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最終更新日:2022/6/6

アルバイト・パートが経費計上できるもの【副収入がある時の確定申告方法とは】

税理士 鳥川拓哉
この記事の執筆者 税理士 鳥川拓哉

ベンチャーサポート税理士法人 税理士。
大学を卒業後、他業種で働きながら税理士を志し科目を取得。
その後大手税理士法人を経験し、現在に至る。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-tori

この記事でわかること

  • アルバイトやパートで働く人が確定申告する際に経費となるものがわかる
  • 個人事業主がアルバイトやパートをした場合の確定申告方法がわかる
  • アルバイトやパートが経費を計上した場合に税額がどれだけ変わるかわかる

アルバイトやパートとして働く人も、仕事のために必要なお金を個人で負担しているケースはあります。

このような支出を経費として計上して、税金計算に含めることができるのでしょうか。

ここでは、アルバイトやパートとして働く人の確定申告について解説していきます。

経費の計上することがどれだけの効果があるのか、シミュレーションもしているので参考にしてください。

アルバイト・パートが経費として計上できるもの

アルバイトやパートとして働く人は、仕事のために個人で負担した支出を必要経費として計上することができるのでしょうか。

アルバイトやパートといっても、その働き方にはいくつかの種類があるので、その働き方による違いを見ていきましょう。

給与を得ている人

アルバイトやパートを行う人が、勤務先から給与をもらっている場合、働く人には給与所得が発生します。

給与所得者は、勤務先で年末調整を受けるのが原則ですが、複数の勤務先がある人は1か所でしか年末調整は受けられません。

メインの勤務先で年末調整を受けている人は、アルバイトやパートといった副業の勤務先では年末調整を受けられないのです。

このような場合、確定申告を行う必要はありますが、給与所得しかない人は経費を計上することができません

特定支出控除と呼ばれる制度はありますが、利用できる人はきわめて限定的で、ほとんどの人は利用できません。

そのため、個人的な支出を必要経費として税金の計算に含めることはできないのです。

ただ、給与所得者は給与所得控除という計算上の必要経費が認められています。

給与所得控除の金額は最低でも55万円、給与収入の額により最大195万円まで認められるのです。

報酬を得ている人

アルバイトやパートという働き方のつもりでも、実際は報酬を得ている場合もあります。

フードデリバリーなど、時給や日給ではなくその成果に応じて報酬が支払われるものが該当します。

内職として働いている場合も給与所得者ではなく、その出来高に応じた報酬を得ていることとなります。

このような人は、給与所得者ではないことから、給与所得控除の計算はできません。

その代わり、仕事のために必要な支出については確定申告をすれば経費として認められます

仕事のために使う衣類、仕事のために使う携帯電話や月々の通信費、交通費などは多くの人に発生するでしょう。

この他、仕事に使うためのパソコン、打ち合わせのための飲食費、自宅の家賃や光熱費なども計上できる場合があります。

ただし、これらの支出が一律に必要経費と認められるわけではありません。

仕事のために必要なものでなければ、必要経費として計上することは認められないからです。

たとえば携帯電話の場合、仕事とプライベートで1台の端末を利用しているのであれば、その費用を按分しなければなりません。

どの部分が仕事のための支出なのかを明らかにしなければ、必要経費として計上することはできないのです。

個人事業主が副業をしたときの確定申告手順

個人事業主として働く方が、副業としてアルバイトやパートを行う場合があります。

個人事業主として確定申告を行う際には、このアルバイトやパートとしての収入も含めなければなりません。

給与所得を受けている個人事業主はどのような流れで確定申告を行うのか、その手順を確認していきましょう。

①アルバイト・パートの勤務先から源泉徴収票をもらう

個人事業主は、副業を行っていてもいなくても、確定申告を行う必要があります。

副業をしている場合は、この事業所得とは別に給与所得の申告を行う必要があるのです。

副業による給与所得の金額は、勤務先で作成される源泉徴収票により知ることができます。

そのため、給与所得者は勤務先で発行される源泉徴収票を入手し、保管しておく必要があります

通常、その年の最後の給与が支給された後に、勤務先から源泉徴収票が交付されます。

もし源泉徴収票がもらえない場合や紛失してしまった場合には、勤務先に連絡してもらうようにしましょう。

②源泉徴収票のとおりに確定申告書に記載する

