

東京弁護士会所属。東京都出身。
弁護士になる前、私は公務員として自治体業務に携わってきました。その経験から、法的な正しさだけでなく、社会的な公平性や、一人ひとりの生活に寄り添うことの重要性を深く理解しています。
立ち退き問題は、住まいや事業所といった生活の根幹に関わる問題であり、そこには多大な不安やストレスが伴います。私は「弁護士は敷居が高い」というイメージを払拭し、何でも気軽に話せる相談相手であることを常に心がけています。
複雑な法律用語を分かりやすく整理し、今後の見通しを丁寧にご説明した上で、依頼者様が「相談して良かった」と心から思える解決を目指します。公務員時代から大切にしている「誠実に向き合う」姿勢を貫き、皆様の正当な権利を守るために全力で取り組んでまいります。

賃貸物件の室内ドアを壊して修理費用を請求された場合、まずは火災保険の適用可否を確認しましょう。
火災保険に含まれる借家人賠償責任補償特約は、借主による室内ドアの損壊にも適用できる可能性があります。
火災保険を適用できない場合でも、請求額の内訳に借主負担とはならない費用が含まれているときは減額を要求できます。
経年劣化による価値の減少が考慮されていない場合や、修理できる小さな損壊にも関わらず新品交換代が請求されている場合などです。
ただし、個人が貸主や管理会社に減額を要求しても、対応してもらえない可能性も考えられます。
弁護士に依頼して通知を送付すると、法的な根拠をもって減額を要求できるため、大幅な減額を認めてもらえるケースもあるでしょう。
この記事では、室内ドアの修理費用の相場や火災保険を適用するための要件、退去費用のトラブル防止策などを解説します。
目次
賃貸物件のドアを壊してしまった場合の修理費用の目安は、以下の通りです。

金額はドアの素材や仕様、損傷の程度によって変わります。
ドア全体を交換しなくてはならないほど大きな破損でない限り、修理費用は3万円~5万円程度を目安にしておくとよいでしょう。
賃貸物件のドアを壊してしまったときは、自分で修理するか、専門の業者に依頼するか、悩む方もいるかもしれません。
DIYで修理する場合と、業者に依頼する場合の修理方法や注意点について見てみましょう。
破損が軽度ならば、自分で補修すると修理費用が抑えられます。
以下に、ドアの修理方法について破損の種類別にまとめているため、参考にしてください。
| 破損の状況 | 対処法 |
|---|---|
| 軽度の傷 | 市販の補修ペンで、薄い色から様子を見つつ少しずつ重ねていく |
| 軽度の穴 | 市販のリペアキット(パテやグラスファイバー)を使用して穴をふさぎ、サンドペーパーで表面を整える |
| 塗装剥がれ | 表面をサンドペーパーで磨き、市販の同色の塗料で塗り直すか、補修シール・補修シートを貼る |
| 木製ドア/プラスチック製ドアの表面の剥がれ | 剥がれた部分の汚れやホコリを取り、木工用ボンド・プラスチック用接着剤で貼り直す |
木目調のドアは色柄を合わせにくいため、完全に元通りにしたいときは専門業者に依頼しましょう。
借主が勝手に行ったDIY補修は、貸主や管理会社から原状回復と認められないケースが多いです。
隠蔽工作とみなされるリスクもあるため、賃貸物件でのDIY補修は原則として避けた方がよいでしょう。
比較的大きな破損の場合、素人が完全に元通りにドアの修復を行うのは難しく、かえって状態を悪化させ、追加請求されるリスクがあります。
専門の業者に依頼すれば修復が難しい細かな色のニュアンスや木目の模様も再現でき、完成度の高い修理ができます。
自分で修理するよりも、リスクが少なく原状回復に関するトラブルを防げるでしょう。
民法第615条[注1]では、「賃借物が修繕を必要とするときは、賃借人は遅滞なくその旨を賃貸人に通知しなければならない」とする通知義務が定められています。
したがって、賃貸物件の場合には勝手に大掛かりな修理をするのは避け、管理会社や貸主に連絡を入れて対処方法を確認しましょう。
[注1]民法/e-Gov
民法第615条(賃借人の通知義務)

