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ベンチャーサポート不動産株式会社 > インタビュー > スタイルオブ東京株式会社 藤木 賀子様|仲介手数料をいただきながら不動産コンサルしていく。不動産エージェントをもっと日本に

スタイルオブ東京株式会社 藤木 賀子様|仲介手数料をいただきながら不動産コンサルしていく。不動産エージェントをもっと日本に

藤木賀子 様|不動産エージェントをもっと日本にーーコミュニケーション・ギャップ解消による価値創造を

目次

港区南青山で不動産エージェント業を営むスタイルオブ東京株式会社。代表取締役の藤木賀子様は、不動産や建築のプロデュースを通じて、お客様の幸せの実現に寄り添われています。今回は業界入りから独立までの経緯、業務内容、業界を取り巻くさまざまな状況へのご意見、今後のビジョンに至るまでお話を伺いました。

建築業界で感じた課題解決のため、スタイルオブ東京株式会社を立ち上げる

藤木様が不動産業界に入り、創業されるまでの流れを教えてください

藤木賀子 様 スタイルオブ東京株式会社 代表取締役

私は25歳から建築業界で働いていました。その後、住宅コンサルをしたいと考えて、スタイルオブ東京株式会社を設立したのは2006年のことです。 ただし、当時はそんな会社もなく、フィーの取り方も非常に難しい状況でした。

そこで「仲介手数料をいただきながら、不動産コンサルしていく形がベストではないか」と考え、不動産仲介業をメインにスタートしました。

住宅コンサルをしたいと考えたのはなぜですか?

建築業界でずっと働く中で、住宅をお求めになるお客様と接してきましたが「入口から間違っているお客様が多い」と感じたからです。

つまり、住宅に対して何を求めているかわかっていないお客様が多く、そのためベストではない住宅会社の門を叩いてしまう。住宅会社は契約は取れるかもしれませんが、だんだんお客様と意思疎通が取れなくなり、クレームにつながってしまう。それで、双方が面白くない結果に終わってしまう……そんなケースも少なくないのでは、と感じます。

多くのお客様は、住宅の購入経験がほとんどないので、このようなトラブルが生じるのも無理はありません。

そんな時に、お客様が本当に求めるものを明確化し、お客様と業者のコミュニケーション・ギャップを埋める作業が必要です。それが、弊社の考える「住宅コンサル」で、住宅コンサルを担う存在を「エージェント」と呼んでいます。

「コミュニケーション・ギャップ」について、もう少し詳しくお聞かせください

スタイルオブ東京株式会社

引用元:スタイルオブ東京株式会社

コミュニケーション・ギャップは、お客様と業者のみならず、業者間においても存在します

ひとつの住宅ができるまでには、材料を生み出す山からはじまり、製材会社、問屋、プレカット工場、建築会社、設計事務所、不動産業者……と、さまざまな業者を経由します。

非常に長いサプライチェーンですが、この1つ1つにコミュニケーション・ギャップが生じることで、余計なコストが発生していると感じます。

具体的には「お客様がいつ、どのような材料で、どのような家を建てるか」が把握できていないために、無駄な輸送コスト、ストックの管理コストなどが発生しています。

実際に、お客様が数千万円の住宅を購入しても、山にお金が戻っていません。山だけでなく、どの業者もあまり儲かっていないのが実情です。私はこのような課題の解消にも携わっていきたいと考えています。

不動産に関わる課題を解決する。「エージェントの養成」にも注力

スタイルオブ東京株式会社の業務・業態を教えてください

基本的には、弊社がお客様のエージェント(代理人)という形で、不動産探し、土地の購入、家の建設などを全般的にプロデュース、コンサルティングすることが可能な業態です。

お客様にとっての幸せな住まい方・暮らし方を明確にして、広さ、デザイン、予算などに応じてベストな形をご提案いたします。

現在は不動産仲介の業務が多いですが、不動産だけにこだわっているわけではありません。コンサルのみ、建築のみの案件を手がけることもあります。

つまり私たちの業務は「不動産に関わる課題の解決」ということができます。

本来、このような仕事を請け負うのが士業の方々です。税理士、司法書士、土地家屋調査士、建築士などさまざまな仕様の方々がいらっしゃいますが、各分野を越境してのアドバイスにはどうしても限界があります。

スタイルオブ東京株式会社 不動産エージェント
引用元:スタイルオブ東京株式会社

そこで不動産エージェントは、土地、建築、税金など不動産に関わるトータルな視点を持ち合わせて、総合的なプロデュースを担います。

それが本当の不動産仲介の役割ではないかと思いますし、実際に弊社の不動産仲介は、不動産を右から左へ流すだけではなく、お客様の代理人として何がベストかを考えて、おせっかいながらもそれを助言する立場であると自負しております。

