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最終更新日:2022/6/6

租税回避とは?節税・脱税との違いや租税回避とみなされたらどうなるのか解説

森 健太郎
この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

この記事でわかること

  • 租税回避とはどのような行為をいうのかを知ることができる
  • 租税回避と節税や脱税との違いについて知ることができる
  • 租税回避とみなされる行為の具体例について知ることができる

節税や脱税という言葉は、多くの方が知っているでしょう。

それでは、租税回避という言葉について、聞いたことがある方はどれくらいいるのでしょうか。

あまりなじみがないかもしれませんが、租税回避も、節税や脱税と同じように税負担を軽減するために行われることです。

それでは、租税回避と節税や脱税は何が違うのでしょうか。

そして、租税回避を税務署から指摘されると、どのようなことが起こるのでしょうか。

租税回避とは

租税回避とは、税法が規定していない行為を行って、合法的に税負担を軽減することをいいます。

税法で規制されていない以上は合法的な行為であるため、租税回避を行ってもただちに罰せられるものではありません。

ただし、租税回避とされる行為は異常な法形式に基づいた取引であり、経済的な合理性があるとはいえません。

通常であればそのような取引は行わない、あるいは成立しないはずの取引を、租税の負担を軽減するためだけに行うのです。

法律でも想定していないような行為を行い、法の抜け穴を突くことで、課税を逃れる方法が租税回避です。

租税回避と節税・脱税の違い

租税回避とはどのようなものなのかを説明しました。

その内容を考えると、租税回避と節税や脱税とは何が違うのか、疑問に感じるかもしれません。

租税回避と節税や脱税とはどのような違いがあるのか、確認しておきましょう。

租税回避と節税の違い

租税回避も節税も、ともに税負担を軽減してくれる効果があります。

またいずれも、税法が禁止していない行為により税負担を減らすことができます。

しかし、租税回避と節税は、その性格はまったく異なるものです。

租税回避は税法が禁止していないものですが、不自然な取引を行った結果、税負担が軽減されるものです。

これに対して、節税は税法が予定している方法で税負担を軽減するものをいいます。

たとえば、特別償却の対象資産を購入し減価償却費を計上することで、税金計算の対象となる課税所得を減らすことができます。

また、人件費を増やしたり設備投資を行ったりして税額控除が認められれば、発生した税額を減らすこともできます。

税法が規定する節税の方法は、国や自治体としても積極的に利用を促している政策であるといえます。

つまり、節税の制度を設けているのは、その要件にあった行為を納税者に行ってほしいと考えているのです。

租税回避と脱税の違い

一方、税金を減らす行為として知られている脱税とは、いったいどのようなものなのでしょうか。

脱税とは、税法などの法律が認めない違法な行為によって、税金の負担を減らすことです。

たとえば、架空の経費を計上して所得金額を圧縮し、算出される税金の額を減らすことは脱税です。

あるいは、売上金額が発生しているのに、その売上がなかったものとして計上しないことも脱税の一種です。

脱税と租税回避の大きな違いは、脱税はその行為自体が禁止されており、その結果に関係なく認められないことです。

これに対して租税回避は、その行為自体は必ずしも認められないわけではない、合法的なものです。

ただ、不当に税負担が軽減される結果となるのであれば、認められないとする考え方はあります。

脱税行為を行うことは決して認められませんが、租税回避行為については、必ずしも行ってはいけないとも言い切れないのです。

租税回避とみなされる行為

それでは、具体的に租税回避とみなされる行為には、どのようなものがあるのでしょうか。

節税や脱税とは異なる行為とは、具体的にどのようなものをいうのか、確認していきましょう。

租税回避の具体例①タックスヘイブン

タックスヘイブンとは、日本語で「租税回避地」と呼ばれる、極めて税率の低い国や地域を指す言葉です

タックスヘイブンの地域に子会社を作り、親会社との取引を発生させることで、親会社で生じた所得を子会社に移転させます。

すると、親会社が日本国内で納税する法人税額は減少し、一方でタックスヘイブンではほとんど法人税は生じません。

その結果、親会社と子会社で負担する法人税額の総額は、タックスヘイブンに子会社を持つ前より大幅に少なくなるのです。

このように、税率が極めて低い地域に子会社を持つと税負担が減少し、日本で課されたはずの法人税の負担を回避することができます

ただ、このような行為自体は、不当・不法なものではありません。

日本に本社を置く会社が、海外に子会社を持つことは決して珍しいことでもありませんし、何の問題もありません。

また、タックスヘイブンとなっている地域も、海外からの資本を導入し、雇用の拡大につなげたいという狙いがあります。

そのため、税率を極めて低くしているからといって、批判されるようなことでもないのです。

ただし、タックスヘイブンを利用して、日本に拠点を置く会社が日本にほとんど納税していないとしたら、それは異常事態です。

また、タックスヘイブンにペーパーカンパニーを置いているだけであれば、それは単なる税逃れに過ぎません

