公正証書遺言を作成したいと考えています。公正証書遺言を作成するためには証人を立てなければいけないと聞いたことがありますが、なにぶんプライベートなことですので、誰にお願いすればよいものか検討が付きません。そこで妹に証人になってもらおうと思うのですが、問題ありませんでしょうか。
行政書士 本間剛
公正証書遺言を作成するには、公証人のほかに証人2名立ち合いのもと作成しなければなりません(民法969条1号)。このとき問題となるのが、誰に証人を依頼するかです。
証人となる人に特別な資格などは必要ありませんが、遺言書の作成の場にずっといることとなるため、遺言書の内容をすべて知ることができます。そのため、遺言書を作成する人からすれば、身内であっても、その遺言書の内容をめぐってトラブルが起こるのではないかと心配である一方で、まったくの第三者に頼むことにも抵抗感があるところだと思います。
実際には、証人になることができない人が法律で定められており、これらの人を欠格者といいます。
【証人になれない人】
仮にこれらの人を証人として書いた公正証書遺言は無効となり、相続においてトラブルの原因となり注意が必要です。
あなたに子供がおらず、かつあなたの父母などの直系尊属がすでに亡くなっている場合、あなたの兄弟姉妹である妹さんが法定相続人となります。この場合、妹さんが推定相続人に該当することとなるため、証人となることはできません。一方、あなたにお子様がいるかご両親またはそのいずれかの方が健在であれば、その人が法定相続人となるため、妹さんは証人となることができます。
ただ、妹さんが証人となることができる場合であっても、身近な方が証人となることはトラブルのもととなる可能性があるため、あまりおすすめはできません。公証役場では証人を紹介してもらうことができるため、そのような形で進めた方が後にトラブルとならないと思います。証人に対する費用(日当)は2人で数万円程度かかりますが、遺言書を作成するために必要なコストと考えておきましょう。
公正証書遺言を作成するのは、公証役場の公証人です。
ただ、遺言を作成したのは間違いなく本人であること、公証人1人だけで作成した遺言が間違いなく本人の意思に基づくものであることが担保されないことから、証人の立会いが必要とされています。
法律上は2人以上の証人が必要と定められており、ほとんどの場合、2人の証人の立会いのもと、公正証書遺言が作成されます。
証人の立会いがなければ公正証書遺言は作成できませんし、有効に成立しません。
また、証人になれる人となれない人についても決まりがあるため、よく確認する必要があります。
関連記事:公正証書遺言の作成方法と注意点|公証役場での手続きの流れを動画付きで解説
公正証書遺言を作成するときに2人の証人が必要となります。
そこで、知り合いの誰かに証人を頼むことも考えられます。
ただ、この証人には誰でもなることができるわけではありません。
どのような人は証人になることができないのかを確認しておき、手続きの問題が生じないよう準備しておきましょう。
未成年者は、成人に比べると、判断能力を十分に有しているわけではありません。
そのため、法律行為を行う場合には、親などの成人が親権者として法定代理人になる、あるいは子供の契約に同意するといった手続きが必要とされます。
ただし、公正証書遺言の作成にあたっては、未成年者は証人となることはできず、親権者の同意や代理があっても証人の1人として人数に含めることはできません。
推定相続人とは、将来、対象となる人が亡くなった時に、その相続人となる可能性がある人のことです。
受遺者とは遺言などによって、財産を所有する人が亡くなった時に、その財産を受け取る人のことです。
推定相続人や受遺者は、相続が発生した時に、その相続の当事者となる人であることから、公正証書遺言の作成にあたって証人となることはできません。
相続に関して利害関係のない人でなければ、証人になることはできないからです。
なお、推定相続人に該当する人はかなり広範囲に及びます。
上記の図は、推定相続人や受遺者が配偶者と子の場合ですが、同じような親族関係にあっても証人になれる人が変わってくることはあります。
公証人に近い人が証人となっても、証人としてのチェック機能は十分に働かないため、証人になることはできません。
公証人の配偶者や四親等内の親族は、血縁関係に基づいて証人になれないこととされています。
また、書記や使用人は公証人の指示を仰いで仕事をする人であり、公正な立場から証人としての職務を果たせないため、証人にはなれません。
公正証書遺言を作成する際には、必ず2人以上の証人が必要とされます。
しかし、自身に関係のある人の中には、証人になることができない人が多く、どのようの証人を探したらいいか迷う方もいることでしょう。
そこで、証人を探す方法について解説していきます。
遺言書を作成する際に、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することがあります。
どのような遺言の内容にすれば法的に問題がないか、あるいは不動産などの財産がどれくらいの金額になるかといったアドバイスをもらいながら、遺言書を作成することができるためです。
遺言書を公正証書遺言で作成することとした場合、2人の証人が必要となりますが、子の証人を依頼した専門家に頼むことができます。
専門家自身、あるいはその事務所の職員に証人になってもらうことで、公正証書遺言を作成することができます。
初めから証人をセットにした料金になっていることもあり、弁護士の場合20~30万円、司法書士の場合は5~20万円程度の費用がかかります。
公正証書遺言は、専門家に依頼しなくても自身で作成することができます。
直接公証役場に出向くことで、誰でも公正証書遺言を作成できますが、この場合、公証役場で証人を紹介してもらうことができます。
公証役場で証人を紹介してもらえば、証人になることについて支障のない人に、確実に依頼できます。
自身で証人を探すのと比較して、はるかに手軽に公正証書遺言を作成できるメリットがあります。
ただし、証人に対して謝礼を支払う必要があります。
謝礼の金額は公証役場によって定められており、1人あたり6,000円~7,000円程度かかります。
証人を知人に依頼することもできます。
親族の場合、証人になることができない人が多く、後から問題になることも想定されます。
そのため、利害関係のない知人に依頼するケースがあるのです。
知人に公正証書遺言の証人を依頼すると、自身の財産などの経済状況を知られることとなってしまいます。
そのため、ほかの人に口外しないなど、信頼できる人に依頼することが大切です。
謝礼を支払う必要はありませんが、時間を作って公証役場に来てもらったことに対するお礼を支払うこともあります。
遺言書の作成を考えている場合、遺言書が無効になるリスクが一番少ない公正証書遺言を第一候補に検討してみましょう。
ただ、公正証書遺言の作成に証人が必要なことを不安に感じる方は、早めに証人を探すようにしましょう。
専門家に遺言書の作成を依頼するのであれば、誰を証人にするかの問題は一気に解決することができます。
様々な問題が後から生じないよう、専門家に依頼して遺言書を作成することもできると覚えておくといいでしょう。
行政書士 本間剛
相続サポートセンター(ベンチャーサポート行政書士法人) 代表行政書士。昭和55年生まれ、山形県出身。
ベンチャーサポート行政書士法人の代表行政書士。行政書士の手続き業務全般に精通。特に相続や遺言には専門知識を持つ。相続手続き業務は多くの書類作成が必要になり、お客様のお話を聞き、法律に則った形式の書類作成を心がけている。
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相続サポートセンター(ベンチャーサポート税理士法人 相続部門) 代表税理士。
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相続サポートセンター(ベンチャーサポート税理士法人 相続部門)税理士。
昭和55年うまれ、大阪府出身。
大卒後、税務署に就職し国税専門官として税務調査に従事。税理士としても10年を超えるキャリアを積み、現在は「相続に精通した税理士としての知識」と「元税務調査官としての経験」を両輪として活かした相続税申告を実践中。
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