私は今年70歳を迎えます。
すでに会社を退職してからは5年ほど経ち、今はゴルフに出かけたり夫婦で旅行に出かけたりしながら落ち着いた日々を送っています。
5人の孫にも恵まれ、退職後も充実した日々となっていますが、その一方で私が死亡した時のことを考えると不安もあります。
私が死んだ時に、それほど多くあるわけではない財産をめぐって妻と3人の子供が揉めるのではないかと心配しています。
そこで遺言書を作成しておき、少しでも揉める可能性を低くしておきたいと考えていますが、遺言書を作成する際にはすべて自筆しなければならないと聞いたことがあります。
パソコンなどを使って遺言書を作成しても無効となるのでしょうか。
遺言書の作成方法を解説する前に、遺言書の種類について簡単に説明しておきます。
遺言書には、大きく分けて「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。
公正証書遺言とは、公証役場で公証人によって作成される遺言書のことをいうため、現時点で作成しようとしている遺言書とは別と考えることができるかと思います。
そこで、自筆証書遺言を作成する場合の作成方法について解説いたします。
自筆証書遺言とは、その名のとおり財産を保有している人が自筆で作成した遺言書のことです。
自筆しなければならないとされているのは、偽造や改ざんを防ぐためだと考えられます。
というのは、そもそも亡くなった人の部屋から発見されたような遺言書については、本当にその人が作成したものなのか、あるいは誰かが内容を書き換えているのではないかといったトラブルとなることがあるため、家庭裁判所で検認の手続きを受けて、正式な遺言書であることを認めてもらう必要があるのです。
パソコンなどで作成された遺言書の場合、誰が作成したものかを後から確認することができないため、自筆証書遺言を作成する場合は、自筆することが求められるのです。
ただ、遺言書のすべてを自筆することで、かえってトラブルになることもあります。
例えば、不動産の住所を登記とは異なる表記方法で記載してしまった場合や、金融機関の支店名を間違えてしまった場合などです。
このような記載の誤りは、遺産をどの相続人が相続するかという遺言書の本質的な問題とは異なり、住所の記載が謝っていたとしても普通はトラブルとなることはありません。
そこで、財産目録など遺産の内容を記載する際には、パソコンなどで作成してもよいとされました。
また、金融機関の口座や不動産の登記事項証明書のコピーをつけておくことも認められるようになりました。
このことにより、自筆証書遺言を作成する際に、単純なミスで無効になったり揉めたりするようなことが減るものと思われます。
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