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建設業法とは?該当する工事や違反事例、改正による変更点まで解説

建設業法とは?該当する工事や違反事例、改正による変更点まで解説

この記事でわかること

  • 建建設業法の概要
  • 建設業法の違反事例
  • 建設業法の改正内容

建設業法とは、建設業を営むときに必要なルールを定めた法律です。

建設工事の請負契約に関する規制、一定の要件を満たした専門技術者の設置などが定められています。

この記事では、建設業法の概要や企業が押さえておきたいポイント、違反時の罰則まで解説します。

建設業にかかわる法律の改正内容まで紹介するため、最後までお読みいただければ建設業を営むために必要な知識のポイントを押さえられるでしょう。

建設業法とは

建設業法とは、建設業を営む際のあらゆるルールを定めた法律です。
建設業者は、建設業法に定められた内容を遵守して事業を行わなければなりません。

主に以下の3つが内容の柱となっています。

  • 一定規模以上の建設工事を行う場合の許可取得
  • 建設工事の請負契約に関する規制
  • 主任技術者、監理技術者など、一定の要件を満たした専門技術者の設置

1949年の制定から建設業界の状況にあわせて都度改正されており、最近では2023年1月1日に改正建設業法が施行されました。

違反した場合は重大な処罰を受ける可能性もあるため、これから建設業に携わる方は内容をしっかり把握しておきましょう。

建設業とは

建設業とは、人々が生活をするのに必要な住宅やマンション、学校、社屋、道路など、建物やインフラ設備などを建設する仕事です。

建物などを建設するだけでなく、内装のデザインや電気工事、空調工事なども行います。

似ている言葉に「建築業」がありますが、建築業は建設業に含まれています。

建築業は一般住宅やビルなどの建物を対象としますが、建設業の扱う範囲は建物に限りません。

建物を建てるための地盤整備、道路や鉄道などのインフラ、河川の堤防なども範囲に含まれ、建物建築と土木建築の両方を扱います

近年では、高度成長期やバブル期に建設されたビルや商業施設などの老朽化が進み、改築・修繕工事で需要が拡大する見通しです。

一方で、熟練技能者の高齢化が進み若手技術者の確保や育成が課題となっています。

建設業法の目的

建設業法の第1条には、以下の事項が定められています。
<趣旨>

  • 建設業を営む者の資質の向上
  • 建設工事の請負契約の適正化

<目的>

  • 建設工事の適正な施工の確保
  • 発注者の保護
  • 建設業の健全な発達の促進

建設工事は大規模なプロジェクトとなるケースもあり、施工業者や下請けなど多くの関係者が関わります。

建築物が完成した後も、日常的に多くの人が利用する場合は安全性の確保や定期的なメンテナンスなどが欠かせないでしょう。

建築物を適切に施工するには、各建設会社に法令を遵守して工事に取り組んでもらわなければなりません。

建設業法は、適切な施工のために各建設会社が遵守するルールを定め、公共の福祉を増進する目的で定められています。

建設業法に該当する工事

建設業者にとって、請け負う工事が建設業法上の建設工事に該当するか否かの判別は非常に重要です。

建設業法に該当する工事は、建設業法に以下29種類が定められています。

  1. 土木一式工事
  2. 建築一式工事
  3. 大工工事
  4. 左官工事
  5. とび・土工・コンクリート工事
  6. 石工事
  7. 屋根工事
  8. 電気工事
  9. 管工事
  10. タイル・れんが・ブロツク工事
  11. 鋼構造物工事
  12. 鉄筋工事
  13. 舗装工事
  14. しゆんせつ工事
  15. 板金工事
  16. ガラス工事
  17. 塗装工事
  18. 防水工事
  19. 内装仕上工事
  20. 機械器具設置工事
  21. 熱絶縁工事
  22. 電気通信工事
  23. 造園工事
  24. さく井工事
  25. 建具工事
  26. 水道施設工事
  27. 消防施設工事
  28. 清掃施設工事
  29. 解体工事

建設業法に該当しない工事

以下のような工事は、建設業法に該当しないとされています。

  • 附帯工事
    建物の外壁塗装工事に付随する足場工事など、許可を受けた業種の建設工事に付随する工事の場合
  • 軽微な建設工事
    請負代金などが一定の規模以下の場合
  • 完成を請け負わない工事
    工事の完成でなく、業務の一部のみを依頼されるような場合や、自分のために自分で施工する工事の場合
  • 建設工事に該当しない作業
    建設用地の整備、測量、地盤調査など、前述の29種類の工事に該当しない場合
    建設工事の対象は、土地や土地に固定されるような工作物の工事であるため、たとえば船舶の製造なども該当しません。