そこで、無条件にタックスヘイブンを利用できないようタックスヘイブン税制を設け、租税回避できないような場合を定めています。

税負担率が20%未満の地域に海外子会社を設立した場合、海外子会社の所得も、実質的に日本国内で課税されます。

ただ、この規定を一律に適用すると、純粋に海外に進出しようとしている会社の自由な経済活動を妨害する可能性があります。

そのため、実際に現地に事務所や店舗を設けて活動を行っていれば適用されない、といった条件が設けられています。

また、国や地域ごとにタックスヘイブン対策税制が適用されない条件を定めている場合もあります。

租税回避の具体例②新設法人を利用した消費税の回避

法人や個人事業主は、売上を計上することで預かった消費税を、国に納付しなければなりません。

消費税の納税額を計算する際には、預かった消費税から仕入や経費として支払った消費税を差し引くこととされています。

つまり、純粋に預かった消費税から支払った消費税を差し引いた残りの金額を納めればよいのです。

しかし、消費税には課税事業者・免税事業者という考え方があるため、その納税義務を回避するために様々な方法が利用されてきました。

特に、新設法人を利用して消費税を免れる方法が広く利用されてきました。

これは、新設法人の設立第1期および第2期については、消費税の納税義務が免除されることを利用したものです。

法人の消費税の納税義務は、前々年度の課税売上高で判定するという消費税の制度があります。

しかし、設立後の2期間については、前々年度が存在していないため、この判定ができません。

そこで、設立後の2期間は消費税の納税義務がないこととされていたのです。

この考え方を利用したのが、消費税の租税回避の方法です。

法人を2年おきに設立することを繰り返せば、消費税の納税義務を免れることができます。

そのため、法人の実態としては継続して同じ事業を行っているにも関わらず、消費税の負担を回避することができたのです。

法人を2年ごとに設立することは、決して法律に違反しているわけではありません。

ただ、このような事例が相次いだことから、現在は法人設立直後であっても一定の条件に該当する場合は免税とはなりません。

具体的には、資本金が1,000万円以上の法人については、設立後の2期間は免税事業者になりません

また、前事業年度の当初6か月間の課税売上高と給与支給額の双方が1,000万円を超える場合は、設立第2期に納税義務が生じます。

さらに、大企業の子会社については、設立直後の事業年度においても免税事業者とならない場合があります。

このように、様々な形で租税回避ができないように、税法が変化して現在に至るのです。

税務署に租税回避と判断されるとどうなるのか

租税回避を行った場合、そのことがすぐに問題になるのでしょうか。

また、租税回避行為と判断された場合、はたして税務署はどのような対応をとるのでしょうか。

租税回避行為だからといって課税が生じるわけではない

租税回避行為は、脱税と違って法律でその行為が規制されているわけではありません。

そのため、租税回避を行ったからといってただちに税務署から申告漏れを指摘されるわけではありません

たとえ不自然な取引や、課税を免れるためだけに行うような取引が行われたとしても、その行為自体は違法ではありません。

だとすれば、そのような行為を行ったことを理由として、税務署が課税することはできないのです。

そもそも税金を課することは、国民の自由な経済活動を阻害するものです。

ただ、税金は国や地方自治体の運営には欠かせない財源であり、必ず必要なものです。

そこで、国や地方自治体が税金を課す場合には、必ず法律でその要件や税額の計算方法などを定めなければなりません

このことを、「租税法律主義」といいます。

たとえ租税回避行為であっても、法律上に課税すると規定されていない以上、課税することは認められないのです。

同族会社の行為計算否認の規定で課税される場合も

ただし、租税回避行為について、税務署もまったく打つ手がないわけではありません。

租税回避行為のように、法律において個別に禁止されていない行為であっても、その行為を防ぐための規定が存在するのです。

それが、「同族会社の行為または計算の否認規定」なのです。

この規定は、法人税法のほか、所得税法や相続税法にも存在します。

経済的合理性のない特殊な取引を行うのは、その法人が同族会社だからだとして、その行為が税務署に否認されることがあります。

そして、租税回避のために行った行為はなかったものとされ、多額の税金が生じることもあるのです。

同族会社の行為計算否認の規定が適用されるのは、租税回避行為の中でもかなり悪質なケースといえます。

このような指摘を受けないためには、どうしてそのような取引を行う必要があったのかを説明する必要があります。

また、租税回避のためだけに行ったわけではなく、別に合理的な理由があることを説明できるようにしておくといいでしょう。

まとめ

租税回避を行う場合、法律上は違法な行為を行っているわけではありません。

そのため、脱税とは違い、そのような行為を積極的に行って税負担を軽減しようと考える人もいます。

しかし、税負担を軽減するためだけに行う行為については、税務署から否認を受ける可能性があります

また、税法が改正された時には、法律で規制される可能性もあります。

租税回避行為を行うことは、一時的には有効であっても、長い目で見れば法人のためにはならないものと覚えておきましょう。

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