最終更新日:2022/9/16
住民税の節税方法9つ!サラリーマンや個人事業主でもできる方法まとめ
ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
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この記事でわかること
- 住民税の金額を減らすことができる節税があることがわかる
- サラリーマンが住民税を節税するためにできることがわかる
- 個人事業主の住民税を節税するためにできることがわかる
住民税の金額は、確定申告や年末調整など所得税の計算を行うと、住んでいる自治体で自動的に計算されてきます。
そのため、住民税の節税は無理なのではないかと考えている方もいるでしょう。
しかし、サラリーマンでも個人事業主でも、年末調整や確定申告によって、所得税だけでなく住民税の節税も可能です。
ここではどのような節税の方法があるのか、その方法をご紹介します。
目次
サラリーマンの住民税を節税する方法6つ
サラリーマンは、ほとんどの方が勤務先で年末調整を受けています。
そのため、年末調整を受ければ、税金が還付されるものと思っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、これまで以上に税金を還付してもらえる可能性があるので、以下の項目に該当するものがないか確認しましょう。
ここで紹介するのは、以下の節税方法です。
- 扶養控除
- 医療費控除
- セルフメディケーション税制
- 特定支出控除
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)
- ふるさと納税
では、具体的にこれらを節税にどう活かすのかを説明していきます。
扶養控除を正しく計算する
扶養控除の金額は、年末調整を行う際に計算されます。
配偶者控除・配偶者特別控除とは別に、扶養親族がいる場合には所得控除の金額に含めることができます。
一緒に住んでいる子どもがいる場合には、扶養親族に含めて扶養控除の適用を受けていることが多いでしょう。
しかし、扶養控除の対象となるのは、同居している子どもだけではありません。
同居してない子どもであっても、生計を一にしている場合には扶養控除の対象となります。
たとえば学校に通うために下宿している、あるいは寮に入っている子どもも、扶養親族に含めることができます。
また、親を扶養親族に含めて、扶養控除の計算に含めることもできます。
親は同居しているか同居でないかによって、控除額が変わってくることに注意しましょう。
扶養控除の金額は、以下のようになっています。
扶養控除の区分 | 対象となる人 | 控除額(所得税) | 控除額(住民税) |
---|---|---|---|
一般控除対象扶養親族 | 16歳以上18歳以下、23歳以上69歳以下 | 38万円 | 33万円 |
特定扶養親族 | 19歳以上22歳以下 | 63万円 | 45万円 |
老人扶養親族 | 70歳以上で同居老親等に該当 | 58万円 | 45万円 |
老人扶養親族 | 70歳以上で同居老親等以外 | 48万円 | 38万円 |
参考:国税庁
医療費控除の適用を受ける
医療費控除は、1年間に支払った医療費の額が10万円を超えた人が適用できます。
なお、総所得金額が200万円以下の人は、総所得金額の5%を超えれば医療費控除を受けられます。
医療費控除を適用するには、確定申告をしなければなりません。
医療費控除の対象となる金額は、本人だけでなく生計を一にする家族の分も含めることができます。
配偶者や子ども、親などの医療費についても集計し、医療費控除が適用できるかを検討しましょう。
診療費用や入院費用、出産費用、薬局での支払いや通院交通費は医療費控除の対象となります。
ドラッグストアで購入した医薬品の購入代金、マッサージやはり・きゅうなどの施術代も医療費控除の対象となるものがあります。
実際に支払った医療費だけが対象になるため、年末時点で未払いの場合、実際に支払った年に対象となることに注意しましょう。
セルフメディケーション税制の適用を受ける
医療費控除と選択して、いずれか一方だけが適用できる制度として、セルフメディケーション税制があります。
ドラッグストアなどで購入できるOTC医薬品の購入費用が、1年間で12,000円を超えると適用できます。
また、控除額の上限は88,000円となっており、確定申告しなければなりません。
医療費控除の場合は、基本的に医療費が10万円を超えなければ適用できません。
一方、セルフメディケーション税制は医薬品の購入に限定されますが、購入費用が12,000円を超えれば適用できます。
どちらの適用を受けると有利になるのか、試算して適用を受けるようにしましょう。
特定支出控除の適用を受ける
サラリーマンは給与収入から給与所得控除の金額を計算し、給与所得の金額を計算します。
実際の支出とは関係なく給与収入から必要経費を計算していますが、それ以外に仕事関係の支払いをする場合があります。
このような仕事関係の特定の支出金額が基準となる額を超えた場合、所得控除の適用を受けられます。
特定支出控除の適用を受けるには、確定申告が必要です。
特定支出控除の適用を受ける支出の内容は、以下のとおりです。
- 通勤費
- 職務上の旅費
- 転居費
- 研修費
- 資格取得費
- 帰宅旅費
- 勤務必要経費
個人型確定拠出年金(iDeCo)を始める
サラリーマンの方は、定年後に年金だけでは安心した生活を送ることが難しいと予測されており、老後に備えた資産形成が必要です。
