最終更新日:2022/10/14
FX取引の節税方法4つ!いくらから税金がかかる?経費計上できるものも紹介
ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック
この記事でわかること
- FX取引でどれだけの利益が発生すると税金がかかるのかがわかる
- FX取引から発生する税金を節税する方法を知ることができる
- FX取引の必要経費として計上できるものを知ることができる
資産運用の1つの方法として、FX取引を行っている方もいるでしょう。
また、これからFX取引を始めたいと考えている方もいることでしょう。
FX取引で利益を確保した場合、税金が発生することとなりますが、どれだけの利益を得たら課税されるのでしょうか。
また、発生する税金を減らすことのできる節税の方法には、どのようなものがあるのでしょうか。
目次
FXはいくらから税金がかかる?
FX取引により発生する利益に対しては、所得税が課されます。
所得税の計算を行う際には、所得の内容に応じて9種類に分類することとされています。
そのいずれの区分に該当するかで、計算方法や適用される税率が変わってきます。
FX取引から発生する利益は、10種類の所得区分のうち「雑所得」に該当します。
ただし、FX取引から発生する雑所得はそれ以外の雑所得とは区分する、申告分離課税方式がとられています。
そのため、他の雑所得に該当する取引で損失が発生したとしても、その損失と相殺することはできません。
FX取引から発生する雑所得については、所得税15.315%、住民税5%の合計20.315%で税金が計算されます。
所得税は、所得金額が大きくなると税率が上がる累進課税制度が採用されていますが、FXからの所得については一律となっています。
なお、FXから発生する利益については、原則として確定申告しなければなりません。
事業所得が発生する人、サラリーマンでも年収2,000万円を超える人などは確定申告義務があるため、あわせて申告する必要があります。
一方、多くのサラリーマンは年末調整を受けるため、本来は確定申告義務がありません。
この場合、FX取引で年間20万円を超える利益が発生した場合のみ、確定申告しなければなりません。
FXにかかる税金の節税方法4つ
FX取引により発生する税金がある場合、約20%の税率で課税されるため、多額の税負担となる場合があります。
そこで、少しでも税負担を減らすための節税を行いたいと考える方がいるでしょう。
実際にどのような節税の方法があるのか、主な4つの方法をご紹介します。
必要経費を漏れなく計上する
1つ目の節税方法は、必要経費を漏れなく計上することです。
FX取引から発生する雑所得の金額を求める場合、収入金額から必要経費の額を控除して計算します。
このうち、収入金額は取引の単価×数量で計算でき、誰が計算してもその答えは変わりません。
一方、必要経費となるのは売却したFXの購入金額の他にも、様々な支出があります。
必要経費の額が増えれば、その分FX取引から発生する雑所得の金額は少なくなり、税金の負担も減らせます。
そのため、必要経費を漏れなく計上することは、節税の基本となります。
iDeCoに加入する
資産運用を行う際に、どのような商品を購入するか、そのバランスを考える必要があります。
FX取引は大きな収益が期待できる反面、リスクも大きくなることから、安定した運用も同時に行う必要があると言えます。
そこで、iDeCoを始めるのも選択肢となります。
iDeCoは正式には「個人型確定拠出年金」と呼ばれるものです。
60歳までなど一定期間にわたって掛金の拠出を行い、金融商品を購入して運用を行います。
その後、60歳から75歳までの好きな時期に給付金の受け取りを開始し、老後の資金に充てることができるものです。
iDeCoで購入する金融商品は、投資信託が中心となります。
元本割れのリスクがまったくないわけではありませんが、FX取引と比較すれば大きなリスクを避けることができます。
また、iDeCoの掛金は、全額が所得控除の対象となります。
そのため、掛金を支払うことで、現役世代における税負担を減らすことが可能となります。
iDeCoに加入していない方は、これから加入することですぐに節税を行うことができます。
また、老後など将来の不安を和らげることができる点も、大きなポイントとなります。
ふるさと納税を行う
ふるさと納税を行うと、寄付を行った自治体から返礼品を受け取ることができます。