建設業法で企業が押さえておきたいポイント

建設業界に携わる方がぜひ知っておきたい建設業法のポイントがあります。
ここからは、特に重要なポイントを解説します。

建設業許可

建設業許可は、土木や建築の一式工事や、大工・左官などの専門工事など、一定の工事を行う建設業者に取得が求められる許可をいいます。
ただし、以下のような工事は建設業許可が不要です。

  • 1件あたりの請負代金が500万円未満の工事
  • 建築一式工事で請負代金が1,500万円未満、または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事

上記以外の工事を行う場合は、建設業許可を取得しなければなりません。

建設工事の請負契約の内容

建設業法19条には、建設工事にあたって対等な立場で請負契約を締結するとともに、その記載内容を定めています。
契約書の記載事項は、以下のとおりです。

  • 工事内容
  • 請負代金の額
  • 工期
  • 支払時期と支払方法
  • 工事を施工しない日や時間の定め
  • 損害賠償の定め
  • 紛争の解決方法

建設工事の見積り

建設業法20条は、建設工事の請負契約を締結する際に、見積りを行うように努めるようにと定められています。
見積りの内容は、工事の種別ごとに材料費や労務費、その他の経費の内訳などです。
工事を発注する人は条件を提示し、見積りの作成に必要な時間を設けなければなりません。
また、見積もりを作成する事業者は、契約締結までに見積書を作成・交付する必要があります。

主任技術者と監理技術者の設置

建設業者は、工事の技術管理を行うため、工事現場に必ず主任技術者を設置しなければなりません
主任技術者は、すべての工事現場に配置しなければならない技術者です。
また、請負金額が一定金額以上となる場合には、監理技術者を設置する必要があります。
監理技術者とは、下請負人の指導監督者として施工計画の作成や工程管理などを行い、現場の技術水準を確保する役割を担う者をいいます。

建設業法違反時の罰則

建設業法違反時の罰則

建設業法には、建設業者が守るべき様々なルールが定められ、守らなかった場合には、罰則が設けられている場合もあります。
具体的にどのような違反をすると罰則が科されるのか、確認しておきましょう。

指示処分

指示処分とは、建設業者の事業運営に法令違反や不適切な状態があるため、監督行政庁が是正措置を命令する処分です。

監督行政庁とは、建設業者に許可を与えた国土交通大臣や都道府県知事を指します。

指示処分の段階では、あくまで自主的な改善を促している状態です。

ただし拘束力はあるため、建築業者は速やかに通達された措置を実施しなければなりません。

監督行政庁からの指示に従わないまま事業を続けると、より重い営業停止や許可取り消しなどの処分を受ける可能性があります。

営業停止処分

重い法令違反などをした場合に、行政庁は一定期間の営業停止を命ずるケースがあります。

営業停止の期間は、新たな請負契約の締結や入札、見積り、交渉などの営業活動が禁止されます。

一方、許可を維持するための建設業許可申請や、営業停止前に締結した建設工事などは施工可能です。

期間は通常1年以内ですが、行政庁の裁量により期間が定められます。

営業停止処分は国土交通省のHPなどで業者名や処分の理由などを詳細に公表されます。

営業停止期間が終わっても、取引先からは取引停止などを求められるリスクがあるでしょう。

許可取り消し処分

不正など情状が重い違反をした場合、建設業の許可が取り消される可能性があります。

3つの監督処分では最も重い処分で、建設業の許可が必要な工事は当然にできなくなります

ただし、注文主の不利益を防止するために、処分前に締結した請負契約はその工事に限り施工可能です。

この場合、建設業者は処分の日から2週間以内に注文主へ通知しなければならず、注文主は一定期間内であれば請負契約の解除が認められます。

許可取り消しは国土交通省のHPなどに詳細が公表されるため、事実上は事業継続が困難になるケースも多いでしょう。

建設業法の違反事例

ここからは、建設業法に違反した具体的な事例を解説します。

指示処分

指示処分になる事例は、以下の通りです。

  • 請負契約に違反したとき
  • 営業停止処分が科せられているものと契約を締結したとき
  • 労働災害の発生時に虚偽の報告をしたとき
  • 工事に主任技術者を配置していなかったとき
  • 営業所を新設して30日以内に届出書を出さなかったとき
  • 労働者が工事中に墜落するような危険を防止する措置を行わなかったとき
  • 下請けに丸投げをしていたとき

営業停止処分

以下のようなケースで営業停止処分を受ける可能性があります。

  • 建設業の許可がないまま、500万円以上の建設工事を請け負ったとき
  • 建設業者が、営業停止処分を受けている事業者と、処分の事実を知りながら下請契約を締結したとき
  • 許可行政庁の指示処分を受けたが、是正措置に従わず違反した状態を継続したとき
  • 指示処分を受けて改善されたが、3年以内に再び不正行為を行なったとき
  • 独占禁止法や刑法の違反など、違反内容が重いため指示処分では不十分と判断されるとき