なお、弊社にはこれまで、個人のお客様からも多くのご相談を寄せられており、その件数は1,000件以上にのぼります。

お客様からのご相談に幅広く対応するため、エージェントの養成にも積極的に取り組んでいます。

エージェントの養成について詳しくお聞かせください

例えば、アメリカでは「物件を選ぶよりも先に人を選ぶ」というくらいに、不動産エージェントが当たり前の存在です。

私はそんな不動産エージェントを日本で養成したいとずっと考えていて、2007年頃からメディアでも連載を持ち、発信を続けてきました。

そして現在では、大手不動産企業も不動産エージェントを現場に取り入れるようになってきています。

弊社も現在、Webメディア「ワタシゴト」も運営し、不動産エージェントに興味がある方を応援しております。

私は「不動産エージェントは超一流の営業マンである」と考えており、「ワタシゴト」では、不動産エージェントを目指すために必要なノウハウやスキルを学ぶことが可能です。

他業種から不動産エージェントを目指すことは可能ですか

藤木賀子 様 スタイルオブ東京株式会社 代表取締役

もちろん可能です。ご自身の得意分野を活かして仕事をすれば良いと思います。

例えば、建築が得意なら、建築も相談できる不動産エージェントに。ファイナンスが得意なら、ファイナンスに対して不安があるお客様にご相談いただける不動産エージェントを目指すことができるでしょう。

アメリカやハワイに不動産エージェントの友人が多くいますが、年齢層が高く、人生経験を積んだ方も多いです。また、女性がやられているケースが多いですね。

海外の不動産エージェントたちは、独自のコミュニティやネットワークを活かして集客することも珍しくありません。知人のエージェントはゴルフが好きで、そのコミュニティの中でお客様を増やしていました。

貴社を利用するお客様にはどんな方がいらっしゃいますか

ビジネスパーソンのお客様が比較的多いです。

具体的には「正しい情報を手に入れたい」「自分たちが本当に納得できる不動産を探したい」「エージェントに任せた方がコストパフォーマンス(費用対効果)が高い」とお考えの方ですね。

実際に、ご自分で非常によく調べられた結果「よくわからない」「専門家に相談したほうが良い」と判断された方も多いですね。

一方で、不動産について全くわからない状態でご利用いただく方もいらっしゃいますが、そういった方ももちろん歓迎いたします。

私は「愛と勇気と責任」をポリシーとしており、お客様にとって最良であると考える場合には、 インテリアなどの細部に至るまで、責任をもってご提案をすることもございます。

あまり宣伝していらっしゃらないようですが、口コミで来られるお客様が多いのですか

口コミというよりも、お客様からご紹介していただくケースは多いですね。

前に弊社をご利用頂いたお客様が、住み替えの際などに、また来てくださるケースもあります。

不動産エージェントの仕事は、お客様の深いプライバシーに触れる仕事です。だからこそお客様に近しい存在として、しっかりと信頼関係を築くことが重要となります。

実際にお客様の中には、お友達のように親しくしていただいている方もいらっしゃいますので、一般的な不動産会社とは全然違うかもしれませんね。

不動産業界を取り巻くさまざまな動き。広い視野を持って課題と向き合う

新型コロナウイルスの感染拡大は、不動産業界にどのような影響を与えたとお考えですか

藤木賀子 様 スタイルオブ東京株式会社 代表取締役

まず、お客様の価値観に変化を与えた部分はあるでしょう。

コロナ以降、よく言われているのが、住まい方です。現在はリモートワークが急速に広まって通勤時間を気にしなくなったり、家で過ごす時間が長いため「広い家で過ごしたい」という方も増えたのではないでしょうか。

コロナ禍で不動産が動かないのではないかという心配も、当初はありましたが、普通に動いていますし「コロナ禍で建売会社の売れ行きが好調で、在庫がなくなった」という話も聞きました。

現在は不動産価格も上がってきており、土地の入手も競合が激しいので、今後の仕入れには苦しい部分もあるかもしれません。

弊社に関しては、コロナ禍による大きな影響・変化は特に感じていませんね。

ウクライナ情勢の影響は不動産業界にも及んでいますか

資材価格の上昇に伴って、建造・建築の価格がどんどん上がっているのは気になります。

お客様の側からすれば、新築の単価が上がってきたり、給湯器やキッチンリフォームに必要な機器が入らず、リフォームが終わらないかもしれないといった問題も出てきます。

このような問題については、連携を取りながら、引っ越しの時までに可能な限り間に合うように進めないといけないでしょう。

それから、ウッドショックで輸入材がないと言われているので、国産材の安定供給が始まるのかとも思っていましたが、国産材の使用状況はあまり変わっていないように思います。

