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神奈川県の藤沢・辻堂エリアで不動産売買などを手掛ける「リンクホーム株式会社」。コロナ禍による人口流入で一帯の土地価格が上昇する中、代表取締役社長の木村 聡一様はテナントの創出が地域活性化のポイントになると考えています。
不動産業界に入った理由から独立の背景、将来の目標に至るまで話を伺いました。
新卒で神奈川県横浜市にある大手総合不動産会社に入社しました。飲食店の経営にも関心があったのですが、若さゆえに「頑張ればインセンティブを得られる」との理由で不動産業界を選びました。インターネットがなかった時代で、とにかく情報誌をめくって企業を探しましたね。
業界はバブルの名残もあり、多くの企業が“浮かれ気分”でした。しかし私が就職した会社は、そんな雰囲気を根本から変えたいという志を持っていました。新卒しか採用しない方針で、実直な風土に引かれて入社を決めましたね。不動産業について鍛え込まれ、18年間勤めた後に独立しました。
約20年にわたり勤め上げ、会社での業務をやり尽くしたと感じていました。やがて「誰からも何からも縛られず、自分で会社を始めよう」と考えるようになりました。
そもそも、新卒で入ったこの不動産会社は社員の独立志向が高く、私が退職する以前に30社ほどが立ち上がっていました。サラリーマンとして会社の判断を仰ぐ私に対し、自らの判断で大きい売買にチャレンジする彼らが自由でうらやましく、刺激を受けて起業したのです。
こうして2017年、出身地である藤沢市で開業し、辻堂エリアも商圏にして「リンクホーム株式会社」をスタートさせました。建設会社や士業に携わる知人も多く、ローカルなビジネスのネットワークが築けるのも地元ならではの魅力ですね。
引用元:リンクホーム株式会社
業務内容としては、主に自社で不動産を購入し、土地を整備したり、家屋を建てたりするなど新たな価値を付加して販売することです。また、不動産の売買仲介や相続相談、リフォーム工事なども手掛けています。
コロナ禍で顕著になっているのが急激な人口流入です。「都内までそこそこの距離」「暮らすのに便利」「自然がある」というバランスの良さも手伝い、移住者が非常に増えていますね。
この一帯は横浜市などに比べるとマンションの供給が少なかったのですが、最近、企業が所有する社宅や工場のための広大な土地が住居用に切り替わりました。こうして、一気に数百世帯が暮らせるようになったことも、移住者が増えた背景になっています。
なお、辻堂駅の前には大型ショッピングセンターがあり、横浜に出向かなくても用が済みます。一方で藤沢エリアからは商業施設が姿を消し、マンションが林立している状況ですね。賃料も含めて、これらの地域では全体的に土地の価格が上がっています。それでも都内に比べると安く抑えられるため、特に若いファミリー層の方が多く移住してきてます。
不動産を通じ、さまざまなつながりが生まれてほしいと願ってのことです。中でも一番大切にしているのは、お客さまであれ、各業者であれ、実際にお会いして「間違いない」と判断できた方と取引することです。
また、こうして信頼関係にある方々に、いわゆる“一見さん”を紹介しないようにも心がけています。20年来のお付き合いがあるパートナーもいるため、いかに安心していただけるかがビジネスで重要になりますね。
私は生まれてから46年藤沢に住んでいます。だから物件に関して、コアな価値も含めて紹介でき、サーフィンが趣味なので湘南エリアの波情報も提供できます。
引用元:リンクホーム株式会社
現在は私一人で運営しているため、とにかく決断が速いです。例えば「不動産を手放して早期に資金を回収したい」とお困りの場合、通常であれば1、2か月を要しますが、当社なら3週間程度で対応できます。大手企業にはないフットワークの軽さが強みです。
なお、お客さまの約9割が「土地の相続」で当社をご利用になります。ご両親から不動産を受け継いだものの利用できずにいる方から、税理士法人を母体とする「ベンチャーサポート不動産株式会社」を経由してご依頼いただくことが多いです。
あとは「相続税を払うために土地を売る必要があるけれど、住み慣れた場所を離れたくない」という農家の方からもよく相談を受けます。
実際に、自宅用の土地を残して周囲の農地を手放し、売却で得た資金で家を建て直した方もいます。何よりも同じ場所に住み続けることができ、大変喜ばれましたね。
仕事がオンライン化し、休日の外出も控える傾向にあることから、自宅で長い時間を過ごす人が増えました。それに伴い、より広い部屋を求めるお客さまが以前よりも多くなりましたね。
また、都会から藤沢や辻堂に越してくる人のほとんどが以前よりもスペースにゆとりのある物件を見つけますが、転居を機にキャンプ用品やマリンスポーツの道具を購入するとも聞きます。収納が広くなったことで、新しい趣味を始められるのでしょうね。
コロナの流行で2020年は“遮断の年”というか、人と接する機会が極端に減りました。当社には「生前に不動産を売却したい」という高齢のお客さまもいらっしゃいますが、緊急事態宣言などで会うことができず、販売できる土地や物件が少なかったですね。こうした状況に反して人口が急増したことから、需要と供給の関係で不動産価格が上昇しました。
人々の収入が上がらない一方、不動産が高騰するというのは非常にバランスが悪く、この地域の土地価格もコロナの収束とともに下落する予想もしますが、ウクライナ情勢含めて依然不透明だと思います。当社にとっては懸念点ですが、同時にチャンスでもあります。今後も注意深く見守っていきたいですね。
また、藤沢や辻堂エリアでは、古いアパートが建て替えられて再びアパートになっています。テナントビルなど異なる業態が誕生せず、特に辻堂では新しい飲食店が増えていません。人口が流入しているのに、非常にもったいない状況なので、力を入れて改善していきたいと思っています。
コロナとは別に、近年では空き家問題も深刻です。建物をリノベーションして入居者を募る人もいますが、私としては「土地価格が高騰している」「更地にすると税率の軽減が適用される」などの理由から、ぜひ売却を勧めたいですね。
不動産の売買が法整備され、今後はオンラインでの契約が可能になるなど業界でもデジタル化が進んでいます。その中で身近に感じる不動産テックは賃貸管理の分野ですね。
例えば、以前は対面でアパートの鍵を受け渡していましたが、今後はスマートフォンによるパスワード入力だけでドアのロックを設定できます。かなり便利になるでしょうね。
やはり、地元にテナントを創出していくことが最大の目標です。商売できる場所を求め、当社もひっきりなしに問い合わせを受けるのですが、不動産の所有者はお年寄りが多く、騒音などのご近所トラブルを避けたいからとテナントに見向きもしません。そして前述の通り、アパートが建っている状況ですね。
優良なテナントビルは子や孫の代まで収益をもたらすので、これからも真摯にメリットを説明していきます。もちろん、当社で土地を購入し、テナントビルを建てることも視野に入れています。私たちの世代が地域と調和しながら、新しい場所を次々とつくって活性化に貢献したいです。
加えて、長く住める賃貸物件にも関心があります。藤沢や辻堂には間取りの狭い物件が多い一方、最もニーズが高いのは3LDKやファミリータイプの部屋です。場所と建物のデザインにこだわり、賃貸には珍しいガレージも用意して、家族が増えても暮らせるテラスハウスを建てるのも新たなビジネスになりそうですね。
■ 企業プロフィール
社名:リンクホーム株式会社
所在地:藤沢市辻堂新町1-4-13 グランシャリオB号室
事業内容:不動産売買、賃貸、買取、相続相談、リフォーム工事