遺言書を開封する際に気を付けなければならないことはありますか？

遺言書を残しておくことは、その内容にもよりますが、相続人が揉めないようするため、そして亡くなる人の相続人に対する最後のメッセージとしても非常に大きな意味のあることです。
ただ、遺言書があれば必ず相続の手続きはスムーズに進むというわけではないため、その点は誤解のないようにしておいてください。

さて、実際に遺言書を作成するにあたってまず考えなければならないのは、遺言書をどのように作成するかです。
実務上は、遺言書の作成方法として「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」のいずれかになります。
自筆証書遺言は、その名のとおり、被相続人が自分で作成する遺言書です。財産目録はパソコンなどを使って印刷したものやコピーを使うこともできるようになりましたが、遺言書自体は自分で手書きすることが求められます。
これに対して公正証書遺言は、公証役場で公正証書として作成する遺言書です。遺言書自体を自筆したり、財産目録を自分で作成したりする必要はありません。

自筆証書遺言を作成した場合、その遺言書を開封する際には家庭裁判所で検認の手続きを行わなければなりません。
遺言書を発見した人が勝手に開封することは禁止されており、罰則の規程もあります。
自筆証書遺言を勝手に開封してしまったからといって、ただちにその遺言書が無効になるわけではありませんが、トラブルの火種を残してしまう可能性は十分にあります。
自筆証書遺言を作成する場合は、その遺言書を発見した人が勝手に開けてしまわないように、封筒に「家庭裁判所に行くように」といったコメントを書いておく、あるいは封筒を二重にしてその中に家庭裁判所で検認を行うよう記載したメモを入れておくなどの対策があります。
また、遺言書が発見されないということのないように、相続人に遺言書を作成したことを伝えておく必要があります。

また、遺言書の作成方法を自筆証書遺言ではなく公正証書遺言とすることで、開封や遺言書の紛失といったリスクを避けることができます。
公正証書遺言を利用することも考えてみるといいでしょう。