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東京都新宿区で不動産事業を営むリニュアル仲介株式会社。代表の西生 建様は、買主・売主の双方に利便性の高い、IT・AI技術を駆使した各種不動産サービスを提供しています。
今回は業界入りと会社設立の経緯、サービスの詳細、業界の動向、今後のビジョンまでお話を伺いました。
不動産業界に入ったきっかけは、リクルートで週刊住宅情報(現・SUUMO)の仕事を担当したことです。
週刊住宅情報を6年担当したあと、2年ほど三光建設(現・三光ソフラン株式会社)で働きました。
三光建設で働いている時に、当時の営業部長だった方と一緒に、エイム株式会社を立ち上げました。これが1996年2月のことです。
その後、エイム株式会社で「リニュアル仲介事業」という事業をスタートしましたが、このサービスで事業独立したものがリニュアル仲介株式会社となります。
リニュアル仲介事業は、私たちが運営していた日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)に加入する全国の優秀な建築会社と、不動産会社をマッチングして、安心安全な取引を実現するサービスです。前身のエイム株式会社は、1996年の2月にスタートしました。
そんなエイム株式会社で耐震事業をスタートした大きな理由が、1995年に発生した阪神淡路大震災です。
2011年に発生した東日本大震災の被害では「地震被害=津波」という印象を持たれた方も多いかもしれませんが、阪神淡路大震災ほか、新潟県中越地震、福岡県西方沖地震など、地震被害は家屋の倒壊で死亡あるいはケガをするケースが非常に多いのです。
しかし耐震化はなかなか進まず、さらに、多くの方が耐震性の情報をきちんと知らずに中古住宅を購入しています。
そこで私たちは、中古住宅の耐震性を調べ、その情報を買主に伝えることで、購入の判断材料にしていただこうと考えました。
それがリニュアル仲介事業のスタートした理由で、不動産流通に参入した経緯となります。
引用元:リニュアル仲介株式会社
リニュアル仲介株式会社の事業内容は、不動産フランチャイズ本部事業、不動産仲介事業、各種システム開発事業、住まいるサポート事業、モーゲージバンク代理店事業、保険代理店事業です。
現在のメイン業務は「不動産仲介事業者のDX化推進サポート事業」です。
弊社では不動産テック・サービスを多数ご用意しており、不動産業者の皆様は、月額5万円で、すべてのサービスをご利用いただけるようになっています。
具体的な不動産テック・サービスの内容は後述しますが、全て明確な理由があって開発したものです。
不動産仲介事業者向けにDXツールを開発するようになったきっかけはSelFin(セルフィン)というツールの開発です。セルフィンとは「セルフインスペクションアプリ」の略称で「消費者が自分で住宅の性能を判断するためのWebアプリ」です。
セルフィンをリリースした理由は、中古住宅の安心安全な取引が思うように進まなかったためです。
私は国土交通省からお話を頂戴し、首都圏既存住宅流通推進協議会という、複数の不動産関連団体の既存住宅流通活性化を具現化する組織の代表となりました。その際、既存住宅アドバイザー講習会という、不動産仲介事業者が担うべき既存住宅流通時の注意点について学んでいただく講習会も実施していました。
その講習会受講者には、不動産のリスクを自動判定する「既存住宅アドバイザーツール」というWEBツールを利用できるようにしました。8千名を超える受講者全員が利用できるようになっていましたが、その利用率が非常に低かったのです。
不動産業者も頭では「ネガティブ情報も消費者に伝えなくてはいけない」と分かっていますが、一方で、目の前に物件購入希望者がいれば、ネガティブ情報を提供する可能性がある調査には消極的になります。
そこで既存住宅アドバイザーツールを消費者向けに作り直しました。これがセルフィンです。
セルフィンの反響が爆発的なものになり、マンパワーによる物件提案が追いつかなくなったためです。
