

東京弁護士会所属。新潟県上越市出身。
建物の取り壊しや土地売却などに伴う立ち退き問題は、生活基盤や事業拠点に関わる重大な局面であり、金銭面だけでなく精神的にも大きな負担となります。
適正な立ち退き料を算出・獲得するためには、法律の知識はもちろん、不動産価値の評価や移転に伴う経済的損失を正確に把握する視点が欠かせません。 私は証券会社や金融機関での10年以上の実務経験を活かし、客観的なデータに基づいた説得力のある交渉を行うことを得意としています。 依頼者様の不安に寄り添い、経済的・心理的に最善の結果を得られるよう尽力いたします。まずはお気軽にご相談ください。
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書籍: 他の専門家から声がかかる 事業承継弁護士養成講座

営業補償とは、大家都合の立ち退きによる休業期間中の逸失利益や移転費用など、店舗側の損失を補填する金銭です。
業種や営業規模によって発生する損失が異なるため一律の基準はありませんが、小規模店舗では家賃の2〜3年分ほどが目安となるでしょう。
立ち退き料の提示があってもすぐには合意せず、弁護士に相談して損失額を算定し、適正な金額をもらえるよう交渉するのがおすすめです。
本記事では、店舗などの立ち退き料について、営業補償の考え方や算定方法などを解説します。
営業補償とは立ち退きで生じる損失を補填する金銭であり、立ち退き料に含まれるのが一般的でしょう。
営業補償は、主に営業休止補償と営業廃止補償にわけられます。
営業休止補償は、新たな店舗で営業を継続する場合の補償であり、算定には以下のような点が考慮されます。
営業廃止補償とは、以下のように立ち退きで廃業せざるを得ない場合などに支払われる金銭です。
営業補償には、主に以下のようなポイントが考慮されます。
これらは大家都合の退去が原因で発生した損失であり、売上台帳などの実務資料を根拠に算定されます。
移転期間は、店舗を休業して設備機器や物品の搬出を行わなければなりません。
移転先が見つかっても内装やインフラの工事などで通常1〜3カ月ほどは休業期間が発生し、売上はゼロになります。休業期間に本来得られる利益は、直近数期分の確定申告書の売上や経費から算出した1日あたりの利益と休業日数を乗じて計算します。
休業期間中も従業員を雇用し続けるには、労働基準法26条[注1]により休業期間中は平均賃金の60%以上を休業手当として支払わなければなりません。
新たなテナントを契約すると、敷金礼金や仲介手数料のみでなく、休業期間中も毎月の賃料が発生します。
休業手当や新店舗の初期費用、休業期間中の家賃などは、営業を継続するための費用であり、大家都合の退去による出費として請求できます。
[注1]労働基準法/e-Gov
労働基準法26条
店舗の移転により常連顧客を失い、損失が発生する可能性があるときは営業補償として考慮されます。
移転先が同じ町内など比較的近隣であれば、常連顧客を失わないかもしれません。
一方で、隣町や数キロ離れた場所など立地の変更を余儀なくされるときは、常連顧客が離れてしまい将来的な売上が減少するリスクが高くなります。
常連顧客の足が遠のくような立地への移転が余儀なくされた場合は、営業補償の支払いが考慮されるでしょう。
立ち退きによる営業補償の内訳で、特に高額になりやすいのは以下のような項目です。
休業期間中の逸失利益などの利益減少分と、不本意な移転の迷惑料といった不利益への補償の2つがあります。
利益減少分の営業補償は、以下のような損失が該当します。
休業期間中の維持費用や逸失利益、休業手当、顧客離れ、仕入廃棄などが損失として考慮されます。
立ち退きがなければ、引っ越しや移転先探しなどは本来必要ありません。
日常的な仕事以外の労力や心労などの補償である迷惑料も営業補償に含まれます。
借主の地位は借地借家法で保護されており、その財産的価値は借家権価格と呼ばれます。
借家権価格の損失は、迷惑料などで立ち退き料に含まれるケースが多いです。
借家権価格とは、借主の借家権の経済的価値や評価額を算定した価格です。
財産的価値のある借家権の喪失は、借主にとって権利や財産を失うのに等しいと言えるでしょう。
一方で、借家権価格を単独で立ち退き料の計算に組み込むケースは稀であり、通常は移転による不利益や迷惑料などに含まれます。
算定方式によっては借家権価格が考慮される場合もあるため、具体的な算定や立ち退き料への組み込みは弁護士に相談しましょう。
立ち退きによる営業補償は、業種や営業形態、規模や常連顧客の数などさまざまな条件で収益や固定費などが異なるため一律の相場はありません。
たとえば同じ立地や広さの店舗でも、パン屋と宝石店のケースでは、毎月の収益は全く違います。
小規模な小売店や飲食店では、裁判例から家賃の2〜3年分が一つの基準であり、家賃10万円では240万円~360万円ほどが目安となるでしょう。
一方で、店舗の立ち退きで住宅用と同じ家賃6カ月分ほどを提示されたときは、不当な要求である可能性が高いです。
弁護士に依頼すると、家賃や業種、逸失利益などから相場の上限となる立ち退き料を勝ち取る交渉戦略を主導してもらえる場合があります。
老朽化による建物の建て替えの必要性を認めつつ、店舗の営業損失などを補うため当初の立ち退き料から大幅な加算が認められた判例があります。
事例
判決日:2014年7月1日
・要旨:建築後約40年を経過した都心ビルの老朽化や再開発を理由として、入居する店舗に賃貸借契約の解除や建物の明渡しを求めた。判決では、長年営業し固定客の付いた店舗への十分な金銭的補償を条件に立ち退きが認められた。
・出典:RETIO No.98(2015年7月)144〜145頁「最近の判例から ⒄−正当事由と立退料−」(東京地判平成26年7月1日、原出典:ウエストロー・ジャパン)
判決では、建築基準法施行令改正前に建築された建物の老朽化による建て替えの必要性を認めつつ、長年営業を続けてきた店舗への営業補償が考慮されました。
固定客が付いている店舗もあり、立ち退き料の算定では、営業損失や移転実費、借家権価格の鑑定評価も加算されています。
結果として、大家が当初提示した立ち退き料より大幅に増額された金額で正当事由が補完されると判示されました。
立ち退きの損失と比べて不当に低い立ち退き料の提示を受けたときは、サインせずに書面を持ち帰り、内訳の精査や弁護士への相談を検討しましょう。
大家から退去期日や立ち退き料の上限を勝手に提示され、早急に合意を求められるケースもあります。
一方で、合意書にサインをすると後から退去費用が不足しても原則として覆せません。
立ち退き料の内訳を精査するには、自社の決算書や工事見積書などの客観的な資料から損失額を算定します。
損失額の算定や大家との交渉は法律に関する知見が必要となるケースが多いため、立ち退きトラブルの解決実績が豊富な弁護士に依頼するのがおすすめです。
立ち退きで休業が余儀なくされる場合、休業期間中の逸失利益や維持管理にかかる固定費、顧客散逸などの損失の営業補償を請求できます。
特定の場所に密着した販売など、移転先での継続が難しいときは廃業による不利益も考慮されるでしょう。
営業補償の相場は、小規模店舗では家賃の2〜3年分ほどが目安ですが、業種や営業規模などで大きく異なります。
不当に低い補償額を提示されたときは、すぐに合意書へサインせず、交渉実績があるVSG弁護士法人の無料相談窓口への連絡をご検討ください。