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最終更新日:2024/8/2

法人で利益が出過ぎた場合にできる節税対策12個【やってはいけない節税も紹介】

森 健太郎
この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

この記事でわかること

  • 利益が出過ぎた場合の節税方法がわかる
  • やってはいけない節税の方法がわかる
  • 利益が出過ぎたときの注意点がわかる

法人の決算において、利益が出過ぎてびっくりするような法人税額になることがあります。

そのため、決算が近づく時期になると、どの法人でも節税で法人税をできるだけ少なくさせるために、様々な手段を講じていますが、中には効果が怪しいものや、やってはいけないものも含まれています。

そこで、法人で利益が出過ぎた場合にできる節税対策と、やってはいけない節税対策などについて、まとめて解説します。

法人の利益が出過ぎた場合の節税方法12個

法人の利益が出過ぎた場合に行うべき節税方法は多数ありますが、概ね次の種類に大別できます。

  • ・資産の変動による節税
  • ・経費の増加による節税
  • ・給与の増加による節税

上記の種類に従って、12個の節税対策を紹介していきます。

資産の変動による節税

まず、資産の変動によって行うことのできる節税対策をお伝えします。

不要在庫の処分

利益が出過ぎた場合は、ダイレクトに利益を下げることが有効です。

売上総利益(粗利益)は下記の計算式で求められますが、売上原価には在庫(棚卸資産)が含まれています。

売上高-売上原価=売上総利益(粗利益)
売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高

そのため、在庫(棚卸資産)を処分することで、売上原価を増やすことができ、結果的に売上総利益(粗利益)を減らすことができます。

通常の在庫であれば翌期に売上につながりますが、不要在庫の場合は決算期までに速やかに処分することで節税になりますし、赤字で処分してもキャッシュに換えられるためメリットが大きい方法です。

不要な固定資産の処分

使用していない、または使用頻度の低い固定資産を処分することでも節税対策になります。

廃棄する際は固定資産廃棄損として、売却する際は固定資産売却損として、除却する際は固定資産除却損として、損金算入できます。

なお、不要な固定資産の処分は、資産をキャッシュ化できるため、長期的に見ても有効な策といえます。

設備投資の実施

設備投資は生産性の向上などに直接寄与するため、利益が出過ぎた場合には積極的に行いたい施策です。

ただし、設備投資は原則的に減価償却資産となるため、利益が出過ぎたと判明してからの動きでは、初年度はほとんど節税対策にはなりません。

しかし、設備投資には税制優遇制度があり、業種や事業規模、取得内容などの条件が合えば、特別償却と税額控除が選択できます。

特別償却は、初年度の節税効果が抜群です。

単なる法人税の延納となりがちなものの翌期以降の状況が見えない場合などでは有効ですし、税額控除なら減価償却費に計上する取得価額の枠を使用しないため、税額控除額分がそのままメリットとなります。

少額減価償却資産の購入

以下の条件を満たす中小企業が、10万円以上30万円未満の減価償却資産を購入した場合、全額を損金計上できる少額減価償却資産の特例制度があります。

  • ・資本金1億円以下
  • ・従業員数500人以下
  • ・青色申告での申告

毎事業年度で合計300万円が限度ですが、器具備品、機械装置等の有形減価償却資産だけでなく、ソフトウェアや特許権、商標権等の無形減価償却資産も対象となり、中古資産でも可能です。

経費の増加による節税

次に、経費を増加させることで利益を減少させる方法があります。

広告宣伝の活用

広告宣伝は企業活動に有効な手段ですが、利益が出過ぎた時にこそ活用するべきです。

下記のような具体策が考えられます。

  • ・ホームページ制作や大幅な更新
  • ・動画の撮影や配信
  • ・ランディングページの制作
  • ・人材採用の専門ページの制作
  • ・ネット広告 など

現在は、Webマーケティングは重要な販売戦略ですが刷新するには経費がかさむものですから、このチャンスを有効活用すれば節税対策でもよい結果を残せる手段となります。

福利厚生の活用

全社員を対象とする社員旅行やレクリエーション、パーティ等を実施して、福利厚生費として経費計上するのも節税対策となります。

ただし、実際には全社員の50%以上が出席することが要件となるため、役員だけといったものには適用できませんので注意が必要です。

健康診断の活用

健康診断は、企業としての実施義務がありますが、利益が出過ぎた場合には通常の簡易健診ではなく、2日間の人間ドックなどにグレードアップすることでも、節税対策となります。

