先日、父が50歳の若さで急逝しました。
父には母(父の配偶者)、子供の私がいるほか、父の両親(私から見たら父方の祖父母)も健在です。
父の葬儀等も終わり、一段落した後で、遺産を整理していたところ、父が家族にも知らせないままサラ金から多額の借金を負担していることが判明しました。
この借金は誰が負担することになるのでしょうか。
相続人間の協議で、特定の者のみが借金の返済義務を負うとすることはできますか。
また、相続放棄という方法があると聞きましたが、相続放棄によって借金の返済義務を免れることはできますか。
相続放棄で借金を免れることができる場合、どの様な手続を行えばいいですか。その際の注意点についても教えてください。
司法書士 田中千尋
相続の際には、預貯金や不動産、有価証券のような財産だけでなく、借金などの債務も相続人が引き継ぐこととなります。
このたび、お父様が亡くなられたことで発生する相続については、配偶者であるあなたのお母様と、子供であるあなた(もし兄弟がいればあなたの兄弟も)が法定相続人になるので、法定相続人のいずれかの人が、借金を引き継いでその返済をしなければなりません。
遺言書がなければ、遺産分割協議によって実際にその借金を引き継ぐ人を決めます。
財産を分割して相続する人を決めるのと同じように、相続人の協議によって自由に引き継ぐ人を決めることができ、すべての相続人で分けることも、特定の相続人だけが引き継いでその後の返済を行うこともできます。
相続放棄は、すべての財産と債務を相続しないという意思表示です。
借金を引き継がないだけでなく、財産を相続することもできなくなるため注意しなければなりません。
相続放棄すれば、相続で借金を引き継ぐことはないため、返済義務を免れることができます。
相続放棄を行うためには、亡くなった日から3か月以内に家庭裁判所に申立てをしなければなりません。
相続放棄の手続きは、放棄したいと考える人が各自行う必要があります。
このたびの法定相続人であるあなたのお母様とあなたがともに相続放棄をしようと考えるのであれば、2人とも相続放棄の手続きをしなければなりません。
また、第1順位の法定相続人であるあなたが相続放棄を行うと、第2順位の法定相続人であるあなたの祖父母に相続権が移ります。
同様に、祖父母の方も相続放棄を行えば第3順位の法定相続人である父の兄弟姉妹(あなたの叔父・叔母)に相続権が移ります。
もし、祖父母の方や叔父・叔母の方も借金の返済義務を負いたくないのであれば、一緒に相続放棄の手続きをしなければならないため、忘れないようにしましょう。
司法書士 田中千尋
相続サポートセンター(ベンチャーサポート司法書士法人) 代表司法書士。昭和62年生まれ、香川県出身。
大学卒業後、司法書士事務所の勤務を経て、ベンチャーサポート司法書士法人の代表司法書士に就任。相続登記や民事信託、成年後見制度の業務に従事。相談者に親身になって相談を受けることを心がけている。
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昭和55年うまれ、大阪府出身。
大卒後、税務署に就職し国税専門官として税務調査に従事。税理士としても10年を超えるキャリアを積み、現在は「相続に精通した税理士としての知識」と「元税務調査官としての経験」を両輪として活かした相続税申告を実践中。
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