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使用貸借でも立ち退き料を請求できるケースとは?トラブル回避方法も解説

この記事でわかること

  • 使用貸借は貸主都合で立ち退きを命じられる理由がわかる
  • 使用貸借でも借主が立ち退き料を請求できるケースがわかる
  • 使用貸借の立ち退きトラブルを避ける方法がわかる

賃貸物件を無料で借りていることを使用貸借と言います。

使用貸借をしているときに賃貸人から立ち退きを命じられた場合、原則立ち退き料は受け取れません

しかし、ある条件が揃ったときには、使用貸借でも例外的に立ち退き料を受け取れる場合があります。

それではどのような条件が揃ったときに、使用貸借でも立ち退き料を受け取れるのでしょうか。

本記事では、使用貸借時には貸主都合で立ち退きを命じられる理由、使用貸借でも借主が立ち退き料を請求できるケース、使用貸借の立ち退きトラブルを避ける方法などを解説します。

記事を最後まで読み進めていただければ、使用貸借中に立ち退きを命じられたとき、どのような対応をすればよいのかがわかります。

使用貸借は貸主都合で立ち退きを命じられる

使用貸借で賃貸物件に住んでいる場合、貸主の都合で立ち退きを命じられることがあります。

賃借人の住む権利が認められているのは、借地借家法が適用される場合です。

しかし、使用貸借には借地借家法が適用されません

借地借家法を適用できるのは、賃料を払って賃貸物件を借りている通常の賃貸のときだけです。

借地借家法が適用されないため、民法が代わりに適用されます。

民法では、期間の定めも目的の定めもない使用貸借契約は、貸主からいつでも解除できると定めているため、貸主都合で立ち退きを命じられることがあり得ます。

また、賃貸人から立ち退きを命じられたとき、使用貸借で賃貸物件を借りている賃借人は、立ち退き要請に従わなければなりません。

使用貸借でも借主が立ち退き料を請求できるケース

使用貸借で賃貸物件に住んでいるときに賃貸人から立ち退きを命じられた場合、原則賃貸人に従わなければなりません

しかし、必ず従う必要はなく、立ち退き料を請求できるケースもあります。

本章では、使用貸借でも借主が立ち退き料を請求できるケースについて解説します。

使用期間中の立ち退き

使用貸借契約で使用期間を決めたにも関わらず、期間途中で立ち退きを命じられた場合は立ち退きをする必要はありません。

使用貸借契約で定めた使用期間がかなり残っている時点で立ち退き要求を受けたときには、立ち退き料を要求できる可能性があります。

たとえば、使用貸借契約で使用期間を5年と定めたにも関わらず、使用貸借開始1年で立ち退きを命じられたような場合です。

使用目的達成前の立ち退き

使用貸借契約で使用目的を設定したものの、その使用目的達成前に立ち退きを命じられた場合にも立ち退き料を請求できる場合があります。

たとえば、自宅を建築するために、一時的に別の建物の使用貸借をして居住していた場合、自宅が建築中で、賃借人がその建物をまだ自宅として使用し続けている限り使用目的が達成したとは言えません。

このような場合は使用貸借でも、立ち退き料を受け取れるケースに該当する可能性があります。

ただし、このような場合でも、借主の使用目的が完了していないとしても、民法上、使用をするのに足りる期間が経過すると使用貸借の終了が認められることになっているため、場合によっては、無償で建物の返還を求められる場合があります。

使用貸借の立ち退きトラブルを避ける方法

使用貸借の立ち退きはトラブルが発生しやすいため、トラブル回避方法を知っておく必要があります。

本章では、使用貸借の立ち退きトラブルを避ける方法について解説します。

契約書を締結しておく

使用貸借をするときには、必ず使用貸借契約書を作成しておきましょう。

使用貸借は賃借人の権利が弱く、賃貸人の権利が強いため、契約書がない場合は賃貸人の一方的な都合で解除されることが起こり得ます。

そのため、使用貸借契約書を作成し、使用貸借期間や使用貸借目的を明記しておかなければなりません。

期間や目的を明記しておけば、立ち退きを命じられたときに立ち退きを拒否する、あるいは立ち退き料を要求できる可能性が生じます。

契約書なしで使用貸借を長年続けていたとしても、途中から使用貸借契約書を作成することもできるため、契約書がないときには使用貸借契約書を作成するとよいでしょう。

家族や親族の理解を得ておく

使用貸借は賃貸人と賃借人だけの関係で終わらず、関係者を巻き込むことが多いため家族や親族の理解を得ておかなければなりません。

使用貸借が長年続くと相続が発生することや、賃借人と賃貸人との関係が変わってしまうことがあります。

そのようなときに、家族や親族の理解を得ておくことによって話し合いが可能となり、トラブル防止になります。

使用貸借契約を締結していない場合は、特に家族や親族の理解を得ることが重要です。

決め事がない場合、感情で物事が進んでしまうケースもあるため、あらかじめ利用方法などを話し合っておくとよいでしょう。

固定資産税を払っても使用貸借になりうることを理解する

使用貸借をしていては悪いと思い、賃料の代わりに固定資産税を払う賃借人がいます。

払うこと自体は問題ありませんが、賃貸人に代わって固定資産税を納税しても原則として賃貸借にはならず、使用貸借として判断されます。

裁判所の過去の判例によれば、固定資産税を肩代わりしても、特段の事情がない限りは、賃貸借にはならず使用貸借と判断するとされているからです。

つまり、賃貸人から使用貸借を理由に立ち退きを命じられた場合に、賃借人は「固定資産税を納税しているから立ち退かない」とは言えないということです。

立ち退き要請を断る立場になるには、賃料を払って借地借家法の適用を受ける必要があります。

賃借人に原状回復義務があることを理解する

使用貸借契約を締結せず使用貸借している人の中には、使用貸借している土地に倉庫などを建築してしまう人もいます。

このようなケースで賃貸人から立ち退きを命じられた場合、倉庫は撤去して返還しなければなりません。

これは賃借人に原状回復義務があるからです。

原状回復義務とは、借りた物を返却するときには、借りたときの状態に戻す必要があるという義務のことです。

なお、立ち退きを命じられたときに、賃貸人が倉庫を残していってもいいと言った場合には、倉庫を残して立ち退きしても構いません。

弁護士にトラブル解決を依頼する

使用貸借でトラブルになった場合、弁護士に相談して解決するのがもっとも効果的です。

使用貸借は契約書を作成せず開始しているケースや、家族や親族を巻き込んでトラブルになるケースが多くあります。

このような場合、賃貸人・賃借人ともに感情的になりやすく、根拠に乏しい話が多く出るなどしてなかなか解決できません。

そのため、法律の専門家である弁護士にトラブル解決するのがよいでしょう。

まとめ

使用貸借とは、物品を無償で貸してもらい利用することです。

不動産の場合、賃料・地代を払って家・土地などを借りていないと借地借家法の適用を受けられません。

そのため、使用貸借には民法の規定が適用されます。

民法の規定では、使用貸借は賃貸人の都合で一方的に解除できるとされています。

しかし、次の条件を満たしている場合は、賃貸人の都合で解除できず立ち退き料を受け取れるかもしれません。

  • 使用期間中の立ち退き
  • 使用目的達成前の立ち退き

また、使用貸借はトラブルになりやすく、トラブル回避方法を理解して使用貸借を続ける必要があります。

使用貸借は親族などと揉めるケースが多く、トラブルが深刻化しやすくなる傾向があります。

もしトラブルに発展しそうになったときには、すぐに弁護士に相談しましょう。

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