会社設立で決めることは何?|【誰でもわかる 】カンタン解説!
前回のエピソード <<会社設立手続きに必要なものは何?|【誰でもわかる 】カンタン解説!
会社設立要項を決める
それじゃあ、会社設立要項を決めていきましょう。
設立内容の決定について
まず、最初のステップとして「どのような会社を設立するのか?」を決めていきます。
この時点で決めておくべき内容としては以下の10つが重要です。
- 10つの事項
- 1 会社名について
2 登記する住所について
3 代表取締役について
4 設立日について
5 事業目的について
6 資本金について
7 株主(発起人)について
8 事業年度について
9 取締役会について
10 役員について
いずれも内容に不備があると役所で認証を受けるときにつまづいてしまうので、慎重に決定するようにしましょう。
特に、「事業目的」については会社設立後に行う事業によっては許認可の問題と関わってくる可能性がありますので、心配な場合には専門家のアドバイスを受けるようにしてください。
1.会社名を決めよう
里奈さん、会社の名前は何にします?
農業に携わる会社、ということがイメージできる名前がいいですね。
じゃあ、「株式会社 芋」はどうですか? 農業っぽいし。
おお、いいですね。せっかくだから「株式会社 お芋」とかの方が可愛くないですか?
アハハハ! 可愛い名前!
決まりですね! 「株式会社 お芋」で!
却下。 もっと英語を使ったIT企業っぽい感じがいいわ。
それなら「株式会社 POTETO」はどうですか?
綴りが間違ってますね。お芋は「POTATO」です。
………。 (英語って難しいな)
一旦、芋から離れませんか?
※紆余曲折の末、会社名は「株式会社ビビッドガーデン(vivid garden)」に決まりました。
2.登記する住所(本店所在地)を決めよう
会社を登記する住所はどうします?
これは自宅でも大丈夫ですし、事務所を借りる予定があれば、その住所で。
レンタルオフィスやバーチャルオフィスでも登記できますが、融資を受ける際の審査が厳しくなってきますね。
オフィス用に借りた物件がありますので、そこの住所にします。
3.代表取締役を決めよう
代表取締役ですが、これは里奈さん以外ありえないですね。ビビッドガーデンは里奈さん1人で立ち上げる会社ですし。
じゃあ、私ですね。
特に異論はありません。
4.設立日を決めよう
会社設立日はいつにしましょうか。今は11月ですが。
いつでも大丈夫です。何かの記念日とか、1日などのキリの良い日に設定する人が多いですね。
ただ、いきなり「明日を設立日にしたい」と言われても設立の手続きが間に合いませんね。まだ印鑑もできていないので。
ちなみに、最短で株式会社を設立しようとしたら、どれぐらいスピーディにできるものですか?
大体3日~4日あればいけますね。物理的に必要なものが全て揃っている状態なら、1日で設立することも可能です。
意外と早くつくれるものね、会社って。
それなら、11月29日はどうでしょうか? 「い・い・に・く」でいい肉の日だから。
「それなら」の意味と、いい肉の日にしたい理由がわかりませんが、里奈さんがそうしたいのなら。
肉はみんな、好きですからね。良いと思います。
5.事業目的を決めよう
事業目的ってなんですかね?
会社が行う事業内容のことですね。ここは少しテクニックが必要です。里奈さんがやりたいと考えているサービスの内容を、どんな言葉で表現するか。
農作物の販売... とかになるんでしょうか?
重要なのが、会社は定款で定めた目的として記載されている条項以外の事業を行うことができないのです。
だから、なるべく広い範囲の事業をカバーできる言葉で定義したほうが将来的に有利になります。ビビッドガーデンの場合なら、「農作物の生産・加工・販売」という風に書くとか…
なるほど! したたかね。
それと、IT関連の事業を行うならEコマースとか、Webの制作・開発とかも書いておきましょう。あと、コンサルティング事業も入れておくと便利です。かなり汎用性が広い言葉なので。
「全人類を幸せにするための事業全般」という書き方にしたら何でもいけるんじゃないですか?
事業内容が一切わからないのでダメですね。具体性が想像できないものは却下されます。
コンサルティング事業もかなり曖昧だと思うんだけど…
6.資本金を決めよう
資本金ってどうやって決めるのが良いんでしょうか?
