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賃貸契約違反を続ける、あるいは賃貸人からの立ち退き要求を拒否し続けた場合、賃貸人より強制執行手続きを取られてしまうケースがあります。
強制執行手続きを取られてしまった場合どのような流れになるのか、強制執行までの流れについて紹介します。
契約違反の内容が家賃滞納であれば、まず家賃支払いの督促状が送られてきます。
家賃支払いの督促状が届いたときに、話し合いの上、家賃を支払えれば良いのですが、ここでの話し合いが円滑に進まないと他人に迷惑がかかる状況に発展します。
賃貸人と賃借人との間で家賃滞納の話が進まないときには、連帯保証人に家賃を支払うように連絡されます。
連帯保証人には、賃借人と同じく賃貸人に家賃を支払う義務があります。
そのため、賃借人が家賃を支払わない場合は、連帯保証人が支払わなければなりません。
賃借人・連帯保証人ともに家賃を支払わない、話し合いの場を設けても応答がない場合は、内容証明郵便が届きます。
内容証明郵便とは、郵便物の文書の内容について、「誰から誰に対して、いつの日付で、どのような内容のものを差し出したか」を日本郵便が証明する制度です。
内容証明郵便は、裁判になったときにも利用できる重要な証拠となります。
つまり、賃貸人が内容証明郵便を送付してきた場合は、裁判所を利用し、強制執行を考え始めているということになります。
調停や裁判などを望まない場合、内容証明郵便が届く前に賃貸人と話し合いをしたほうがいいでしょう。
これ以上賃貸人からの要望を無視してしまうと、強制執行をされる可能性が高くなります。
内容証明郵便の内容を無視した場合、賃貸人は賃貸借契約の解消と、それに伴う住居の明渡請求訴訟を起こします。
この訴訟によって裁判所が介入することになり、調停という話し合いの場が設けられますが、調停でも解決しない場合は裁判所から判決が下り、強制執行命令をされる可能性があります。
賃貸人が提起した明渡請求訴訟で敗訴すると、裁判所の執行官が入居者を強制退去させます。
強制退去は文字通り、入居者の同意なく部屋に入られ、家具一式などを運び出されることをいいます。
明渡し請求がされた場合は、同居家族も含め強制退去となり、運び出された荷物は倉庫で保管されます。
強制退去で搬出される家具などの費用は、一度賃貸人が支払いますが、賃貸人は賃借人から費用を回収する権利があるため、搬出費用を請求されます。
当然ながら強制退去になった場合には、立ち退き料を受け取ることはできません。
強制執行を回避する方法はいくつか存在します。
ここからは、強制執行をされないためにできることを紹介します。
強制執行される前提として、契約の解除があります。
そのため、まず契約が解除されるような状況を改善しなければなりません。
契約が解除される主な事項は、次のとおりです。
このような項目に該当している場合は、すぐに現在の状況を改善しましょう。
立ち退きを要求されたときに、契約違反などの状態が続いていると契約を解除され、立ち退き料を受け取れないどころか強制執行の手続きを取られる可能性があります。
賃貸人から立ち退き要求がきたときに、立ち退きたくないという理由でまったく話に応じないということはやめましょう。
賃貸人には賃借人を立ち退かせる権利はありませんが、立ち退きを行いたい理由とその理由に見合った立ち退き料を支払う場合は、賃借人を立ち退かさせることができます。
立ち退き要求があった時点で、賃貸人としっかりと打ち合わせすれば強制執行の可能性は低くなる上に、立ち退き料の増額請求などがスムーズにできる可能性があります。
立ち退きに際してどのような条件なら立ち退きをするのかあらかじめ決めておけば、話し合いをスムーズに進められるでしょう。
立ち退き交渉がスムーズにまとまれば、強制執行を受けることなく退去することができます。
立ち退きをする条件例として、次のようなことを検討しておくとよいでしょう。
上記は一例ですが、賃貸人が賃借人に配慮する内容を提示してきた場合に、話し合いに応じて退去を進めると、よい結果につながるケースが多くあります。
賃貸人より立ち退き要求がきたのにも関わらず、要求を無視し居座り続けると強制執行手続きを取られる可能性があります。
特に、契約違反が立ち退き要求理由の場合は、契約解除と強制執行が認められる可能性が高いため、立ち退き要求の打ち合わせには応じたほうがよいでしょう。
契約違反の状態にあると認識しているのであれば、違反状態を改善することで立ち退き料を受け取れる可能性が出てきます。
また、賃貸人の理由で賃借人を立ち退かせる場合は、立ち退きをする条件を明確に決めるようにしましょう。
これらが強制執行を受けず、話し合いで円満に終了させるコツです。
立ち退き要求を受けた場合には、ぜひ参考にしてください。