最終更新日:2020/12/9
画像のリツイートも違法行為に!気をつけたいSNSでの著作者人格権について
普段、SNSを利用されていますか?
今やビジネスにも使われているSNSですが、悪気はなくても加害者になってしまうケースがあります。
違法になってしまうケースとはどのような場合でしょうか。
悪気はなくても違法行為?
会社の宣伝などでもよく使われるSNSの一つ、Twitterには、拡散の機能がありますね。
他の人のツイートに対してリツイートすると、リツイート元の画像が、自分のツイートにリンクされて、表示されるようになっています。
面白い画像など、ついついリツイートしてしまいますね。
でも、安易にリツイートしてしまうと、それが違法行為になり、リツイートした人も加害者になってしまう可能性があるのです。
どういったリツイートが違法になるのでしょうか。
リツイートに関する裁判とは
今年7月21日、最高裁判所小法廷で、Twitterのリツイート機能に関する判決が出ました。
普段Twitterを利用する人にはチェックしてほしい、重要な判決です。
裁判になった事件とは?
Aさんが、ある写真家が撮った写真の画像を写真家に無断でツイートしました。
その画像には、きちんと写真家の名前等のクレジットが入っていました。
その後、Aさんのツイートを見たBさんがそれをリツイートし、Bさんのツイート上に写真家の写真が掲載されました。
Bさんはリツイートしただけ…ですが、リツイートすると、写真は自動的に見出しサイズに切り取られ、写真家の名前の部分が見えなくなってしまいました。
もちろん、クリックすると全画像は見られるのですが、ぱっと見ただけでは、写真家の写真とはわからない状態になります。
そこで写真家は、Aさん、Bさんが、著作権と著作者人格権を侵害しているとして、Twitter社に対して、AさんとBさんの個人情報開示を求める裁判を起こしました。
Twitter社の反論
Twitter社は、リツイートした時は、Twitterの機能上、自動的に見出し用に切り取られるだけで、画像をクリックすれば、本来の画像が出てくるため、リツイートしただけのBさんは、著作者人格権を侵害していないと主張しました。
注目の判決の内容
判決では、クリックすれば画像全体が表示されるものの、ぱっと見ただけでは、名前表記が消された状態のため、リツイートも著作者人格権侵害である、とされました。
しかし、裁判官の中には、Twitter社の主張を認めて、判決に反対した裁判官もおり、意見は分かれたようです。
反対した裁判官の意見では、リツイートした人には画像を自ら変えることはできないにも関わらず、すべて画像の出所や著者の同意の確認までしなければならないなら、Twitter利用者に大きな負担を強いることになる、と述べています。
今回の裁判のポイント
写真家の写真のリツイート事件。
今回の裁判では、著作者人格権やリツイートした人、が問題になりました。
著作者人格権とはどういうものでしょうか。
著作者人格権とは?
著作者人格権には、以下の権利があります。
- ・公表するかどうかを決められる公表権
- ・著作物に名前を表示するかどうか決められる氏名表示権
- ・著作物の内容を改変させない同一性保持権
の3つです。
今回の判決で特に問題となったのは、氏名表示権、同一性保持権です。
リツイートされたことによって、サムネイル表示上では、写真が切り取られ、名前表記が消えました。
これが、氏名表示権の侵害にあたるとされました。
また、切り取られたことによって、写真の一部だけとなり、同一性保持権を侵害している、とされました。
リツイートした人も加害者になる
最初に無断で掲載したAさんが、違法を問われるのは当然、と思われる方が多いでしょう。
しかし、そのAさんをリツイートしただけのBさんまでも、実は、違法になってしまう、可能性があるのです。
出所が不明で、違法かもしれないツイートを気軽にリツイートしてしまうと、自分も加害者になってしまう可能性があります。
気軽に利用できるTwitter。
拡散機能をうまく使えば、会社の宣伝にもつながります。
でも、そのリツイートは大丈夫ですか?
元のツイートの情報を確かめずに、気軽にリツイートしてしまうと、リツイートした人も違法になってしまう可能性があります。
SNSで他人の投稿を拡散するときは、ちょっと立ち止まってから行うと良いでしょう。