基本的に資本金は1円でも会社設立はできるのですが、多ければ多いほど対外的な信用度も上がります。いくらに設定するかは、自己資金との兼ね合いですね。
それはどういう意味ですか?
例えば、里奈さんが持っている自己資金が300万円だったとして、その全てを会社の資本金として入れてしまうと生活ができなくなります。なぜなら、資本金は会社の経費以外の用途で使えないからです。
なるほど。資本金として入れたお金は、もう自分のものではなくなってしまうのね… 寂しいわ。
法律上はそうなります。会社は別人格なので、たとえ里奈さんが1人でつくった会社でも、会社のお金は里奈さんのものにならないのです。
では、何かオススメの資本金の決め方ってあるんですか?
資本金を1000万円未満に設定すると、1期目の消費税が免除されるという制度があります。そのメリットをうまく利用したいですね。
とりあえず、当面の生活に困らないようにお金を残して、私の貯金を資本金にしてみます。1000万円以下で。
7.株主を決めよう
株主とは、何のことでしょうか?
その会社に出資する人のことですね。今回の場合は里奈さんが1人で出資して会社を設立するので、「ひとり株主」ということになります。
なるほど。じゃあ、この場で僕が里奈さんに出資したらビビッドガーデンの株主になるわけですね。資本金はなるべく多い方がいいし、この時点で株主を募ったらどうですか?
里奈さん次第です。会社設立前なので出資者は発起人として定款に名前を連ねることになります。これは「会社設立の企画者」という立場になるので、かなり親しい仲とか、志を共にできる方でないと難しいでしょうね。
資本金は欲しいですが、まずは「ひとり株主」で頑張りたいと思います。
8.事業年度を決めよう
事業年度とはなんでしょう?
事業年度とは会社が定める会計上の期間の区切りのことですね。ここで考えるべきは年度末、すなわち決算月をいつにするか、ということです
普通、決算というと3月なんじゃないですか?
決算月を3月にしている会社は多いですが、3月にしないといけないという決まりはありません。
決算月を決める上でオススメのポイントはありますか?
フフフ。思い出してください、資本金が1,000万円未満の会社は1期目の消費税が免除されるというメリットがありましたよね?
ビビッドガーデンは11月29日に設立するわけですが、もし3月を決算月にすると1期目は11月29日~3月31日までの間となります。
わりとすぐに1期目が終わってしまうわね…
これがもし、決算月が10月だったら11月29日~10月31日までの期間が1期目となります。消費税免除の恩恵が大きくなりますよね。
なるほど。消費税が免除される1期目をなるべく長くする方が得なんですね。
また、会社の繁忙期に決算がくると忙しくなってしまうので、繁忙期を避けるようにするのも手ですね。
里奈さん、ビビッドガーデンの繁忙期っていつなんでしょう?
売れ筋である野菜の旬の時期が繁忙期になると思うのですが、現時点ではちょっと分からないですね…
決算月は後で変更もできるので、とりあえず10月に設定した上で1期目を過ごしてみるのも手ですね。
9.取締役会を決めよう
取締役会というのは?
これは基本的に設置しなくても大丈夫です。大手企業が子会社をつくるときなど、ガチガチに資本を入れて設立するような会社でない限りは特に必要ありません。
じゃあ、設置しません。
10.役員を決めよう
役員というのはなんでしょうか?
役員とは会社の経営者のことです。取締役、会計参与、監査役を指します。
今回は私が1人で会社を立ち上げるので、私以外の役員を決める必要はないですよね?
もし家族や親戚などでビビッドガーデンを手伝ってくれる人がいるのなら、その方を役員にしておくと節税に役立つことがあります。詳しくは法人の節税パーフェクトガイドをご覧ください。
会社名は「お芋」にはならなかった。
株式会社ビビッドガーデン、レンタルオフィス、良い肉の日、ひとり株主……次々と決まっていく設立項目。多分ここが一番楽しいパートだったと思われる。
だが、思い出して欲しい。会社設立はスタートであって、その後に会社運営という遥かなるロードが続いているということを。
次回、最終回「酒と泪と税務と会計」
里奈さんの会社設立、いよいよフィナーレ!
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