

東京弁護士会所属。東京都出身。
弁護士になる前、私は公務員として自治体業務に携わってきました。その経験から、法的な正しさだけでなく、社会的な公平性や、一人ひとりの生活に寄り添うことの重要性を深く理解しています。
立ち退き問題は、住まいや事業所といった生活の根幹に関わる問題であり、そこには多大な不安やストレスが伴います。私は「弁護士は敷居が高い」というイメージを払拭し、何でも気軽に話せる相談相手であることを常に心がけています。
複雑な法律用語を分かりやすく整理し、今後の見通しを丁寧にご説明した上で、依頼者様が「相談して良かった」と心から思える解決を目指します。公務員時代から大切にしている「誠実に向き合う」姿勢を貫き、皆様の正当な権利を守るために全力で取り組んでまいります。

賃貸契約を更新拒絶したい場合でも、通知の送付後、借主がスムーズに退去するとは限りません。
物件に居座って法定更新[注1]を主張するケースもあり、自分で立ち退き交渉をすると精神的な負担や時間的なコストがかかる可能性があります。
賃貸物件では、更新拒絶の通知期限が契約終了の6カ月前までと定められています。
立ち退き交渉は想像以上にハードルが高いため、弁護士に相談しましょう。
ここでは、更新拒絶通知書の作成方法や、交渉を成功させるための戦略、借主からいつまで住めるか聞かれたときの対応方法などを解説します。
目次

貸主から賃貸物件の更新拒絶をするときは、原則として退去を求めるための正当事由がなければなりません。
通知すれば自動的に更新拒絶ができるわけではなく、法定の要件や通知期限などを守らなければならない点に注意しましょう。
借地借家法26条[注1]では、期間の定めのある建物賃貸借の更新を拒絶するときは満了日の1年前〜6カ月前に通知しなければならないと定めています。
通知をしなかった場合、従前と同一の条件で、かつ、期間の定めがないとして契約更新したとみなされます。
実務上は、通知の事実を証拠として記録に残すために内容証明郵便を利用するケースが多いでしょう。
内容証明郵便とは、差出人や配達先、配達日時、内容などを郵便局が公的に証明する制度です。
後に裁判上の争いとなった場合など、通知の事実を証明するための法的な証拠保全方法として利用されています。
賃貸人から賃貸借契約を更新拒絶するときは、やむを得ないと認められる正当な事由が必要です。
正当事由は、賃貸人と賃借人の事情や建物の状況、立ち退き料の額などから総合的に判断されます。
一方で、賃借人は立ち退きによって生活の本拠を失う可能性が高いため、実務上で正当事由が認められるケースは限定されています。
近年の裁判例として、単なる「物件を売却したい」「貸し方を変えたい」といった貸主都合では一般的に正当事由として認められません。
自分の所有する物件だからといって、自由に借主を退去させられない点に注意しましょう。
正当事由が認められるケースについては、次章以降で解説します。
更新拒絶の通知を送った後、物件を使用し続けている賃借人に遅滞なく異議を述べなかった場合、契約が法定更新によって継続する恐れがあります。
法定更新がされると「期間の定めのない契約」に移行するため、賃貸人からの立ち退き要求が困難になるケースが多いでしょう。
商業施設の建て替えなどの場合、立ち退きが遅くなるほど経済的な損失も大きくなるため、更新拒絶を通知した後の対応には注意しなければなりません。
通知後、賃借人が物件に居座り続けるときは放置せず、法定更新を防ぐための異議申し立てについて弁護士に相談しましょう。

