私は現在、妻と2人暮らしです。
すでに退職し、年金と退職金の蓄えを使いながら生活しています。
自宅は40年近く前に購入したマイホームであり、今は住宅ローンも完済したのですが、しだいに相続のことで不安になっています。
というのも、自宅のほかに先祖代々の土地が2筆あるため、おそらく相続税が発生するためです。
相続税の負担を少しでも軽減できるのであればと、土地のうち1筆を長男に生前贈与しようかと考えています。
生前贈与をする場合、どれくらいの贈与税が発生するのでしょうか。
また、贈与を行っても贈与税が非課税となるのはどのような場合なのでしょうか。
生前贈与をする方が税金の負担を軽減できるということで間違いはないのでしょうか。
相続対策をする必要があると考えて、生前贈与をすることを検討しているのかと思われます。
しかし、生前贈与をすることがただちに税金負担の軽減につながるわけではないため、注意しなければなりません。
というのも、相続税の計算を行う場合、基礎控除と呼ばれる相続税がかからない金額が「3,000万円+法定相続人の数×600万円」として計算されるためです。
相続人が配偶者と子供1人の場合、4,200万円までの財産については相続税がかからず、それ以上の財産がある場合でも基礎控除を差し引いた後の金額に対して、相続税の計算を行うとされているのです。
また、相続税の計算を行う際に用いる税率は、贈与税の計算を行う際の税率より低くなっています。
そのため、一般的には贈与を行うよりも相続を行う方が、税額の負担が少なくなるのです。
一方、贈与税にも基礎控除があり、贈与を受けた受贈者1人あたり110万円となっています。
そのため、受贈者1人あたり年間110万円までの贈与であれば、贈与税はかかりません。
贈与税の計算は1年ごとに行うため、贈与を10年間行えば、基礎控除の額はあわせて1,100万円になります。
土地の生前贈与を行うのであれば、何年かに分けて贈与を行い、基礎控除の適用を多く受けることで、相続税を支払うより贈与税の金額が少なくなることがあるのです。
ただし、土地の贈与を行う場合は、贈与税とは別に負担しなければならないものがあるため、トータルの負担についても考えておく必要があります。
まず、不動産を贈与した場合には不動産取得税がかかります。
土地を相続した場合は不動産取得税がかかりませんので、贈与を行うと不動産取得税の金額の分だけ税負担が大きくなるのです。
また、贈与の登記手続きを司法書士に依頼した場合は、その分の費用がかかります。
相続を行った際には、1回分だけの登記の費用を負担すればいいのですが、生前贈与を何年にも分けて行った場合には、その分登記の費用も何回分も負担しなければなりません。
これらの費用負担を考えると、生前贈与を行うことが絶対に負担軽減につながるとは限らないので注意が必要です。
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