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遺産分割分割協議書に署名捺印後のトラブルについて

父が死去したため、遺産分割協議書を作成し、相続全員が集まって読み合わせを行い、全員が署名捺印を行いました。
ところが、相続人の一人であるAが突然、「遺産分割協議書の内容をよく理解しないまま署名押印してしまったので、遺産分割協議書は無効である」と言ってきてトラブルになっています。
すでに遺産分割協議書に基づいて預金の解約払戻しのための手続を始めていますし、遺産分割協議をやり直すことになればAに有利な内容を主張されることは明らかですでので、どうするべきか困っています。
そもそも、遺産分割協議書への署名捺印後に効力を争うことは可能なのでしょうか。作成済みの遺産分割協議書に基づいてこのまま手続を進めて問題ないでしょうか。

専門家の解答

遺産分割協議書を作成した後に、一部の相続人の方がその無効を主張するというケースは、まれにあることだと思われます。この場合、どのように対処すべきか、あるいはその後の遺産分割がどのようになると考えられるのかご説明します。

まず、遺産分割協議に応じるべきか否かということですが、基本的に遺産分割協議書を作成し、全員が署名捺印をしたのであれば、無効を主張することは難しいと思われます。ただ、遺産分割協議が無効であると考えられる場合には、もう一度遺産分割協議をやり直す必要があります。
遺産分割協議が無効となるケースの1つに、「錯誤」と呼ばれるものがあります。これは、簡単に言えば勘違いをしていたということです。錯誤をしていた人は、正しい理解のもと、もう一度遺産分割協議をやり直す必要があると主張することができるのです。しかし、客観的な事実や証拠にもとづいて、実際に錯誤が認められるのは非常にまれであり、主張どおりに認められることは多くはありません。

また、このまま遺産分割協議の無効を主張する相続人がいる状態を放置しておいても、問題を先送りするだけになってしまう可能性があります。遺産分割協議を行った人全員が、もう一度遺産分割協議を行うことに同意するのであれば、遺産分割協議をやり直すことができます。

ただし、遺産分割協議をやり直すことにすべての相続人が同意しない場合には、現在の遺産分割協議書にもとづいて遺産分割を行うこととなります。すると、Aさんは遺産分割協議の無効を主張する裁判を起こす可能性もあります。しかし、裁判によって遺産分割協議書が無効であると認められるためには、その根拠となる証拠書類や記録が必要です。例えば錯誤を主張するとしても、Aさんが自分の錯誤を証明するのは非常に難しいのです。そのため、現実には遺産分割協議をやり直すことになる可能性は極めて低いのではないかと考えます。

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