賃貸契約の更新料とは、契約期間が満了したときに発生し、支払うと契約を継続できます。
契約更新の方法は2種類あり、場合によっては更新料が発生しません。
事前に契約の種類を理解しておく方がよいでしょう。
また、そもそも更新料を支払わなくてもよいケースもあるため、契約更新を控えている方は把握しておくことをおすすめします。
この記事では賃貸契約の更新方法と、更新料を支払わなかった場合のリスク、支払わなくてよい3つのケースを紹介します。
目次
賃貸契約の更新方法は、合意更新と法定更新の2種類あります。
それぞれの更新方法について紹介します。
合意更新とは、貸主と借主の合意に基づいて行われる更新です。
貸主と借主の間で、次の賃貸借契約期間や契約内容について話し合いを行います。
とはいえ、一般的な賃貸借契約では以下のような条項が記載されており、自動的に更新されるケースが多くなっています。
特にアパートやマンションなどを借りて更新した経験がある方は、更新料だけ支払って手続きが完了したという方も多いでしょう。
一般的には2年ごとの更新と定めているケースが多く、家賃1カ月分ほどの更新料を支払う条件で更新の合意を得ます。
法定更新とは、契約が自動的に更新される方法です。
合意更新の場合、契約期間の満了が近づくと、貸主から借主へ更新の有無を確認します。
一方法定更新は、契約期間が完了する1年から6カ月前までに貸主から更新拒絶の通知がなく、借主との協議がない場合に適用される方法です。
貸主は貸している物件を別の用途に使いたい場合、正当な事由があれば事前に借主へ更新できない旨を伝えられます。
しかし、特に貸主と借主の間で契約更新に関する話し合いがなければ、従前の契約と同一条件で更新されるしくみです。
法定更新では、借契約期間の定めがないため、借主も更新料の支払いをする必要がありません。
賃貸借契約に更新料の支払い請求できる旨が明記されている場合、法定更新でも支払う可能性はあります。
先述した通り、法定更新は原則更新料の支払いはありません。
しかし合意更新、法定更新問わず、更新料を支払うものとすると契約書に明記されていれば、貸主は更新料を請求できる場合があります。
賃貸借契約書に更新料が明確に記載されている場合は、支払う可能性もあると認識しておきましょう。
ここでは、合意更新と法定更新の違いを以下の表にまとめました。
合意更新 | 法定更新 | |
---|---|---|
更新拒絶の通知 | あり | なし |
契約内容の変更 | 従前の契約から変更可能 | 従前の契約と同じ |
契約期間の定め | 自由に設定可能 | なし |
更新料 | あり | なし |
法定更新は、従前の契約と同一条件で更新されますが、合意更新の場合は貸主と借主の話し合いで契約内容を変更できます。
また、更新料は合意更新では発生する、法定更新では基本的に発生しないという違いがあります。
賃貸契約の更新料を支払わないとどうなるのでしょうか。
ここでは、支払わない場合の3つのケースを紹介します。
更新料を支払わなければ、賃貸契約は解除される可能性があります。
解除された後は、即座に物件から退去が求められるケースが多くなっています。
もちろん更新料は法律に定めがないため、貸主が当然に請求できるわけではありません。
しかし、実際は入居時の契約書に更新料の支払いに関しての記載があるケースが一般的です。
賃貸借契約書に更新料の支払いによって更新できる旨が明記されていれば、当然ながら支払う必要があります。
更新料を支払わないままだと、債務不履行にあたり、契約解除ができる正当な理由が成立します。
貸主も更新料の支払いをしてくれなければ、今後家賃滞納などのリスクも高まると考えるでしょう。
その結果、貸主は現入居者を退去させ、新しい入居者を募集する動きへ移行します。
更新料を支払わないからといって、すぐに解約して退去するわけではありません。
賃料を支払っている以上、借主には居住者が家屋に継続して居住できる居住権が発生するため、すぐに退去を命じられるケースは少ないです。
とはいえ、更新料の支払いをしない意思表示を出せば、貸主から立ち退き告知を受けるでしょう。
そのため、すぐに更新料を支払うか、更新料について貸主と相談してみることをおすすめします。
更新料を支払わなければ、遅延損害金が請求される可能性もあります。
賃貸借契約書に更新料の支払いが遅れた場合の「遅延損害金が明記されていないから大丈夫」と勘違いしている方も多いようです。
しかし、民法上金銭債務の不履行で生じた損害は、相手に遅延損害金として請求できます(民法第419条)。
そのため、契約書に記載がなくても遅延損害金の支払いが生じる可能性があるため注意しましょう。
遅延損害金は、以下の計算式で算出できます。
遅延損害金利率は上限14.6%と定められておりますが、賃貸借契約書に記載がない場合は3%と設定されています。
決して大きな金額ではありませんが、更新料を支払わない期間が長くなるほど遅延損害金も大きくなるため、注意しましょう。
空室が目立つ物件であれば、入居者が減って収入が減るのを懸念する貸主も多いでしょう。
そのようなケースでは、話し合いによって更新料の相談ができる場合はあります。
特に老朽化している物件は入居率も低く、思ったような家賃を得られていない貸主も多くなっています。
これ以上空室が多くなるのであれば、更新料の減額や免除によって退去を抑えようと考える貸主も少なくありません。
ここでは、賃貸契約の更新料を支払わなくてよいケースを3つ紹介します。
前述したように、賃貸借契約書に更新料に関する記載がない場合は、支払う必要はありません。
仮に貸主から更新料を請求されたとしても、契約書に記載がなければ拒否して更新できる可能性があります。
もちろん、「支払うつもりはない」と一方的に拒否すると、貸主とのトラブルになる可能性も高くなります。
法律上、更新料の支払い義務は規定されていなくても、貸主との関係は良好であった方が望ましいのは言うまでもありません。
不動産会社や弁護士に仲介に入ってもらい、貸主としっかり話し合いを行って決めましょう。
更新料の金額など、具体的な内容が賃貸借契約書に記載されていない場合は、更新料の支払い拒否ができる場合があります。
賃貸借契約書には、更新に関する事項の項目があります。
しかし、更新料に関しては明確に記載されておらず、曖昧なままとなっているケースも少なくありません。
そのような場合は、更新料の請求が届いても、契約書に具体的に記載されていないという理由で、支払いの拒否も可能です。
とはいえ、先程もお伝えした通り、貸主との関係が悪化する可能性も高まるため、しっかり確認して対応しましょう。
明らかに高額な更新料が請求された場合、支払いを拒否できる可能性があります。
居住用の賃貸借契約の更新料の相場は、家賃の1カ月ほどです。
事業用であれば、数カ月分の家賃が更新料となるケースもあります。
しかし、明らかに相場より高額な更新料であれば、消費者契約法に違反し、無効となる可能性もあります。
更新料が高額か否かは、人によって価値観が異なるため、判断が難しいところです。
一般的には家賃の3カ月ほど以下であれば、高いと判断されにくいですが、実際は裁判所の判決にゆだねることとなるでしょう。
賃貸契約の更新料を支払わないと、契約解除となって退去する可能性も高いです。
法定更新であれば、更新料を支払う必要はありませんが、一般的には合意更新が採用されています。
更新料は貸主と借主の関係を維持する目的もあるため、しっかり契約する前や更新前に確認しておきましょう。