室内ドアの破損が借主の故意や過失であっても、以下の観点から新品交換代を全額負担するケースはほとんどありません。
経年劣化による価値の減少分が考慮されるため
入居から年数が経っている場合、経年劣化による価値の減少分は借主負担とならないため、新品価格を全額負担する必要はありません。
部分補修が原則になるため
室内ドアに穴が開いても、機能に問題がなければ新品交換は過剰請求となり、部分補修代の負担で済むケースが多いです。
通常損耗は貸主負担となるため
日光による色褪せや蝶番の緩みなど、日常生活で生じる損耗の原状回復費用は貸主が負担します。
賃貸物件のドアを壊してしまったとき、場合によっては火災保険が適用できる可能性があります。
ここでは、ドアの修理で火災保険を適用する条件と手続きの注意点について解説します。
賃貸物件の契約時に加入する火災保険の借家人賠償責任補償特約は、入居者が賃貸物件に損害を与え、法律上の賠償責任を負うときに適用されます。
適用される主なケースは、以下のとおりです。
故意に壊した場合や経年劣化、日常的な摩擦による破損は適用外となります。
火災保険を利用する際は、以下のような流れに沿って手続きを行います。
賃貸物件のドア破損で火災保険を利用する際は、必ずしも保険が適用されるわけではありません。
たとえば、ドアを破損した原因が保険の補償対象範囲外だった場合や、損害額が免責金額を下回った場合などには保険金が支払われない可能性もあります。
酒に酔って暴れたケースや、不注意の域を超えたケースなど、重過失とみなされた場合も保険が適用されない恐れがあるため注意しましょう。
賃貸物件の退去トラブルを予防する方法はあります。
それぞれの対策について詳しく見ていきましょう。
入居時には、まずドアを含めた室内の設備の状態を細かくチェックしてください。
入居時点ですでにある傷やへこみを発見した場合には、必ず写真を撮影して記録に残しておきましょう。
入居時だけでなく、入居中にドアなどの設備を壊してしまった場合にも写真を撮ってください。
破損の事実について管理会社にも共有しておくと、退去時のトラブルを回避しやすくなります。
ドアやフローリングをはじめとした賃貸物件の設備の経年劣化は、避けられません。
経年劣化による価値の減少分は、原則として借主の負担から控除されます。
一方で、備品の扱いに不注意があったとみなされると貸主とのトラブルに発展し、修繕費用を請求される可能性もあります。
以下のように適切なメンテナンスによって設備の劣化を防ぐと、全体的な退去費用を軽減でき、貸主とのトラブルも回避できるでしょう。
貸主から高額な退去費用を請求されたときは、できるだけ早いタイミングで弁護士へ相談しましょう。
弁護士に相談すると、以下のようなメリットがあります。
法的な根拠に基づいて不当な高額請求に反論できる
退去費用が不当に高額なときは、弁護士は過去の判例などを根拠として減額を要求します。
弁護士が介入すると、法的な紛争を避けるために貸主が減額に応じる可能性は高くなるでしょう。
交渉にかかる精神的負担を軽減できる
個人で交渉を行うと、相手が強硬な態度になるケースや、お互いに感情的になり話し合いが進まないケースも珍しくありません。
弁護士に交渉を依頼すると、貸主や管理会社との連絡は弁護士が代理人として行うため、交渉にかかる精神的負担が軽減されます。
不当な請求の拒否によって退去費用を軽減できれば、将来的な生活再建の第一歩となります。
室内ドアを壊してしまった場合でも、まずは焦らずに火災保険の適用可否を確認しましょう。
火災保険を適用できないときでも、請求額の内訳を精査すると減額を要求できる可能性があります。
特に経年劣化による価値の減少分が考慮されていない場合、中古家具の修理にも関わらず新品交換代金を請求されているような状態です。
貸主に費用の減額を請求するときは、個人では対応してもらえない可能性も高いため、弁護士への相談がおすすめです。
請求された費用に納得がいかないときは、賃貸トラブルの解決実績が豊富な弁護士が在籍するVSG弁護士法人にご相談ください。