先日、60歳になる父から相続税セミナーでいい対策方法を聞いたと言われました。何でも「相続時精算課税制度」といって、財産を贈与しても2,500万円までは税金がかからないという方法があるそうです。
父はそれなりの財産を持っており、主な財産として預貯金8,000万円、自宅不動産4,000万円、賃貸不動産8,000万円、有価証券2,000万円があるそうです。
自宅はやや交通の不便な場所にあり、将来的に価値が上がることはないと思います。
その一方で、賃貸不動産は立地条件がよく地価はここ数年間わずかに上がっています。
また、常に満室で年間の賃貸収入は800万円ほどあるそうです。
有価証券は主に上場株式ですが、比較的リスクの少ない株式で株価はあまり変動しないと思います。
仮に父が亡くなったとすると、遺族になるのは母と私の2人です。
税理士 近藤洋司
それでは順番に質問にお答えしていきます。
①暦年贈与とは、一般的に行われる生前贈与のことをいいます。特別な制度ではなく、贈与といわれるもののことです。贈与を受ける人は、1年あたり110万円までは贈与をうけても非課税となりますが、110万円を超えると贈与税の申告をしなければなりません。
相続時精算課税制度とは、60歳以上の者から20歳以上(2022年4月以降は18歳以上)の直系卑属(子供や孫)に贈与を行った場合にのみ認められる制度です。その特徴は、贈与を行った金額の合計額が2,500万円までは課税されないこと、そして2,500万円を超える贈与を行った場合には一律20%の贈与税が発生することです。また、贈与を行った人が亡くなった際には、それまでに相続時精算課税制度を利用して贈与した財産を、その贈与を受けた人が贈与時点の価格で相続したものとして相続税を計算します。相続時精算課税制度により支払った贈与税がある場合には、その贈与税額を差し引いた残額を相続税として納付します。
②相続時精算課税制度の適用を受けるとメリットがある場合として、将来的に値上がりしそうな財産を先に贈与しておくケースがあります。通常は相続が発生した際に、その相続時点の価格で相続税を計算しますが、相続時精算課税制度を利用すれば、贈与時点での価格で相続税を計算することとなるため、より低い金額で相続税額を計算できることとなるのです。
また、収益物件について相続時精算課税制度を利用すると、毎年発生する収益の額が相続財産に含まれないこととなるため、結果的に相続財産を減らすことができます。お父様の保有している賃貸不動産についても、毎年800万円ほど収入があるとのことですから、経費を差し引いても年間数百万円、10年では数千万円の相続財産を減額することが可能になると思われます。
③マイホームを建てる際に相続時精算課税制度を利用すると、2,500万円までの贈与が非課税となります。また、住宅取得等資金の非課税制度を併用することができるため、一般住宅を取得した場合は(イ)700万円(ロ)2,500万円、耐震性などの基準を満たす住宅を取得した場合は(イ)1,200万円(ロ)3,000万円(ともに消費税率が(イ)8%(ロ)10%で2020年3月31日までに契約した場合)までの住宅取得資金を非課税で贈与を受けることができます。
相続時精算課税制度のメリットを最大限引き出すためには、収益不動産の全部または一部を相続時精算課税制度により贈与を受け、その収益をマイホーム取得資金として確保しておく方法もあります。この場合も、住宅取得等資金の贈与を別枠で受けることができるため、計画的に進めれば、購入時の資金に加え、住宅ローンの返済にも収益物件の収益を利用することができます。
税理士 近藤洋司
相続サポートセンター(ベンチャーサポート相続税理士法人) 税理士。昭和60年生まれ、愛媛県出身。
大学卒業後、不動産会社に就職。その後、税理士業界に転職。
評価する税理士によって差のでる、不動産の評価に強い。「全く同じ不動産はない」が口癖。わかりやすく、丁寧な説明でお客様からの信頼も厚い。
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相続サポートセンター(ベンチャーサポート税理士法人 相続部門) 代表税理士。
昭和50年生まれ、東京都浅草出身。
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相続サポートセンター(ベンチャーサポート税理士法人 相続部門)税理士。
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相続税の仕事に携わって13年。相続税が最も安く、かつ、税務署に指摘されない申告が出来るよう、知識と経験を総動員してお手伝いさせていただきます。
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相続サポートセンター(ベンチャーサポート税理士法人 相続部門)税理士。
昭和55年うまれ、大阪府出身。
大卒後、税務署に就職し国税専門官として税務調査に従事。税理士としても10年を超えるキャリアを積み、現在は「相続に精通した税理士としての知識」と「元税務調査官としての経験」を両輪として活かした相続税申告を実践中。
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