源泉徴収票には、支払金額や給与所得控除後の金額、源泉徴収税額などが記載されています。

ただし、副業として勤務する場合など年末調整を受けない場合は、乙欄という形で源泉徴収票が交付されます。

この場合は、支払金額と源泉徴収税額だけが記入された状態で、源泉徴収票を受け取ることとなります。

このうち、支払金額に書かれた金額を確定申告書の「収入金額等」の欄に記載します

また、源泉徴収税額の金額を確定申告書の「源泉徴収税額」の欄に記載します

この時、複数の源泉徴収票がある場合はそれぞれの金額を合算して記載します。

「収入金額等」に書かれた金額をもとに、給与所得控除の金額を控除した後の金額を「所得金額」に記載します。

給与所得の金額は、事業所得の金額とは分けて記載する必要があることに注意しましょう。

③事業所得と給与所得を合算して所得税の計算を行う

事業から発生した事業所得と、アルバイトやパートから発生した給与所得の金額は「所得金額」の欄で合計額を求めます

その後、「所得から差し引かれる金額」を求めて合計所得金額から控除し、課税所得金額を求めます。

課税所得金額の金額から、1年間に納めるべき所得税額を計算します

④源泉徴収税額を差し引いた納付税額を求める

③で求めた所得税額は、1年間に支払わなければならない税額です。

ただ、アルバイトやパートで給料を受け取った際に、すでに源泉徴収されている税額があります。

源泉徴収票を見ながら記載した「源泉徴収税額」がその額にあたります。

計算で求めた所得税額から源泉徴収税額を差し引いた金額が、確定申告により納付すべき金額となります。

アルバイト・パートが経費を計上した際の税金シミュレーション

それでは、実際にパートやアルバイトの収入を申告し税金を支払う際、所得の種類や経費によりどの程度の違いがあるのでしょうか。

個人事業主がアルバイトやパートの副業を行うものとして、実際の所得や税額を計算してみましょう。

なお、所得税額には復興特別所得税の額も含むものとしています。

アルバイトやパートで給与を150万円得た場合

副業を行った結果、給与として年間150万円を得た場合、必要経費は計上できません

その代わり、給与収入に対しては給与所得控除を計算することができます。

給与収入150万円の場合、給与所得控除の額は55万円となります。

そのため、給与所得の額は150万円-55万円=95万円となり、事業所得の金額に上乗せされます

事業所得のみで計算した場合の課税所得金額が500万円の場合、所得税額は584,500円となります。

これに対して、事業所得+給与所得で課税所得金額が595万円の場合、所得税額は778,500円になります。

この場合、給与収入が150万円増えたことで、所得税額が194,000円増えるのです。

アルバイトやパートで給与100万円、報酬50万円(経費10万円)を得た場合

副業で給与100万円、報酬50万円を得た場合を考えてみます。

給与については必要経費が計上できませんから、給与所得控除55万円だけが計上されます。

そのため、給与所得の金額は100万円-55万円=45万円となります。

一方、報酬については必要経費を計上することができるため、収入金額50万円から10万円を控除した40万円が所得となります。

そのため、この場合は副業で合計85万円の所得を得たことになるのです。

本業である事業所得の課税所得金額が500万円とした場合、副業も含めた課税所得金額は585万円になります。

この時、所得税額は758,000円となり、事業所得のみの場合に比べて173,500円増加します

アルバイトやパートで給与55万円、報酬95万円(経費20万円)を得た場合

副業で給与55万円、報酬95万円の合計150万円を得たとします。

給与については給与所得控除55万円が適用されるため、給与所得の金額はゼロとなります。

一方、報酬については必要経費を差し引いた金額が課税対象となります。

この場合、収入金額95万円から20万円を差し引いた75万円が所得となります

本業である事業所得の課税所得金額が500万円である場合、副業も含めた課税所得金額は575万円になります。

この時、所得税額は737,600円となり、事業所得のみの場合に比べて153,100円増加します

まとめ

副業でアルバイトやパートを行う場合、その労働の対価が給料の場合と報酬の場合があります。

給料として受け取る場合は、勤務先から源泉徴収票が交付され、給与所得控除を差し引いた後の金額に課税されます。

報酬として受け取る場合は、必要経費を控除した後の金額に対して課税されます。

同じ収入でもその計算方法や税額には違いがあるため、自分が受け取った収入がどういう名前のものになるのか、またどのような計算方法になるのかをしっかり確認しておきましょう。

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