そこで、個人型確定拠出年金に加入して、運用しながら老後の資金を蓄えることができます。
確定拠出年金には個人型と企業型がありますが、企業型は会社が制度を設けなければ利用できません。
個人型確定拠出年金の場合は誰でも加入でき、拠出した掛金は全額が所得控除の対象となります。
金融機関を自身で選び、自身で金融商品を選んで運用していきます。
会社で加入している年金制度によって、掛金の上限金額が変わるため、自身の上限金額がいくらになるか確認しておきましょう。
なお、個人型確定拠出年金に加入した場合、年末調整で控除を受けられます。
ふるさと納税を行う
ふるさと納税を行って、返礼品を受け取っている方も多いのではないでしょうか。
ふるさと納税をすると所得税や住民税が控除され、実質2,000円の負担で全国各地の特産品を手に入れることができるようになっています。
実際には、ふるさと納税を行うと寄附金を先に支出して、後から所得税や住民税の控除を受けることとなります。
また、少なくとも2,000円の負担は発生するため、必ずしも節税になっているとはいえないかもしれません。
しかし、2,000円の負担で様々な返礼品を入手することができると考えれば、使い方次第で大きな効果を得られます。
ふるさと納税を行う場合、寄付先が6自治体以上になると確定申告しなければなりません。
個人事業主の住民税を節税する方法3つ
個人事業主の場合は、確定申告を行って所得税の計算を行っています。
確定申告は毎年行っており、正しい税金計算を行ってきたという方がほとんどでしょう。
しかし、これまでの申告方法や経費の計上方法を見直すことで、さらに節税できる可能性があります。
ここでは、以下の節税策をご紹介します。
- 青色申告特別控除
- 必要経費の見直し
- 少額減価償却資産
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
青色申告特別控除を適用する
個人事業主の確定申告の方法には、大きく分けて青色申告と白色申告の2種類があります。
このうち青色申告は、複式簿記による帳簿を作成しなければなりません。
この他にも、帳簿の作成や書類の保存に関する厳格な要件が定められています。
一方で、最大65万円の青色申告特別控除の適用を受けることができ、税額の負担は少なくなります。
白色申告を行っている場合は、複式簿記を作成する必要はなく経理処理は楽ですが、特別控除の適用はありません。
そのため、同じような利益が発生していても、白色申告を行っている人の方が税負担は大きくなってしまいます。
もし青色申告を適用するのに問題がない場合は、青色申告承認申請書を税務署に提出し、青色申告を行いましょう。
簿記に強くない人は、複式簿記を行うことに対する不安があるかもしれません。
しかし、市販の会計ソフトを購入することや、会計のクラウドサービスを利用するだけで、問題は解決できます。
ソフトの購入費やクラウドの利用料も必要経費になることから、青色申告を行うことにデメリットはないでしょう。
必要経費をもれなく計上する
個人事業主の1年間のもうけを正しく計算する時に重要なのは、売上高を正しく計上することです。
また、それと同時に必要経費の金額も正しく計算しなければなりません。
この必要経費の計算を適当にしてしまうと、多額の税負担が発生し、税務署から誤りを指摘されるでしょう。
ここでポイントとなるのは、以下の2つです。
- ①必要経費になるのに必要経費に計上していないものがある
- ②必要経費にしてはいけない家計の支出を必要経費にしているものがある
①のポイントは、必要経費を十分に計上せず、税金を多く支払っている可能性があることです。
たとえば、自宅の一部を事務所として利用しているのに、家賃や水道光熱費などをまったく必要経費にしていない場合があります。
この場合、事務所として利用している部分の床面積から、必要経費を按分して計算することができます。
しかし、そのような計算を行っていない場合には、必要経費の額が少なくなっていると考えられます。
②のポイントは、必要経費の額を大きくしすぎて、税負担を逃れているとみなされる可能性があることです。
たとえば、自宅兼事務所の家賃の全部を必要経費としている場合です。
このような支出については、適正な方法で按分し、事業用の部分だけを必要経費としなければなりません。
過大に必要経費を計上し、後から所得計算の修正を求められると、ペナルティも含めて追徴税額を支払わなければなりません。
少額減価償却資産の特例を利用する
事業に用いる資産のうち10万円以下のものは、無条件でその年の必要経費とすることができます。
しかし、10万円を超える資産については、固定資産として減価償却の計算を行わなければなりません。
しかし、従業員が500人以下の青色申告を行う個人事業主の場合、30万円までの資産について少額減価償却資産の特例が利用できます。
少額減価償却資産の特例を利用すると、1年間で合計300万円までは、取得した年の必要経費に計上することができます。
大きな節税になることから、この特例を積極的に利用するといいでしょう。
まとめ
所得税や住民税の計算は、年末調整や確定申告の内容をもとに行われます。
基本的に年末調整で計算する項目が増え、確定申告で多くの控除が適用されると、所得税や住民税の額は少なくなります。
サラリーマンの方は、年末調整でより多くの所得控除を受けられるよう、会社に提出する書類の内容を確認しておきましょう。
また個人事業主の方は、確定申告にあたって必要経費が正しく計算されているか、特例が適用できないか、検討するといいでしょう。