私の叔父は自動車部品の製造を営む株式会社の代表取締役社長をしていましたが、先日過労がたたって亡くなりました。
なんでも国内の自動車の売れ行きが近年特に悪いことから、最近ではあまり受注がなく会社の業績が悪化しており、数十人いた従業員を半分以上をリストラしていたそうです。
そのため、叔父は休日もほとんどとらずに毎日夜遅くまで工場で働いていたようです。
そんな過労がたたったのか、工場での作業中にくも膜下出血で突然倒れ、救急車で病院に運ばれましたが、治療のかいもなく入院後1カ月で亡くなってしまいました。
叔父の会社は、たたき上げの従業員さんが後を継いで、なんとか事業は継続の目途がたっているそうです。
先日会社から、今回の件について死亡退職金のほか弔慰金を叔父の遺族に支給するつもりだと連絡があったそうです。
叔父は倹約家だったため、それなりの財産を持っており、今回亡くなったことで相続税がどうやらかかりそうだということです。
この死亡退職金や弔慰金については、相続税の計算はどうなるのでしょうか。叔父の遺族は、叔母(妻)といとこ(娘)の2人です。
税理士 三ツ本純
死亡退職金や弔慰金を受け取った場合の、相続税の計算方法に関するご質問ですね。
まず死亡退職金とは、亡くなってから3年以内に支給される金額が確定したものをいいます。また、金銭で支給されたものに限らず、現物で支給される場合も含まれます。
相続人が受け取った死亡退職金は、「500万円×相続人の数」で計算される非課税額を超える部分の金額に対して相続税が発生します。今回のご質問の内容からすると、被相続人の奥様あるいは娘様に対して支給されることとなるでしょうから、非課税額を超える部分については相続税の対象となります。
また、被相続人の死亡によってそれまでの勤務先から弔慰金を受け取ることがあります。通常、弔慰金や花輪代として受け取る金額は相続税の課税対象となることはありません。しかし、その金額が一定額を超える場合は、死亡退職金と同じ取扱いで相続税の課税対象となります。
弔慰金は被相続人の死亡が業務上の死亡であるときは、被相続人の死亡当時の給与の3年分に相当する金額、被相続人の死亡が業務上の死亡でないときは、被相続人の死亡当時の給与の半年分に相当する金額までは非課税となり、これを超えると課税となります。
今回のケースでは、業務上の死亡に該当すると考えられるため、弔慰金の額が亡くなった時の給与の3年分の金額を超えるかどうか、注意して課税対象とすべきかどうかを判断してください。
税理士 三ツ本純
相続サポートセンター(ベンチャーサポート相続税理士法人) 税理士。昭和56年生まれ、神奈川県出身。
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大卒後、税務署に就職し国税専門官として税務調査に従事。税理士としても10年を超えるキャリアを積み、現在は「相続に精通した税理士としての知識」と「元税務調査官としての経験」を両輪として活かした相続税申告を実践中。
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