私は、現在、70代の独身女性です。
母は、私が40歳の時にがんで亡くなり、その後、父と二人暮らしをしてきましたが、私が50の時に父が脳梗塞で倒れました。幸い、そのときは一命を取り留めたものの、半身麻痺の後遺症が残り、日常生活にも支障が生じる状態になってしまいました。
そのため、それ以降、私は仕事と父の世話に明け暮れていて、私自身、結婚をすることもないまま70歳を迎えてしまいました。
先日、そんな父も亡くなり、現在は、私一人が遺された状態です。
もちろん未婚ですので子供もいません。
今回、父から自宅の土地・建物をはじめ、多少の財産も相続して、今後の生活には一応困らない程度の財産は有しています。
しかし、私自身が独身で、配偶者も子供も両親も兄弟もいない状態ですので、私が死んだら、これらの財産はどのように処理されるのでしょうか。その手続きの概要を含めて教えてください。
行政書士 本間剛
お子様、父母などの直系尊属、ご兄弟の誰もいない場合には、法定相続人がいないこととなります。
このように相続人が存在しない場合には、通常の相続とは異なるプロセスで相続の手続きが進行していきます。
まず、被相続人(今回の場合はあなたになります)の債権者などの利害関係者が家庭裁判所に「相続財産管理人」を選任します。
ほとんどの場合、地元の弁護士が相続財産管理人に就任します。
家庭裁判所は相続財産管理人を選任したことと、相続人がいるのであれば名乗り出るように1回目の公告を行います。
最初の公告から2か月を経過しても相続人として名乗り出る人がいない場合、相続財産管理人は被相続人に対して債権を保有している債権者や、被相続人から遺言により財産を受け取ることとなっている人がいれば申し出るように2回目の公告を行います。
この公告は2か月以上の期間を定めて行われ、その間に申し出る人がいればまとめて清算されます。
2回目の公告でも名乗り出る相続人がいない場合、さらに6か月以上の期間を定めて3回目の公告を行います。
この公告も相続人を探し出すことを目的として行われますが、期間中に名乗り出る者がいないと、そこで相続人の不存在が確定します。
相続人の不存在が確定した場合、親族関係者でなくても被相続人と特別の関係がある人(特別縁故者)は、相続人の不存在が確定してから3か月以内であれば財産分与の請求をすることができます。
例えば、療養看護を行っていた人などが特別縁故者になる可能性があります。
そして、ここで残った財産は国のものになるのです。
相続人がいない場合に、特定の人や団体に財産を残したいということであれば、遺言書を作成する必要があります。
逆にいえば、遺言書を作成すると法定相続人でない人に対しても財産を残すことができるのです。
もしお世話になった人がいるのであれば、遺言書を作成することを検討してもいいかもしれません。
行政書士 本間剛
相続サポートセンター(ベンチャーサポート行政書士法人) 代表行政書士。昭和55年生まれ、山形県出身。
ベンチャーサポート行政書士法人の代表行政書士。行政書士の手続き業務全般に精通。特に相続や遺言には専門知識を持つ。相続手続き業務は多くの書類作成が必要になり、お客様のお話を聞き、法律に則った形式の書類作成を心がけている。
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相続サポートセンター(ベンチャーサポート税理士法人 相続部門) 代表税理士。
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相続サポートセンター(ベンチャーサポート税理士法人 相続部門)税理士。
昭和55年うまれ、大阪府出身。
大卒後、税務署に就職し国税専門官として税務調査に従事。税理士としても10年を超えるキャリアを積み、現在は「相続に精通した税理士としての知識」と「元税務調査官としての経験」を両輪として活かした相続税申告を実践中。
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