最終更新日:2022/6/6
今すぐできる経費削減・コストカットのアイデア3つ【ポイントや注意点は?】
ベンチャーサポート税理士法人 税理士。
大学を卒業後、他業種で働きながら税理士を志し科目を取得。
その後大手税理士法人を経験し、現在に至る。
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この記事でわかること
- 経費削減を行う際のアイデアについて知ることができる
- 経費削減する際に行ってはならない実例を知ることができる
- 効率的な経費削減の実例や経費削減の注意点がわかる
会社の経営者にとっての大きな課題は、いかに安定的に事業を継続することができるかです。
事業を行って利益を多く計上すれば、資金繰りに行き詰まることもなく、安定して経営を行うことができるはずです。
そのため、少しでも利益を大きくするために、日々の経営を行っていると言うこともできます。
ところで、利益を増やすためには売上を増加させるか、経費を減少させるかのいずれかが必要となります。
ただ、売上を急激に増やすことはできないことから、常に経費の見直しを行うことが求められます。
それでは、どのような形で経費削減を行うといいのでしょうか。
今回は効率的な経費削減のためのアイデアと、やってはいけない方法をご紹介します。
目次
経費削減のアイデア3つ
経費削減とは、これまで発生していた経費を大幅に見直して、ゼロにしたり減らしたりすることです。
経費削減を行うためには、具体的にどのようなアイデアがあるのでしょうか。
家賃を減額する
当たり前のように発生している事務所の家賃ですが、本当に業務上必要なものか検討する必要があります。
中には、これまでのように都心に事務所を構える必要がないことに気付くケースもあるでしょう。
もし、都心のオフィスで毎月50万円、100万円といった家賃を支払っていた場合、郊外の事務所に移転すると家賃は半額以下になるはずです。
また、テレワークの普及にあわせて、これまでより小さなオフィスでも問題なければ、家賃をさらに減らすことができます。
事務用品や消耗品を減らす
日常業務の中で多くの印刷物を作成し、最終的にはその多くをシュレッダーなどで廃棄処分していることも多いのではないでしょうか。
この一連の流れの中で、コピー用紙代、トナー代、廃棄処分費用などが発生していますが、その多くは無駄な支出と言えるのです。
そこで、ペーパーレス化を進め、余分な書類は印刷せず、また保管しないようにします。
こうすれば、経費削減ができるだけでなく、書類の保管にかかる手間を省くこともできるはずです。
通信費を減らす
通信費に含まれる電話代や郵送料も、業務の見直しとともにその支出額を減らすことができる経費です。
固定電話については、IP電話への変更を行うことで、毎月の電話料金を減らすことができる場合があります。
また、携帯電話についても、プランの見直しや携帯電話会社の変更によって、料金が減額できる場合があります。
会社によっては、顧客に対してダイレクトメールなどを送っており、定期的に多額の郵送料が発生することがあります。
しかし、この郵便物が本当に会社の売上に貢献しているのかは、よく検討する必要があります。
ダイレクトメールを廃止したり、電子メールに置きかえたりすることができれば、経費削減を行うことができます。
やってはいけない経費削減の例
経費削減を行えば利益が増えるため、経費削減の効果が現れるともっと大胆に大きな支出を削減してしまおうとすることがあります。
しかし、経費削減を行うことで売上が減少してしまうのであれば、経費削減がかえってマイナスに働くこととなります。
経費削減により、売上減少につながる可能性があるのであれば、経費削減を行わないようにしなければなりません。
具体的には、以下のような方法は行うべきではありません。
商品やサービスの品質低下につながる場合
経費削減を進めやすい項目の1つに、商品の仕入にかかる費用やサービスの維持にかかる費用があります。
これらの費用は金額が大きく、常に発生するため、少しの削減でも全体に与えるインパクトが大きくなるのです。
ただ、これらの経費削減をする際には、注意しなければならないことがあります。
それは、会社が提供する商品やサービスの品質低下につながらないようにすることです。
会社が提供する商品やサービスは売上を生み出すものであり、経費削減によりその品質を落とすようなことがあってはなりません。
もし品質が落ちてしまえば、これまでいた固定客は少しずつ離れてしまいます。
また、新たな顧客を獲得することも、以前より難しくなってしまうのです。
たとえば、飲食店でそれまで使っていた国産の食材から、品質は劣るが安い海外の食材に換えた場合です。
外食するお店を選ぶ際には、値段も判断材料の1つですが、味や食材の品質・安全性も大きなポイントとなります。
そのため、単純に食材を安いものに置き換えただけでは、品質低下による売上の低下につながると考えられるのです。
従業員の士気が低下する場合
会社の業務を行っている従業員が喜んで仕事をできる環境を提供できなければ、従業員の士気は下がってしまいます。
士気が上がらない状態で仕事をしていても、従業員の気持ちは会社や経営者からどんどん離れていってしまいます。
その結果、会社の売上が低下してしまうということが起こるのです。
たとえば、会社が支給する給料のうち、手当として支給される金額を削減したり、支給対象を減らしたりすることがあります。
会社としては経費削減の一環ですし、その結果として利益が増えるのであれば、最終的には従業員のためにもなると考えるでしょう。
しかし、手当の金額を削減したことにより影響を受けた従業員にとっては、わずかな減額でも士気の低下につながります。
その結果、仕事への取り組み方に変化が出て、会社への不満を口にする人が現れることもあります。
