先日、肺がんにより夫が79歳で亡くなりました。
私と夫の間には長男が一人おります。長男は、独立して妻と子ども3人の家庭をもっています。
夫は私たちが住んでいる持ち家の敷地のうち一部を長男に無償で貸し付けておりました。
長男は、その土地の上に自分の自宅を建て、そこで家族とともに生活しております。
私と長男とで話し合った結果、この敷地については、長男が相続することと決めました。
夫と私の住んでいる建物と、長男家族が住んでいる建物は別棟ですが、庭には特に仕切りを設けてはいません。
夫は、サラリーマンでなく個人商店を営んでいたため、年金の収入は国民年金のみで、生活を維持するのもやっとという状況だったため、長男が夫や私たちの生活費をはじめ経済的支援をしてくれています。
ですので私は持ち家を相続しても相続税が払えないような状況です。
長男が相続税についての本を調べてくれたところ、亡くなった人が住んでいた自宅の敷地は、相続税の計算のもととなる財産の金額を評価するにあたり、「小規模宅地等の特例」という制度を使うことができ、評価額が80%減額されるということがわかりました。この特例は私たちにも使えるのでしょうか。
税理士 古尾谷裕昭
相続税の計算にあたって認められる「小規模宅地等の特例」は多くの方に関係する特例ですから、その適用要件についてしっかりと確認しておきましょう。
小規模宅地等の特例は、自宅の敷地や事業用の土地を相続した場合に、一定の要件を満たしていると認められる制度です。その適用にあたってはいくつかの要件がありますが、配偶者の方が被相続人から自宅の敷地を相続した場合は、相続の直前に被相続人が居住していた自宅の敷地であること以外に特別な要件はありません。
自宅の敷地について小規模宅地等の特例の適用を受けると、その土地について330平方メートルまで相続税評価額の80%を減額することができます。
なお、今回ご質問の土地には、被相続人が住んでいた自宅のほか、長男家族の建物が建っているとのことです。この場合、小規模宅地等の特例が適用できる自宅の敷地の範囲に注意しなければなりません。被相続人の世帯と長男の世帯の2つの世帯の生計が別となっている場合には、小規模宅地等の特例が適用されるのは被相続人が住んでいた自宅の敷地部分のみとなります。一方、2つの世帯の生計が同一と考えられる場合には、長男家族の住む建物の敷地も小規模宅地等の特例の対象に含めることができます。
「生計を一にする」状態に該当するかの判断の1つに、親族間で常に生活費などの送金が行われているというものがあります。長男から生活費などの経済的な支援を受けていたとのことですから、生計を一にするという要件を満たしている可能性が高いです。長男家族の住む建物の敷地も含めて、小規模宅地等の特例の適用を受けられると思われます。
税理士 古尾谷裕昭
相続サポートセンター(ベンチャーサポート相続税理士法人) 代表税理士。昭和50年生まれ、東京都浅草出身。
東京、大宮、横浜、名古屋、大阪の5拠点で年間の相続税申告1000件を超える実績。きめ細かいフォローでお客様の心理的な負担や体力的な負担を最小にすることを心がけている。監修『プロが教える!相続・贈与のすべて』 コスミック出版
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相続サポートセンター(ベンチャーサポート税理士法人 相続部門)税理士。
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相続サポートセンター(ベンチャーサポート税理士法人 相続部門)税理士。
昭和55年うまれ、大阪府出身。
大卒後、税務署に就職し国税専門官として税務調査に従事。税理士としても10年を超えるキャリアを積み、現在は「相続に精通した税理士としての知識」と「元税務調査官としての経験」を両輪として活かした相続税申告を実践中。
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