相続税の申告においては、亡くなった人が所有する土地や建物を評価しなければならないと聞きました。そこで、被相続人である父の遺産である持ち家のマンションの相続税の評価方法について教えてください。父は母に先立たれてからは、分譲マンションのうち1室を購入して一人暮らしをしていました。父のマンションは、街中からは少し離れた場所にあるため、比較的安価に購入することができたそうです。今年の6月ごろに市の固定資産税課から送られてきた固定資産税の課税明細には、建物の価格として750万円、土地の価格として1億5千万円(敷地権の持ち分:49万8512分の9820と書かれています。)と記載がありました。国税庁のホームページで調べて見たのですが、土地を相続税の申告に当たり評価する方法には、路線価方式と倍率方式があるということを知りました。ホームページで調べてみると、父の保有するマンションは、倍率地域に所在するようです。倍率表には、宅地の倍率として「1.2」と書かれていました。父の遺産はこのマンションと大半が現金預金だったので、マンションの評価額がわかれば自力で相続税の計算ができそうです。ご教授よろしくお願いいたします。
税理士 近藤洋司
相続税の計算に必要な不動産の評価方法に関するご質問ですね。
おっしゃるとおり、土地には路線価方式と倍率方式の2つの評価方法があります。路線価方式とは、その土地の地積に、国税庁が毎年公表している土地の1平方メートルあたりの路線価を乗じて相続税評価額を計算する方法です。土地の形や間口距離・奥行き距離に応じて補正がされるなど、複雑な計算を行ってその土地の相続税評価額を計算します。これに対して倍率方式とは、土地の固定資産税評価額に国税庁が土地の所在地に応じて定めた倍率を乗じて、相続税評価額を計算する方法です。基本的に、土地の形や間口距離などには関係なく、固定資産税評価額と倍率さえ分かれば計算ができます。
評価方法はいずれかから選択するわけではなく、どちらかの方法で評価することと定められています。一般的に、市街地などは路線価方式とされていることが多く、郊外になるほど倍率方式とされていることが多くなります。
今回ご質問のマンションの所在地は倍率方式となっているようですから、土地の固定資産税評価額に倍率を乗じて土地の相続税評価額を計算します。またマンションの場合は、そのマンションの専有部分の広さに応じて敷地権割合が決まってくるため、その割合を乗じて各所有者の土地の評価額を計算します。
土地の固定資産税評価額1億5千万円×1.2×9820/49万8512=3,545,752円がこのマンションの土地部分の相続税評価額となります。
また、建物の相続税評価額は固定資産税評価額そのままとなりますので、今回の物件は750万円となります。
ぜひご参考にしていただければと思います。
税理士 近藤洋司
相続サポートセンター(ベンチャーサポート相続税理士法人) 税理士。昭和60年生まれ、愛媛県出身。
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