横浜市の東急東横線エリアを中心に地元密着型の総合不動産業を展開する株式会社ギフト。代表取締役の金野祐樹様は、新卒から3年間の金融業界の営業を経て、25歳で不動産の道へと飛び込み、31歳で独立されました。不動産と関わるすべてのお客様と、身内のような関係を築きつつ、不動産探しのサポートをしていきたいと話す、金野様。
不動産業界に入ったきっかけやこれまでの取り組み、今度の展望、さらには近年の不動産業界のトレンドについて、お伺いしました。
実は、大学卒業後、当時の仲間と一緒に起業したのですが、わずか半年足らずでダメになってしまったのです。今思えば、完全に若気の至りですが、やはり社会で通用する実力を身につけてからでないと、独立は厳しいと実感しました。
そこで、お互いにもう一度しっかり地に足をつけてやっていこうという話になり、友人は保険業界へ、私は不動産営業に挑戦することにしたのです。25歳のときでした。
不動産の仕事を選んだ理由は、友人から「向いていそうだ」と勧められたのがきっかけです。そこから、不動産の営業として6年間の経験を積み、2010年31歳のときに株式会社ギフトを設立しました。
新卒で入った金融業界では、先物取引の営業を担当していました。先物取引の営業は、ニーズのないお客様に対してこちらから積極的にアプローチし、何とか説得することで購入へと繋げるという営業スタイルです。要は、相手が求めているわけではないものを売る営業なので、営業にかんしては自分に「売れないものはない」くらいの自信を持っていました。
お客様のニーズ喚起が何よりも大変だった先物取引の営業に対し、不動産では、興味を持った人たちが自ら問い合わせてきます。そのため、これは楽勝だなと思っていたのです。しかし、いざフタを開けてみると、全然うまくいきませんでした。
不動産の営業で契約に至るには、私自身がお客様に選ばれる必要があるということを、当時の私はまったく理解できていなかったからです。そのため、やってもやってもうまくいかず、空回りの毎日でした。
ただ、気合いと根性だけはあったので、それでもやり続けているうちに少しずつ結果が出るようになりました。こうすればうまくいく・こうだとクレームになるなど、まさに実施で不動産の営業を学んでいきましたね。
入社して、はじめて物件を案内したお客様ご夫婦との思い出ですね。年配のご夫婦で、マンションをご購入いただいたのですが、契約から引き渡しが終わりしばらくしてから「家も片付いたし、遊びにおいで」とご自宅に招待してくれたのです。
ちょうどクリスマスの頃で、奥様が豪華な手料理を振舞ってくださいました。当時は事業に失敗した後ということもありお金もなく、毎日馬車馬のようにがむしゃらに働く中で、お二人の温かなおもてなしが身にしみましたね。
こんなに感謝してもらえるなんて、不動産の営業って素敵な仕事だなと思ったことを、今でも鮮明に覚えています。
引用元:株式会社ギフト
株式会社ギフトは、横浜市の中でも人気・知名度ともにNo.1である「東横線エリア」を中心に、地域に根ざしたサービスのご提供に注力しています。地域柄、購買力の高いお客様が多いため、競合の不動産会社さんも多いエリアです。
そんな中、なぜ当社が生き残っているのか?それは、地元密着型だからこその「営業力の強さ」があるからだと自負しています。大手企業と物件を取り合ったとしても、勝てる自信があるのです。もちろん、大手企業の方が、知名度も資本も情報力も優れているし、普通に考えるならそちらを選ぶ方がはるかに安心でしょう。でも、圧倒的に不利な中でも、当社は生き残っているのです。
実は、お客様の多くは「自分が欲しいもの」をよくわかっていません。自分にとって何か適正で、何を基準に判断したらいいのか?曖昧なケースがほとんどです。だからこそ、親身になって寄り添い、お客様やご家族にとって適切な選択ができるようサポートすることが大切なのです。
そのため、時には私どもではない他社さんをすすめる場合もあります。お客様が離れてしまうのを恐れずお客様によってより良い提案をできる。そんな、正直に伝える姿勢が、選ばれる理由に繋がっているのだと思います。
不動産の相談ならこの人!と思ってもらえれば、もう他社の営業と競合することはないでしょう。
引用元:株式会社ギフト
購入だけでなく、不動産に関するさまざまなニーズに対し、責任を持って対応していきたい。しかしながら、不動産会社で対応できる範疇は限られているのが現実です。私たちを信頼して相談してくれるのだからこそ、私たちも信頼できるプロフェッショナルをご紹介したい。それを形にしたのが「GIFTコミュニティ」です。
信頼関係で繋がったお客様に、信頼できるパートナーを繋げる。もちろん、パートナーから当社に繋げてもらうことも。ビジネスを共にする中で培った信頼関係の中で仕事が好循環することは、お客様にとってもプラスになるでしょう。
引用元:株式会社ギフト
不動産を売るなら、誰もが少しでも高く売りたいと思いますよね。でも、買うのなら少しでも安く買いたい。間に入る不動産会社としては、どちらの気持ちもよくわかります。だからこそ言いたいのは、売る側も買う側も双方が納得できる売買を行いたいということです。
「売ってよかった」「買ってよかった」と心から思える売買をサポートすることは、不動産会社の大切な仕事の1つです。
高く売るコツをお伝えするなら、まず高く買ってくれる買い主が必要だということ。そんな買い主に出会うためには、できるだけ多くの人に物件に興味を持ってもらうことが大切です。たとえば、情報サイトに掲載するなら、図面や写真、コメントも一緒に、物件の特徴や魅力をしっかりとアピールします。また、物件探し中のお客様を多数抱えている不動産会社に相談することも大切です。