今後も増加が懸念される空き家問題についての見解を教えてください

まず、空き家の定義から考える必要があると思います。結論から言うと「人が住んでいないけれど、貸せる・売れる家」は空き家と呼ぶべきではないと、私は考えます。

それでは、なぜ貸せない・売れないのか。やはり、相続でもめているケースが多いです。また、家主がご高齢で、認知症を発症していらっしゃるような場合、所有権を移すことが難しいケースもあります。

その場合、家を貸すことも売ることもできず、空き家の状態にならざるを得ないわけです。実際に弊社でも現在、このようなケースを手がけております。

多くの場合、親御さんが元気なうちに「家じまい」することが望ましいですし、そのサポートが必要です。家じまいに失敗すると、長期間にわたってメンテナンスや火災保険などのコストがかかるので、本当に大変です。

ただし、誰も住まない山奥にあるような空き家については、建物の活用ではなく、更地にして植林するのも1つの方法ではないかと思っています。

空き家の中にも「生かす家」と「生かさない家(断熱性能や寿命のない家)」がありますので、そのジャッジも私たちエージェントの仕事と考えます。

デジタル時代における不動産業界の変化について、どうお感じですか

藤木賀子 様 スタイルオブ東京株式会社 代表取締役

確かに不動産業界では現在、IT化が進んでいます。弊社も積極的なIT活用を進めており、さまざまなWebサービスもチェックしていますが、玉石混交の印象です。

そして「もしも、個々人のインサイトをよく把握しているGoogleのようなサービスが不動産を始めたら、私の役割がなくなるかも」と考えることもあります。

ただし先ほども申し上げたように、多くのお客様がご自分の求めているものをしっかり把握しておらず、気持ちもどんどん変わりますし、AIがそれをカバーするには至っていないと思います。

また、顔の見えない相手へ個人情報を差し出すことに不安を感じる方も多いです。

不動産業界の中でも、人をなくす(省人化)の動きはありますが、そこばかりにIT技術を活用すると、新たな問題も発生するのではないでしょうか。

それよりも、業者間や流通のコミュニケーション・ギャップを解消するために、IT活用した方が効果的に思います。

それから現在は、インターネットを中心に不動産情報が溢れていますが、正しい情報ばかりではないので注意が必要です。その方が置かれた状況によって、情報の正しさも変わってきます。

さらに、メタバースが普及した時に、仮想世界における不動産・建築の役割はどうなるか……など、ITに関しては考えが尽きません。

「業界とお客様のお役に立ちたい」成功の基準は、正しさではなく”楽しさ”

貴社の、今後の展望をお聞かせください

「親の家の課題」の解決にアプローチする予定です。

具体的には、親御様の家のリフォーム、建て替え、住み替え、解体、将来に向けた提案を子供世代の皆様とともに考えるもので、先ほどお話しした空き家問題解決にも関連する取り組みかと思います。

なお、空き家のまま残ってしまう大きな理由の1つとして、解体費の問題があります。弊社は、銀行と協力して、解体費を借りることができる仕組みを考えているところです。

また、福祉に関連した新しい不動産サポートをスタートしたいと思っています。こちらは先程お話しした「家じまい」に関連したサポートですね。

さらに、スピーディーな工期を実現する大型パネルを利用して家を建てるプランは2年ほど進めていて、今後もっと本格的にやろうと思っています。

今後、藤木様がチャレンジされたいことはございますが

生き方・暮らし方が多様化する現代において、どのようにお客様のお役に立てるかを考えています。また、不動産業界や建築業界をより良くするお役にも立ちたいです。

そして、お役に立つための鍵の1つが「コミュニケーション・ギャップの改善」であると考えています。

不動産・建築業界に長く携わる者として、見える課題も多いので、その方面から社会課題の解決に寄与したいですね。

「何が正しいのか」という問いは難しいですが、課題が解決すれば、お客様も、働く人も、経営者も、みんなが楽しくなるのではないでしょうか。

少なくとも私は、みんなが楽しくなければ、それは成功ではないと思います。

藤木賀子 様 スタイルオブ東京株式会社 代表取締役

藤木賀子 様
スタイルオブ東京株式会社 代表取締役

■ 企業プロフィール
社名:スタイルオブ東京株式会社
所在地:東京都港区南青山2-14-17 ジョワレ南青山6-S

事業内容:不動産、建築プロデュース、不動産売却サポート、コンサルティングほか

ホームページ:https://www.styleoftokyo.jp/
お問い合わせ:info@styleoftokyo.jp

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