また、寄付した金額については、2,000円を除いて所得税や住民税から控除を受けることができるため、大半は後から戻ってきます。
結果的に、2,000円の自己負担で、全国各地から返礼品を受け取ることができる仕組みです。
ふるさと納税が節税におすすめなのは、その金額を毎年変更することが簡単にできることです。
たとえばiDeCoの掛金を変更することも可能ですが、こちらは1年に1回しかできません。
また掛金の上限が決まっているため、思わぬ所得が発生しても、節税効果は限定的となってしまいます。
これに対してふるさと納税の場合、所得が増えそうな場合には自治体に寄付する額を増やすことができます。
所得が増えれば増えるほど、寄付金の額を多くしても自己負担は2,000円で済みます。
所得がいくらになりそうか、見積り計算をしながらふるさと納税を行うようにしましょう。
損失が出ても確定申告する
FX取引で一定の利益が出た場合には、確定申告しなければなりません。
一方で、損失が発生した場合に確定申告義務はなく、そのまま放置しておいても何の問題もありません。
しかし、FX取引で損失が発生した場合にも、確定申告しておくのが節税につながります。
それは、損失として申告した金額を繰り越すことができ、翌年以降に発生した利益と相殺できるためです。
たとえば、2021年にFX取引で30万円の損失が発生し、2022年にFX取引で50万円の利益が発生したとします。
2021年の確定申告を行っていない場合、2022年に発生した50万円の利益に対して課税され、約10万円を納税しなければなりません。
一方、2021年に損失を申告していた場合、2022年に発生した50万円の利益から30万円を相殺することができます。
その結果、2022年に課税対象となるのは20万円となり、納税額は約4万円で済みます。
確定申告する手間を考えると、損失について申告するのは面倒だと思うかもしれません。
しかし、税額に対する影響は大きいため、必ず損失についても申告するようにしましょう。
FX取引で経費として計上できるもの
必要経費を漏れなく計上することは、FX取引から発生する税金の節税方法として有効です。
そこで、少しでも多くの必要経費を計上しようと考えることでしょう。
ただし、必要経費に計上して問題のないものだけを必要経費にしなければ、脱税だと指摘される可能性もあります。
そこで、どのような経費を計上することができるのか、その実例をご紹介していきます。
取引手数料
FXの取引を行う際に発生する手数料で、FX会社に支払うものです。
その金額の大小にかかわらず、全額が必要経費となります。
また、どの会社を通じてFX取引を行ったとしても、必ず発生するものです。
FX取引ソフトの購入代金
FX取引を行うために使用するソフトで、相場の分析や自動売買システムなどが考えられます。
他の用途に使用するものではないため、その全額が必要経費になります。
セミナー参加費用やその交通費
FX取引を始める、あるいは継続するにあたって、様々な勉強をする必要があります。
そこで、FX取引や為替、国際情勢などに関するセミナーに参加することがあるでしょう。
このようなセミナーへの参加費用や、セミナーに参加するための交通費は、全額が必要経費となります。
領収証を取っておくように心がけておきましょう。
パソコンやスマホの購入費用
FX取引を行う場合、大半の方がパソコンやスマホを使って取引を行うでしょう。
そのため、FX取引を行うために購入したパソコンやスマホの購入費用が、必要経費とできます。
パソコンやスマホでFX取引だけを行うのであれば、購入費用の全額が必要経費になります。
しかし、実際にはその他の用途にもパソコンやスマホを使っているでしょう。
そこで、FX取引に関して利用している時間数で、必要経費となる金額を計算します。
インターネットや携帯電話の利用料金
パソコンやスマホでFX取引を行う場合、インターネット回線や携帯電話の月額使用料も必要経費になります。
この場合も、FX取引のみに利用している回線については、その全額が必要経費となります。
一方、他の用途に利用している場合は、使用時間などで按分計算を行います。
まとめ
FX取引から発生する所得金額は、雑所得として課税対象になります。
サラリーマンの場合、20万円を超える所得が発生すると、確定申告する必要があります。
節税を行えば、所得金額が20万円以下となる可能性がありますし、課税対象となる金額を減らすことができます。
少しでも税負担が軽減されるよう、必要経費の金額を漏れなく計上するようにしましょう。