立ち退き料を受け取った場合には確定申告が必要なのでしょうか。
「立ち退きに対しての補償だから収入じゃない」と思っている方がいるかもしれません。
しかし、立ち退き料は収入=所得に該当するため確定申告をした上で、所得税を納税する必要があります。
しかも所得税以外に課税される税金が発生することもあります。
立ち退き料に対しての税金は金額が大きくなる場合もあるため、減税させる方法も知っておかなければいけません。
本記事では、確定申告に必要な書類や立ち退きに課税される税金、所得税を抑える特例などを紹介します。
立ち退き料を受け取ると所得を得たことになりますので、確定申告が必要です。
確定申告は、1月1日から12月31日までに所得があった場合、翌年の2月16日から3月15日までに税務署に申告しなければいけません。
確定申告をするには様々な必要書類があります。
その必要書類を紹介します。
確定申告をする方、全員に必要な書類は次の通りです。
全員が必要な書類
なお、印鑑は2021年4月1日以降の確定申告には必要がなくなりました。
確定申告をする人によって書類に違いの出る場合があります。
ここからはそれぞれの人に必要な書類を分けて紹介します。
白色申告をしているのか、青色申告をしているのかにより違いがあります。
白色申告をしている場合は収支内訳書、青色申告をしている場合は青色申告決算書を、共通で必要な書類と一緒に提出しましょう。
年末調整ではできない控除を使う場合には、会社員も確定申告を行います。
会社員が確定申告を行う場合の必要書類などをケースごとに紹介します。
ケース | 必要書類 |
---|---|
医療費控除を受ける | 医療費控除の明細書 |
住宅ローン控除を受ける |
登記事項証明書の原本 請負契約書の写しや売買契約書の写し 住宅ローンに係る借入金の年末残高等証明書 |
自然災害や盗難被害に遭った |
災害に関連するやむを得ない支出を証明する領収書 保険金の補填額がわかる書類 |
ふるさと納税をしている | 自治体から送付される受領書 |
2か所以上から給与を受け取っている | 全ての勤務先の源泉徴収票 |
このように人や状況により、確定申告をするのに準備する必要書類が違います。
詳細は税務署に確認してから、確定申告を行うようにしましょう。
立ち退き料を受け取ると所得になるため、税金が課税されます。
課税される税金や内容は、受け取る人や立ち退き料の内容で変わります。
どのような条件により内容が変わるのか、簡単な所得の計算方法までを解説します。
立ち退き料は、受け取る人が個人なのか法人なのかで税金の種類が変わります。
法人が受け取った場合は法人税が課税され、個人が受け取った場合は所得税が課税されます。
法人の受け取った立ち退き料はすべて益金となり、他の所得金額と合算して確定申告を行ってください。
また個人で受け取った場合には、立ち退き料の受け取った理由により計算方法が変わります。
次からは、個人が受け取った立ち退き料の詳細を解説します。
土地を借りて建物を建築した場合、立ち退きをすることにより建物=資産を失います。
このように立ち退きをすることにより、資産を失う場合は譲渡所得として計上します。
譲渡所得の金額は次のような計算式です。
店舗や事務所などを立ち退かせる場合、店舗や事務所が営業を行うことができなくなることがあります。
営業停止中の売上の補償や、移転により顧客が減ることへの補償などの休業補償のための立ち退き料は、事業所得です。
事業所得の金額は次のように計算します。
上記のケース以外の立ち退きの場合は、一時所得として確定申告を行います。
立ち退き料を受け取ったケースで一番多いです。
賃貸住宅の一室から立ち退くというケースは一時所得のケースに該当します。
一時所得の金額は次のように計算します。
通常、立ち退き料に消費税は課税されません。
しかし、立ち退き料を受け取った理由が、賃借人であるという地位の譲渡による立ち退き料は消費税課税対象になります。
道路拡幅など、土地収用法やその他の法律で収用権が認められている公共事業に伴う立ち退きで、土地や建物を売却した場合には特例措置が設けられています。
この制度が「収用などにより土地建物を売ったときの特例」です。
本項では収用などにより土地建物を売ったときの特例の概要を解説します。
土地収用法などの公共事業により、土地や建物などの固定資産を売却し立ち退いた人には特別控除を認めるという制度です。
この制度には2種類の特例があります。
1つ目は、不動産を買い換えした場合です。
立ち退きのために自宅を売却し立ち退いた場合だと、次に自宅とする不動産を購入することもあります。
売却した不動産金額より買い換えた不動産金額の方が高い場合は、不動産売却益が出ていたとしても、不動産を売却した年に譲渡所得税は課税されません。
つまり、売却金額<購入金額の場合は、不動産を売却した年には譲渡所得税は課税されないということです。
あくまで所得税が課税されないわけではなく、所得税が繰り延べになるだけのため注意が必要です。
また、売った金額より買い換えた金額が少ないときは、その差額を収入金額として譲渡所得の金額の計算を行います。
上記のいずれかに該当する方は、5,000万円控除を利用します。
この5,000万円の控除とは、不動産を売却した場合に利益が出ると所得税の課税対象となりますが、不動産売却の利益から5,000万円を控除することができるものです。
買い換えの特例を利用する場合と、5,000万円控除を利用する場合と利用可能要件が違いますので分けて解説します。
買い換えの特例を利用する要件は、次の通りです。
買い換えの特例を利用する要件
5,000万円の特例の利用要件は、次の通りです。
5,000万円の特例の利用する要件
収用などにより土地建物を売ったときの特例を利用するためには、確定申告をする必要があります。
先述した確定申告に必要な書類に加えて、公共事業の施行者から受けた公共事業用資産の買取りなどの申出証明書や買取りなどの証明書を添付しましょう。
立ち退き料を受け取った場合は、所得があったとみなされるため、確定申告が必要です。
確定申告は決まった時期に、決められた書類を添付して提出しなければいけません。
受け取った立ち退き料の内容により、確定申告に必要な書類が変わることもあります。
特に、立ち退き料の内容によって計上の仕方が変わることには注意しなければいけません。
これを間違えてしまうと、税務署より追徴課税される可能性があります。
そうした事態にならないよう、専門家のアドバイスを受ける、あるいは専門家に代理をお願いするなどして確定申告をすることをおすすめします。
当社では無料相談をお受けしております。些細なことでもお気軽にお問い合わせください。