そのような人がいると、会社全体に悪い雰囲気が充満してしまい、想定以上に会社の業績が悪化してしまうのです。
会社の信用低下につながる場合
会社は、取引先や消費者からの信用や信頼によって成り立つ存在です。
その信用・信頼は、何も社長1人の力だけで築かれたものではありません。
従業員の力も関係するでしょうし、会社自体が経費をかけてその信頼を築き上げることもあります。
しかし、長い時間をかけて築き上げた信用が崩れる時は一瞬です。
経費削減により、そのような信用低下を招くようなことにならないよう、注意しなければなりません。
たとえば、会社が行っている広告宣伝活動は、非常にお金がかかるため経費削減の対象にしやすいものです。
また、広告宣伝費を削っても売上の減少に直結するかどうかわからないため、とりあえず減らすという場合もあるでしょう。
しかし、広告宣伝費を必要以上に削減することで、様々な悪影響が発生する可能性があります。
売上の減少はすぐには起こらなくても、徐々にその影響が出てきます。
そして、いったん低下した売上は、その後簡単に回復しない可能性が高いのです。
また、広告宣伝活動は、売上の増加だけでなく会社の知名度向上にも役立っています。
そのため、広告宣伝費を削減した後に求人募集すると、応募数が減少してしまうといった影響も考えられるのです。
効率よく経費削減を進めるために必要なこと
経費削減を行う場合、無計画に経費だけを減らしても、現場では混乱を招き、業務が停滞してしまうことも考えられます。
そこで、経費削減を行うためにはどのような注意点があるのか、そのポイントをいくつかご紹介します。
費用の削減後に何を行うのか想定しておく
経費削減を行う際には、ただ単に経費を減らせばいいというわけではありません。
最終的にその効果がどれくらいあるのかを考える一方、削減により新たな作業が増えないかを考えておく必要があります。
たとえば、ダイレクトメールを廃止して電子メールに置き換えた場合、ダイレクトメールの作成や郵送にかかる費用が削減できます。
一方、これまで必要のなかった電子メールを作成する人を配置し、ダイレクトメールに見劣りしないものを作成する必要があります。
費用を削減して、代わりに何を行うのかも考えておかなければならないのです。
経費の削減に優先順位をつけて取り組む
経費削減の対象となるものには、いくつかの候補があげられるでしょう。
ただ、一気にそれらを行うことは、会社全体に混乱を招く結果となりかねません。
そこで、項目ごとに優先順位をつけ、経費削減に取り組む順番を決めておく必要があるのです。
削減できる金額の大小や、経費削減にかかる手間の多さ・少なさを項目ごとに判定していきます。
そして、削減幅が大きく、手間がかからないものから取り組むと、経費削減効果がすぐに現れます。
早い段階で結果が出ると、新たな経費削減にも前向きに取り組むことができるはずです。
全社での取り組みにしなければ効果は出ない
会社で経費削減を行う場合には、経営者や一部の管理職だけで取り組んでも効果は出ません。
従業員やアルバイトも含めたすべての人が、経費削減に対する意識を持ち、取り組む必要があるのです。
経費削減を効果的に進めるには、各部署を横断的に組織した経費削減推進チームを立ち上げましょう。
そして、そのチームで具体的な取り組みを決定し、すべての従業員に共有するという体制づくりが欠かせません。
経費削減を行う際の注意点
経費削減を効果的に行う際には、どのような点に注意しなければならないのでしょうか。
すべての会社に共通する注意点について、ご紹介します。
経費削減の効果をすぐに求めない
経費削減を行った場合、すぐに効果が出るものも中にはあります。
ただ、すぐに効果が出るものは、これまで単に無駄遣いをしていただけということでもあります。
また、前述したように経費は削減できたが、それ以上に売上も減少してしまったということでは意味がありません。
目先の経費の減少に気を取られ過ぎると、持続的な経費削減ができなくなってしまう可能性があります。
長い目で見て、効果的と思われる経費削減を実行するようにしましょう。
くれぐれも経費削減の効果をすぐに求めないことが重要です。
効果測定を行い情報共有する
経費削減に取り組んだ結果は、会社の業績に現れます。
どれくらいの経費削減ができ、その結果、売上高はどれくらい変動したのかがわかるのです。
また、最終的に利益の額がどれくらい増減したのかも一目でわかります。
大切なのは、このような経費削減の効果測定を行い、その情報を従業員で共有することです。
経費削減の結果、どれくらいの効果があったのかを知ることは、経費削減に取り組む人のモチベーションとなります。
また、その結果をふまえて、さらに経費削減に取り組むのか、あるいはこれまでの取り組みを見直すのか判断ができます。
従業員に情報を共有しなければ、従業員はやらされているだけとなってしまい、効果的な経費削減にはならないのです。
できることからコツコツと
繰り返しになりますが、経費削減を行ってもすぐには効果が出ないこともあります。
しかし、大事なことはそれでもあきらめずに経費削減に取り組むことです。
経費削減を行って、会社全体の意識が変われば、労働環境の改善や従業員からのアイデア発信など、様々な効果が期待できます。
経費削減の効果が出ないからといって、すぐにあきらめてしまってはいけません。
まとめ
経費削減を行うことで、会社の利益が増加し、働く人すべてにいい影響が出ることが想定されます。
すべての従業員で同じ目標に向かって進むことで、会社全体にはそれ以上の効果が出ることも考えられます。
経費削減は、業務の見直しや従業員の働き方について考える、いいきっかけになるかもしれません。
業務の進め方や働き方も見直して、より効率的な経営となるようにしていきましょう。