許可取り消し処分

下記に該当した場合、建設業許可が取り消しとなる可能性があります。

  • 建設業許可の基準を満たさなくなったとき
  • 事業者や法人の役員が欠格要件に該当したとき
  • 不正な手段で建設業許可を取得していたとき
  • 指示処分に該当する違反を行い、その情状が特に重いとき
  • 営業停止処分を受けたにも関わらず、違反して営業活動を行ったとき

許可の取り消しから5年間は、新たに建設業許可を取得できません

取り消しを受けた法人の役員が、別の会社の役員になって許可を取得しようとする場合も同様です。

【2022~2024年】建設業に関わる法律の改正内容

建設業界を取り巻く環境が日々変化する中で、2022年から2024年にかけてさまざまな改正が行われます。
どのような改正が実施されるのか、その内容を確認しておきましょう。

電子帳簿保存法の改正

2022年に電子帳簿保存法が改正され、電子取引データの電子保存が2024年1月1日から義務化されました。

これまで書面でやり取りが行われていた部分について、新たに電子取引が導入されると予想されます。

電子帳簿保存法改正のポイントは、電子取引データの電子保存が義務化される点です。

これまではメールなどで受領した請求書や領収書を、印刷した上で書面を保存しておく方法が認められていました。

しかし、2024年1月1日からはメールで受け取った請求書などを、一定の要件を満たした上でオリジナルのデータのまま保存しなければなりません。

引き続き書面で受領する場合は問題ありません。

しかし、今後は電子上の受け渡しの増加が予想されます。

電子保存の要件に対応できる環境を整える必要があるかもしれません。

インボイス制度の開始

2023年10月から、インボイス制度が導入されました。

インボイス制度とは、適格請求書の登録事業者が発行するインボイスを保管しないと、消費税の仕入れ税額控除が受けられなくなる制度です。

仕入れ税額控除の適用が受けられない場合、消費税の負担が増えてしまいます。

1年間の課税売上高が1,000万円以下の事業者の場合、免税事業者となり、消費税の納税義務はありません。

インボイス制度が導入されても、課税売上高が1,000万円以下ならば免税事業者のまま引き続き消費税を納税しない選択はできます。

ただし、適格請求書を発行する事業者になれないため、取引先が負担する消費税は増えてしまいます。

取引先からは、登録事業者としてインボイスを発行してほしいと求められるケースもあるかもしれません。

インボイス制度の導入は、これまで消費税の納税義務がなかった小規模な事業者の収益に直結する問題です。

インボイス制度の登録事業者になるかどうか、最終的には事業者自身で判断する必要があります。

もし登録事業者になる場合は、準備も必要なため、並行して進めるようにしましょう。

時間外労働の割増率の引き上げ

2019年に働き方改革関連法が施行され、長時間労働の抑制や休日の確保といった課題への対応が進められています。

その中で、月60時間を超える時間外労働を行った場合、時間外手当として支給される割増賃金の率が引き上げられました。

それまでは、所定労働時間を超えた場合の割増率は、時間数にかかわらず一律25%とされていました。

しかし、一定の規模以上の大企業は、月60時間を超える時間外労働について50%に変更されました。

ただ、2019年の段階では、中小企業には猶予され、以前と変わらず一律25%の割増率が適用されていました。

しかし、2023年3月に猶予措置が終了しています。

4月から、中小企業も月60時間を超える時間外労働は、50%の割増率が適用されました。

時間外労働の上限規制

建設業は以前から、長時間労働や休日の取りづらさが問題とされていました。

働き方改革によって改善していましたが、実情を考えるとすぐには対応できません。

そこで、猶予措置により、建設業については時間外労働の上限が適用されていませんでした。

ただし、2024年4月からはこの猶予措置が撤廃され、月100時間未満、年間720時間以内の上限が設けられます。

この上限を超えて勤務させられないため、超過する場合は対応が必要です。

まとめ

建設業法に違反した場合、懲役刑などの刑事罰だけでなく、営業停止や許可の取り消しなど重いペナルティを科せられる可能性があります。

法令を遵守して事業を行っていれば、通常は問題となりません。

ただし、うっかり期限を過ぎてしまった、勘違いで違反してしまったなど、ミスにより気付かないうちに違反してしまう可能性もあります。

建設業法の対応に不安がある場合、専門家である行政書士への依頼がおすすめです。

行政書士へ依頼すると、法改正などがあった場合にも対応でき、法令を遵守しながら本業に専念できるでしょう。

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