の違う年金は両方受け取れるのでしょうか。

ここから、種類の違う年金の受け取りについて紹介していきます。

遺族年金と老齢年金はどちらか一方を選択

老齢年金とは、故人の年金ではなく本人が受け取れる年金です。

そのため、老齢年金と遺族年金は両方受け取ることはできず、どちらか一方を選択する必要があります。

どちらを選択した方が良いのかは状況に応じて異なるため、慎重に選ばなければなりません。

受給資格が老齢基礎年金のみである場合、遺族基礎年金を選択した方が老齢基礎年金よりも高くなることが多いです。

この場合は、基本的に遺族基礎年金を選ぶことになるでしょう。

その反面、公務員や会社員であった人など、老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給資格がある場合は、遺族基礎年金よりも老齢基礎年金と老齢厚生年金を選択した方が金額も大きくなるケースが多いです。

したがって基本的に老齢年金を選択することになります。

遺族厚生年金と老齢年金はケースバイケース

遺族厚生年金と老齢基礎年金は両方受け取ることができます。

しかし、老齢厚生年金はケースによって異なるため、注意が必要です。

遺族厚生年金と特別支給の老齢厚生年金は、どちらか一方を選択しなければなりません。

特別支給の老齢厚生年金は、60歳~64歳までの期間に支給される老齢厚生年金を指します。

通常のケースであれば、特別支給の老齢厚生年金よりも遺族厚生年金の方が高額となるため、そちらを選択した方が多く支給されます。

65歳以上になると、老齢厚生年金と遺族厚生年金は同時に支給されますが、遺族厚生年金のうち老齢厚生年金に相当する金額は支給されません。

遺族厚生年金の受給権者が死亡した人の配偶者であった場合、遺族厚生年金の支給額は以下の2通りの計算式で出された値のうち多いほうの額となります。

  • 死亡した人の老齢厚生年金額の4分の3
  • 死亡した人の老齢厚生年金額の2分の1+支給される人の老齢厚生年金額の2分の1

遺族年金の受給中に扶養に入ることが可能

遺族年金の受給中に扶養に入ることが可能です。

社会保険上の扶養と税制上の扶養について、ここから解説します。

社会保険上の扶養とは

社会保険上の扶養とは、年金や健康保険に関する扶養控除のことです。

75歳未満の人は、75歳まで国民健康保険料を納めなければなりません。

そこで、社会保険上の扶養に入ると国民健康保険料を納付する必要がなくなり、社会保険上の扶養に入るメリットがあります。

しかし、扶養する人が国民健康保険の被保険者であるときは、扶養されているかどうかに関わらず、健康保険料の額は変わりません。

このケースでは社会保険上の扶養に入る意味はないため、注意が必要です。

年収が遺族年金を含めて180万円(60歳未満は130万円)以下かつ、同居では被保険者の年収の2分の1未満、別居では被保険者からの仕送り額未満のときは社会保険上の扶養に入れます。

税制上の扶養とは

所得税・住民税の控除、配偶者控除や配偶者特別控除税制上の扶養控除に関するものを、税制上の扶養といいます。

税制上の扶養に入ると、扶養している人の税金が安くなる点がメリットです。

70歳以上である人が子や孫の扶養に入ったとき、同居しているのであれば所得税58万円・住民税45万円分控除されます。

別居の場合でも所得税48万円・住民税38万円が控除されるのです。

税制上の扶養に入るための要件としては、年間合計所得額38万円(給与収入だけであれば103万円)以下で、扶養している人と生計を一にしているなどがあります。

相続もあるなら税理士に依頼しよう

配偶者が死亡して、年金の手続きだけではなく、相続が発生するケースもあります。

もし遺産の相続があるなら、税理士への依頼がおすすめです。

ここからは税理士に依頼するメリットを紹介します。

相続税の対策もできる

相続では、一定の金額を超えると、相続税が発生します。

相続税は他の税金に比べて、税率が高く設定されています。

そのため相続税対策をしておかなければ、高い税金を払うことになります。

また相続では大きな節税効果を期待できる特別なルールも多くあります。

ただし使うための条件が細かく決まっているため、法的な専門知識がなければ、十分な節税ができません。

そこで法律のプロである税理士に依頼することで、相続税の対策ができます。

「少しでも相続税を抑えたい」という人は、税理士への依頼がおすすめです。

面倒な手続きを任せられる

相続・年金の手続きに不安がある人は、専門家に任せるのがおすすめです。

相続には手続きの期限があり、期限を過ぎてしまうと、節税の仕組みが使えなくなったりします。

「自分で手続きしたい」という人もいるかもしれませんが、法的な知識のない状態で、必要書類を揃えて手続きを進めるのは大変です。

もし手続きでミスをしてしまうと、再度手続きをやり直すことになり、手間もかかります。

そこで専門家であれば、スムーズでミスのない手続きをしてくれます。

必要な書類の準備も任せられるため、自分で手続きを進める必要もありません。

初回の無料相談がおすすめ

「税理士に依頼したいけど、相続税申告にかかる税理士費用が気になる」という人もいるでしょう。

依頼費用が気になる人は、初回の無料相談がおすすめです。

無料相談であれば、費用がかからずに、相続・年金の相談ができます。

無料相談をしたうえで、実際に依頼したらどれぐらい費用がかかるか確認して、依頼するかどうかも決められます。

無料の範囲内であれば費用はかからないため、まずは無料相談から利用してみましょう。

まとめ

生計を維持していた夫死亡時など、遺族年金が平均いくら支給されるのか気になるケースは多くあるでしょう。

遺族年金は70歳以上でも受給可能です。

遺族基礎年金や遺族厚生年金の計算方法も、知っておくといざというときに役立ちます。

また種類の違う年金は同時に受け取れるものと、一方を選択しなければいけないものがあるため注意が必要です。

遺族年金の受給中に扶養に入ることもできるなど、知識を得ておけば有効に活用できるでしょう。

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