そこで、ネット上の新着不動産情報を取得し、24時間以内に住宅購入予定者に自動配信する「物件提案ロボ」を作りました。
物件提案ロボは、レインズ(REINS:不動産業者専門の情報システム) に載っていない情報も多く、しかも早く届けるので「今まで見たことがない情報だ」と驚かれる方も多いです。
また、物件提案ロボの配信情報は、「広告とは異なる情報(公知の情報)」であるのも大きな特徴です。セルフィンと連動して、物件の客観的な評価も伝えられるため、お客様ご自身が中立な情報を見た上で、物件の価値を判断できます。
不動産の新規売り情報は毎日、少ないときで2,000件、多いときで5,000件近く出ます。重複を除外しても月間1万件、年間12万件ほど出るため、仲介事業者や消費者が全ての物件情報の中から希望条件に合致する物件情報を探すのは現実的ではありません。
物件提案ロボによって、お客様が物件を探す膨大な手間と時間が省けると共に、不動産業者の労力も大幅に削減することが可能になります。不動産仲介の営業マンの60%位の手間は物件探しと提案に使うので、この作業がほとんどなくなるわけです。
非常に利便性の高い物件提案ロボには、現在、4万人ほどの利用者がいます。新規登録者も増え続けていますね。
引用元:リニュアル仲介株式会社
セルフィンと物件提案ロボの難点を補うためです。
セルフィンと物件提案ロボがお届けするのは「公知の情報」、つまり「文字のみの情報」となります。物件の平面図・写真には著作権があるため、勝手に掲載することはできません。
しかし「物件の外観を見たい」という要望は多く、それに応える形で「全国マンションデータベース」を作成しました。
こちらには全国16万棟分のマンションのデータが掲載されていますが、分譲マンションについては全体の約97%程度の情報を網羅しています。
全国マンションデータベースの最大の特徴は、物件に関わる過去10年程度の販売履歴が閲覧できる点です。販売履歴のデータは、物件を購入する際に「必要以上に高いのか、お値打ちなのか」を考える上で、非常に大きな参考となります。
なお、先ほどご紹介した物件提案ロボに登録している方であれば、販売履歴、賃料履歴、口コミなど、全国マンションデータベースの全ての情報をご覧いただけます。
ちなみに弊社は、全国マンションデータベースをアレンジした「AIマンション査定」もご提供しております。大手不動産会社の多くも「AIスピード査定」のようなサービスを展開しておりますが、多くの場合、個人情報登録が必要というデメリットがあります。
AIマンション査定は非常に的確な相場を、個人情報登録なしでご覧いただけます。
引用元:リニュアル仲介株式会社
セルフィン、物件提案ロボ、全国マンションデータベースのリリースで「物件の買主」を多く集めることができました。
次に「物件の売主」を集めたいと考え、オーナーコネクトのサービスが誕生しました。
オーナーコネクトは、例えばマンションのオーナー様にご登録いただくと「いま売却した場合の、ローンの残債を引いて手元に残る残額」「自分のマンションの他の住戸の売り情報」「所有マンションの購入希望登録情報」等が分かるようになります。
つまり、資産であるご自分の物件の現在価値を、株価ウォッチの感覚で見られるのです。
オーナーコネクトは、決して複数の不動産資産を持つ富裕層向けというではなく、マンションを居住用に購入され、実際に住んでいらっしゃる一般の方を対象にしています。
例えばオーナーコネクトを見て、ご自分の物件が値上がりしていたら「1回ここで売ろうかな」「売ったお金でもっといい物件に住み変えようかな」といった判断もできるでしょう。
実は日本以外の国では、ライフスタイル関連の移動だけではなく、資産性を考えたうえでの不動産売却を当たり前におこなっています。
弊社が提案する不動産仲介エージェントとは、顧客に徹底的に寄り添い、良い情報だけではなく、ネガティブ情報だからこそしっかり伝える、まさに顧客の代理人を務めるイメージです。それに対して、現在の多くの不動産仲介営業マンは、物件紹介人と言えるのではないでしょうか?