「東横線○○駅そばの物件が欲しい」など、エリアを絞った物件探しをするお客様情報の収集は、当社のような地元密着型企業が得意とするところです。また、仲介専門よりも、仲介と自社分譲の両方を手がける会社の方がより頼りになるでしょう。
当社もそうですが、自社物件を安く売るわけにはいかないため、日頃から少しでも高く売るために試行錯誤しています。販売を手がける上で身についたノウハウもあるはずです。
当社の掲げる理念は「清く・正しく・面白く」です。法律に触れることはもちろん、違法ではないが限りなくグレーであったり、道徳的にどうだろうか思ったりすることも、絶対に禁止だと伝えています。
あとは、とにかく「面白く」ですね。1日の中で、仕事をしている時間が1番長いのだし、だからこそ面白くないと!と思っているのです。同じようなリスク&リターンであったら「迷うことなく、面白い方を選べ」と。
たとえ、それで失敗したとしても、酒の肴になるような、笑って話せる方がずっといいじゃないですか。。
独立から13年。当初と比べると、需要自体が多様化していると感じます。以前は、大多数層に向いていればよかったけれど、今は個別化がどんどん進んでいる。ファミリー向けの4LDKとなど、最大公約数に当てはまる人が欲するものであれば売れる、そこに外れるものは売れないのが当たり前でしたが、今はもっと複雑になってきています。
この流れは、当社のような小さな会社にとっては追い風かもしれません。それは、多様化に対する工夫の余地があるからです。臨機応変に小回りが効くのは小さな会社ならではであり、これも生き残り策の1つだと思います。
マンション購入に関する考え方は、需要同様さらに多様化していくでしょう。しかし、都心においては、しばらく価格上昇が続くと思います、その後、一部だけが高止まりし、大部分は大きく下がるのではないでしょうか。
世界的な観点では、日本の都心の不動産は、調達価格も金利も格安、治安もよいし、ライフラインも整備されている。外国人からすれば、すごく魅力的なのです。そのため、外国人による購入で、港区など一部の都心では、まだまだ高騰すると考えられますね。
木材をはじめ、建築資材の値上がりといった影響が出てくる流れで、不動産の価格も値上がり傾向にあります。さらに今後、金利が上昇していくことで、特に低所得者層では厳しさを増し、不動産の売却が増加。まさに、二極化が進んでいく状態ですね。
当社のような小さな規模であれば、まず多様化に対応していくこと。たとえば、仲介に関して言えば、景気がよい状況ではありませんが、物件が動きさえすれば、何とか売上は立ちます。よくも悪くも世の中が動いていけば、不動産も動く。その動きの中にうまく入り込み、ニーズに対して柔軟に対応していけば、どんな状況下であってもうまくやっていけると思っています。
全国的には深刻化している空き家問題ですが、首都圏においては、あと20年ほどは影響はないと思っています。特に、当社がメインで扱っている東横線エリアについては、あまり関係がないですね。
高騰が進む都心は、少子高齢化によって空いた分も、おそらく外国人による購買が進んでいくでしょう。当社としては、空き家問題そのものよりも、今後より一層増えていくであろう外国人のお客様への対応強化を進めていく必要があると感じています。
不動産業界では、間取り図や物件情報などFAXによるやりとりが未だに行われていますが、当社では3年ほど前より、FAXからメールやLINEを使った対応に切り替えるなど、できることから取り組みをはじめています。
基本的には、お客様にとって便利になることや、効率化・経費削減に繋がることは積極的に取り入れていきたいですね。ただ、小さな会社でできることは限られているので、業界全体もしくは国が率先して進めていって欲しいという気持ちもあります。
たとえば、不動産の契約に必要な書類は多い時で10枚近くあるのですが、お客様の住所と名前を手書きで記入してもらいます。実はこれ、手書きである必要はなく、印字でも構わないのに、これまでの慣習で手書きを続けているのです。このことに、まったく疑問を感じない人もいれば、これまでのやり方が安心だからと変える気がない人もいる。お客様の手間を考えたら、変えた方がいいに決まっているのに。
やはり、小さな会社の取り組みだけでは、不動産業界全体や金融機関に関わることなどを変えていくのは難しいので、国の政策として率先して推進していく流れができるとよいですね。
創業時から地元密着型の不動産会社としてやってきましたが、これまで当社がやってきたことは、不動産業界の一部でしかありません。今は、売買仲介をメインとし、買取物件の再販も少しずつ手がけていますが、収益物件の運用など、さらに業務の間口を広げたいですね。
次にエリアの拡大です。ずっと東横線沿線にこだわってきて、それが強みでもあるのですが、他の都市部への出店も検討しはじめています。その理由は、地方や都市ごとにさまざまな特色があり、それらに触れることは、今までのやり方に対し見直すべき点など、見えてくるものがあると思うからです。
このように経験値が上がることで、より高いサービスを提供できるようになる。経験により得たものを今までお世話になってきた東横線沿線の人たちに還元していけると思うのです。間口を広げるといっても、闇雲に広げるのではなく、あくまでも地元密着型であるスタンスは崩しません。これまでもこれからも、地元の皆様のニーズに応えられる会社であり続けたいと考えています。
金野祐樹 様
株式会社ギフト 代表取締役
■ 企業プロフィール
社名:株式会社ギフト
所在地:横浜市港北区大倉山1-23-18 アビタシオン大倉山1F
事業内容:不動産コンサルティング、売買仲介、戸建分譲、中古買取再販、賃貸仲介、賃貸管理
TEL:045-540-2828