賃貸人からの更新拒絶の正当事由が認められるかどうかは、主に次の3つの要素から総合的に判断されます。
それぞれの内容を確認していきましょう。
賃貸人の所有物件であっても、単に自己使用する目的では立ち退きの正当事由として不十分です。
次のような事情があり、自己使用の必要性が高い理由を説明しなければなりません。
裁判所は、賃貸人の必要性と賃借人の事情を総合的に考量し、利益衡量の視点から正当事由の認定や立ち退き料の算定を行います。
正当事由の認定は個別の事情によって異なるため、弁護士に相談しましょう。
老朽化した建物を放置すると、事故が起きたときに所有者である賃貸人が工作物責任を負う可能性があります。
建物の老朽化を理由に建て替えをする場合、単に築年数が経っているのみでは一般的に正当事由として認められません。
正当事由として認定されるのは、最新の耐震基準に適合していない場合や、倒壊リスクといった安全上の問題がある場合などです。
耐震診断などの客観的な根拠があると、証拠として認められる可能性が高くなるでしょう。
一方で、商業的に収益を最大化させるための建て替えを行うときなどは、実務上、多額の立ち退き料による補完が必要となるケースが多いです。
立ち退き料とは、借主が退去するときの損失などを補填する目的で支払われる金銭です。
実務上は、賃貸人の正当事由が不足している場合に補完する重要な役割があります。
賃貸人が退去を求める正当事由が弱いケースでも、十分な立ち退き料があると正当事由が補完され、立ち退きが認められる可能性があるでしょう。
立ち退き料の相場は、賃貸人と賃借人の双方の事情が考慮されますが、一般的に家賃の数カ月〜数年分になるケースが多いです。
賃借人が店舗などの事業を営んでおり、移転によって発生する損失が大きいときは立ち退き料が高額になるケースもあるでしょう。
賃貸契約の更新拒絶通知は、一般的に次のような項目を書面に記載して送付します。
通知日や内容を証拠として残すため、内容証明郵便の利用が望ましいでしょう。
通知書に「更新を希望するときは条件を変更する」といった曖昧な文言を入れると、逆に合意更新の申し込みをしたとみなされる恐れがあります。
通知期限である契約満了1年前から6カ月前の送付についても、遅れると1年以上のロスになる恐れがあるため期限は厳守しましょう。
内容証明郵便を利用すると、通知日などを記録できるほか、弁護士名義の通知書の送付によって相手に心理的なプレッシャーを与えられます。
基本的な記載事項として、主に次のような項目を明記しましょう。
賃借人からの質問について、説明や対応を誤ると立ち退き交渉が難航する可能性があります。
たとえば、いつまで住めるか聞かれたときに「退去できるようになってからでよい」など曖昧な回答をすると、法的な権利放棄に繋がりかねません。
明け渡し日を提示し、交渉を受けたときは弁護士に対応を依頼するのが望ましいでしょう。
賃貸人から賃借人へ更新拒絶を通知したときも、現在の契約期間満了日までは賃借人に居住する権利があります。
賃貸人が感情的になり、すぐに退去するように求めたときは不法行為として慰謝料請求の対象になる恐れがあるため注意しましょう。
できるだけ早く賃借人に退去してもらいたい場合は、契約満了の前に賃借人との交渉によって合意解約へ持ち込む必要があります。
賃借人の権利や生活状況を尊重しつつ、戦略的に合意解約への交渉を進める必要があるでしょう。
賃貸人が退去を求める正当事由が弱いときは、賃借人の生活基盤を優先するのが合理的であると判断される可能性もあります。
この場合、期間満了後も法定更新によって賃借人に住み続けられてしまうリスクがあるでしょう。
法定更新[注1]がされると期間の定めのない契約となり、賃借人に立ち退いてもらうのがさらに困難になる恐れがあります。
立ち退きが困難になると、一般的に物件の資産価値も低下してしまうため、経営上のデメリットが発生します。
賃借人から「いつまで住めるのか」「立ち退き料はいくらか」と聞かれたとき、賃貸人が直接回答すると不利になってしまう恐れがあります。
口約束での立ち退き料増額など、安易な約束であっても法的な債務となり、後から取り消せなくなる可能性があるためです。
賃貸人と賃借人が直接交渉した場合、感情的になってしまい話し合いが進まなくなるケースも珍しくありません。
第三者として弁護士が介入し、賃貸人への連絡窓口を弁護士に一本化すると、感情的な対立を避けられ、最短で解決できる可能性が高くなるでしょう。
賃貸契約を更新拒絶するための交渉は、自力や管理会社に任せても解決が難しいケースが多いため、弁護士への相談がおすすめです。
管理会社に依頼すると、弁護士法72条違反[注2]に該当する可能性もあるため注意しましょう。
正当事由の構成は、契約更新の拒絶が認められるかどうかに大きく影響します。
賃借人に提示した後は撤回が困難になる恐れもあるため、専門家への事前相談が重要です。
弁護士に依頼すると、過去の判例などから正当事由として有効な構成となるように補強するためのアドバイスをもらえるでしょう。
具体的には、耐震診断書などの証拠収集や、正当事由の不足を補完する立ち退き料など、依頼人の利益を最大化するロジックを弁護士の職能により構築します。
立ち退き問題は、最終的には裁判上で解決する必要があり、裁判官の心証を見越した高度な法律構成こそが弁護士に依頼する最大のメリットです。
弁護士法72条は、報酬目的で立ち退き交渉を代行できるのは弁護士のみと規定しており、管理会社が行うと非弁行為に該当する可能性があります。
非弁行為に該当すると、立ち退き交渉が無効になるケースや、トラブルに巻き込まれるケースもあるため注意しなければなりません。
賃貸人が立ち退き交渉を行う場合、長期間の交渉が求められるケースもあり、精神的な負担が重くかかります。
弁護士に依頼すると、受任通知の送付後は賃借人との交渉を代行してもらえるため、負担が大幅に軽減されるでしょう。
現代では賃貸人と賃借人の権利関係が複雑化していますが、弁護士は法的な強制力を背景にした粘り強い交渉が可能です。
賃貸契約の更新拒絶は、通知したら終わりではなく、そこから円満な明け渡しに向けた戦略を組み立てなければならないケースが多いです。
退去を求める正当事由が弱い場合、高額な立ち退き料を要求されるケースや、立ち退きが認められないケースもあるでしょう。
期間満了後も賃借人が居座り続けると、法的更新を主張されるリスクもあるため注意しなければなりません。
有効な正当事由の構成など、立ち退きを求めるための戦略は弁護士に相談しましょう。
VSG弁護士法人では、初回無料相談を実施しています。
物件の資産価値や収益の最大化を目的とした交渉実績が豊富なVSG弁護士法人にご相談ください。
[注1]借地借家方/e-Gov
借地借家法26条
[注2]弁護士法/e-Gov
弁護士法第72条