私は今後「弊社のようなブローカーに所属して、フリーランスのエージェントとして働く」という形がスタンダードになっていくと考えております。
コロナ禍の初期のピーク時は、半年ほど物件案内が入りませんでした。大手不動産会社も営業活動を禁止し、売却物件を扱っていなかったですね。結果、一時的に売り物件がなくなり、現在も売り物件不足の状況が続き、その影響で不動産価格が上昇しています。
また、海外の方が日本の不動産を積極的に購入していることもあり、実需では手が届きにくい価格に迫っていると思います。それでも、日本の不動産価格は海外の方から見ると魅力的で、しかも、円安が拍車をかけています。
外国からのお金が入り続けて、不動産価格の上昇が続くのか。あるいは、実需が追い付かなくなって価格が高止まりするのか。今はそんな転換点かもしれないと、すごく感じますね。
コロナ禍でテレワークが推進された結果「都会に住まなくても良いのではないか」「田舎で良いのではないか」と考える人が増えたのは事実かもしれません。
しかし、実際に地方移住や田舎暮らしをする方は少数派です。「地方や田舎に行ってはみたものの理想とは異なり、都心部へ戻ってきた」というケースも多く聞きます。
弊社がご提案する「資産価値が下がりにくい住宅購入」を考えた場合、地方移住・田舎暮らしとの両立が難しいと思われるかもしれませんが、資産価値が下がりにくい都心部に不動産を所有し、その物件を貸して、その賃料でスローライフをしていただければ、両立が可能になりますね。
逆に、美味しい食や芸術・文化に触れるために、都心へ移る選択をする方が多いと感じています。
ウッドショックによって一戸建ての建築資材の価格は非常に上がっています。分譲マンションでも、高額な物件でないと建築費の高騰を内包することができない状況です。実際に、地方の新築分譲は成り立たない状況となっています。
ウッドショックはウクライナ戦争の前からあった話ですが、ウクライナ戦争が拍車をかけ、新築ビジネスがより成り立ちにくい状況を作り出しました。これを受けて中古物件のニーズが非常に高まっています。
ちなみに、10年前と比べて首都圏のマンション価格は1.45倍、12年前と比べて札幌と福岡、沖縄の国際通り周辺は2倍に上昇しています。
多くの方は「こんなに上昇したのか」と驚くかもしれませんが、むしろこれまでが安すぎたのだと言えるでしょう。
空き家問題は私たち不動産仲介事業者でできることは少なく、政治の世界で解決すべき問題だと考えています。
例えば、地方創生ですが、「1個の自治体で成功したら、周辺の9個の自治体が失敗している」という、パイの食い合いのような状態です。
東京23区の空き家には何の問題もありませんが、賃貸市場の元気もない、不動産売買も発生しない地域の空き家問題を解決するのは非常に難しいでしょう。
地方でも駅直結のマンションなどにはニーズがありますが、ベッドタウン・ニュータウンの状況は非常に厳しいと思います。
不動産仲介は労働集約ビジネスで、売上を増やすためには、人や店舗を増やしていました。
しかし、業界の大きな課題である「生産性向上」を実現するためには、マンパワーだけではどうしても限界があります。
実際に不動産のビジネスモデルは、30年も40年も変わっていませんが、DX化が進むこのタイミングこそ、状況を劇的に変えるチャンスだと思います。
弊社は不動産ビジネスそのもののゲームチェンジを見越して、今後も事業展開して参ります。
西生建 様
リニュアル仲介株式会社 代表取締役
■ 企業プロフィール
社名:リニュアル仲介株式会社
所在地:東京都新宿区西新宿1-25-1新宿センタービル38階
事業内容:不動産フランチャイズ本部事業、不動産仲介事業、各種システム開発事業、住まいるサポート事業、モーゲージバンク代理店事業、保険代理店事業
TEL:03-3346-4329 (代表)
西生 建 様
リニュアル仲介株式会社 代表取締役
■企業プロフィール
社名:リニュアル仲介株式会社
所在地:東京都新宿区西新宿1-25-1新宿センタービル38階
事業内容:不動産フランチャイズ本部事業、不動産仲介事業、各種システム開発事業、住まいるサポート事業、モーゲージバンク代理店事業、保険代理店事業
TEL:03-3346-4329 (代表)