私は先日70歳になったところです。
妻とはずっと一緒に生活しているほか、社会人になってしばらく一人暮らししていた長男が、結婚を機に私たち夫婦と二世帯住宅で同居を始めてすでに10年近くたちました。
2人の孫にも恵まれ、現在の生活に不満はないのですが、私が死んだ時にどれくらいの相続税が発生するのか、非常に不安に感じています。
そんな中、孫に対する教育資金の贈与という制度があることを知りました。1,500万円まで無税で贈与できるため、できれば利用したいと考えていますが、相続税にどのような影響があるのか分からないため不安に思っています。
この制度を利用して生前贈与すれば、相続税の負担を減らすことができるのでしょうか。
教育資金の一括贈与は、平成25年4月から始まった制度です。
30歳未満の子供や孫などに対して、信託銀行などの金融機関で教育資金口座を開設し、1,500万円までの資金を無税で拠出することができます。
学校などに支払う入学金や授業料、学校以外に支払う学習塾や習い事の月謝などの教育費を、その口座から払い出すことができます。
教育費の負担は小さな子供を持つ親にとっては大きなものですから、この制度を利用することでお子さんやお孫さんは恩恵を受けることができます。
この制度を利用した場合の相続税に対する影響ですが、仮に1,500万円を贈与してそのお金を使い切る前に贈与した人が亡くなった場合で考えてみましょう。
教育資金の一括贈与を行った後に贈与した人が亡くなった場合、原則としてその贈与が亡くなる前3年以内に行われた場合には、贈与を受けた人が23歳未満である場合、贈与を受けた人が学校等に在学している場合、贈与を受けた人が教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受けている場合を除き、相続により取得したものとされます。
逆にいえば、お孫さんが学校に在学している間は、仮に贈与した直後に贈与した人が亡くなっても贈与税や相続税は課税されないということになるのです。
そのため、相続税の額を減らすのに有効な手段といえます。
ただ、注意しなければならないのは、教育資金として使いきれずに残された金額があるまま、贈与を受けた人が30歳になると、その30歳になった日に贈与を受けたこととされます。
この場合、相続税が課されていなくても贈与税が課される結果となり、トータルの税負担は逆に増えてしまう可能性があります。
相続対策ばかりを重視して、使いきれない金額が発生してしまうことのないようにしておきたいところです。
もし教育資金の一括贈与を行うのであれば、贈与した金額は教育関係の支出にしか使えないこと、残った金額や教育関係以外に使った場合には後でまとめて贈与税が課されることを覚えておき、できるだけ早く贈与を実行するようにしましょう。
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