私は昨年80歳となりました。
相続対策をしなければならないほどたくさんの財産があるわけではありませんが、自分が死んだ時のためにいろいろな準備をしてきました。
相続対策については10年近く前から少しずつ始めており、相続税の負担を多少は減らすことができたと考えています。
また、遺言書も5年ほど前に一度作成しているのですが、その時とは財産の内容や私自身の考えも変わったため、もう一度遺言書を作成しようと考えています。
その際、自筆の遺言書より効果的と聞いた公正証書遺言を作成しようと考えています。
公正証書遺言とはどのような遺言書なのでしょうか。
また、自分で公正証書遺言を作成することはできるのでしょうか。
まず、公正証書遺言について解説する前に、遺言書の種類について簡単に説明しておきます。
遺言書には大きく分けて2種類あります。
1つは公正証書遺言、そしてもう1つは自筆証書遺言です。
この2種類の遺言書は、遺言書としての効力に違いはありません。
ただ、遺言書を作成する手順や作成方法には大きな違いがあるので、その点を中心に解説していきます。
公正証書遺言とは、公証役場で公証人と証人2人の立ち合いのもと作成する遺言書のことです。
公証役場に行かなければならないこと、証人を自分で探すか公証役場で証人となる人を手配してもらう必要があること、そして公証人や証人に遺言書の作成にあたって費用を支払わなければならないことが、自筆証書遺言を作成する場合との大きな違いです。
また、公正証書遺言は公証人によって作成されるため、自筆証書遺言のように自分で手書きする必要がないことも、自筆証書遺言とは大きく異なります。
公正証書遺言は作成した後、公証役場で保管されます。
公証役場に行けば必ず遺言書が手に入る状態であるため、遺言書の紛失や亡くなった後に発見されないという心配もありません。
また、改ざんや偽造の心配もなく、さらに発見後に家庭裁判所で検認の手続きを受ける必要もありません。
そのため、確実に遺言書を作成しその効力を発生させることができるという点で、自筆証書遺言より優れているということがいえます。
自筆証書遺言は自筆で作成する必要があること、そして死後に相続人が発見し家庭裁判所で検認手続きをしなければならない点で、公正証書遺言とは大きく異なります。
一方で、作成にあたって費用はかからないうえ、いつでも自分で作成できる点では公正証書遺言より優れているといえます。
今回のご質問では、公正証書遺言を作成したいという希望がおありのようですから、まずは公証役場に問い合わせをする必要があります。
そのうえで、公証役場に行く具体的な日程や証人の有無について打ち合わせをしてください。
なお、遺言書は何度でも作成することができます。
最後に作成したものが有効となるため、その内容を状況に合わせて変更していくことも可能なのです。
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