ただし、この場合も全社員が対象となることが必要です。

短期コンサルティングの活用

利益が出過ぎた場合、顧問にお願いしている分野ではないものに対して、短期コンサルティングを依頼することで、報酬を経費計上することができます。

また、セミナーなど研修を受講することでも研修費用が経費計上できます。

設備投資と同様に、翌期以降に成果が表れるので経営戦略としても有効な施策となります。

高額な書籍の購入

業務に関連する様々な専門書は高額であることが多く、各部署から依頼があっても、通常は購入をためらうことが多いはずです。

利益が出過ぎた場合こそ、こういった高額図書を率先して購入することで節税に効果があります。

短期前払費用の活用

1年以内に役務の提供を受ける前払費用のうち、下記のものについては支払った年度内に損金算入が認められる、短期前払費用の特例があります。

  • ・1年以内に役務の提供を受けること
  • ・年払いであること(その後もずっと年払い)
  • 物品の購入ではないこと

賃借料などを1年分前払いする際に活用できますが、1年以内という要件がありますので、支払う時期には注意する必要があります。

給与の増加による節税

継続的な定期給与の引き上げではなく、一時的な給与の増加によって利益を減らす方法があります。

決算賞与の支給

利益が出過ぎた場合に、節税対策として活用しやすい方法に、決算賞与の支給があります。

決算賞与は、下記の方法により支給する必要があります。

  • ・支給額を予め従業員別に確定し、知らせる
  • ・実際の支給日は決算の翌日から1か月以内
  • ・支給額について未払金として経費計上する

決算賞与の支給は、節税対策としてだけでなく、従業員のモチベーション向上としても有効な施策となります。

役員の増員

役員報酬の変更は期首から3か月以内に行わないと損金算入できないため、節税対策としては使えませんが、役員を増員することで役員報酬の総額を増やすことはできますので、結果としては節税対策として有効です。

利益が出過ぎたとしてもおすすめできない節税方法

次に、一見すると節税方法として有効に見えて、ネットなどでも紹介されているものの、節税方法としてはおすすめできないものをいくつか解説します。

固定資産の購入

固定資産の購入は、税制優遇がある設備投資や一括償却ができる少額減価償却資産を除いて、節税方法として有効な施策ではありません。

固定資産は一括償却ではなく、減価償却となり数年かけて経費化されますし、初年度は特に月割になってしまう上に、さらに経費として計上できる金額が限られてしまうため、たとえ中古の資産を購入しても、節税と言えるほどのメリットが生じません。

生命保険の活用

社員全員を対象とする団体定期保険は節税対策として有効ですが、特定の役員や従業員を対象とした生命保険は、保険料の一部を経費として計上できるものの、解約や満期時に益金処理をすることになるため、単なる納税の先送りでしかありません。

こうした生命保険は、退職金対策としては有効ですが法人税の節税対策とはなりません

関係会社の設立

設立当初の消費税免税や接待交差費枠の拡大などの理由で、関係会社を新たに設立して節税をしようとすることがあります。

本来の事業を完全に切り離して運営するならともかく、ペーパー会社として利用する場合、実態が伴っていないことから、税務上の対価性が認められずに税務署から否認されるだけでなく、仮想行為の認定を受けると重加算税の対象となる可能性があります。

出張旅費規程の活用

出張手当は損金算入でき、受け取った社員は非課税所得であることから、出張旅費規程の活用は節税対策として広く実施されています。

常識的な範囲なら会計処理も簡便なため、大いに活用すればよいのですが、役員や特定の役職だけに限定して適用していたり、あまりにも高額な手当を支給していたりする場合は、税務上否認される可能性があります。

特に、規程が定められていない、決定方法に問題がある、運用が恣意的である、などの場合で税務調査が入れば、完全にアウトとなりますので注意が必要です。

現在は、否認するか否かの判断基準が難しいため、否認された事例はほとんどないようですが、税務署は租税回避行為には厳しいため、既に把握されていることは間違いないですし、今後も必ず認めてもらえる保証はありません。

そもそも、コロナ禍によって出張をしなくても業務が回ることが証明されてしまった以上、出張自体の回数が減ることは明らかですから、今後はあまり有効な手段とは言えなくなってくるでしょう。

法人で利益が出過ぎたときの注意点

最後に、法人で利益が出過ぎたときの注意点について、いくつかお伝えします。

効果をよく見極める

実施しようとしている対策が、決算までに間に合うのか、どのような効果があって具体的にいくら納税額が抑えられるのか、実施する際に新たな費用がかかるのか、最終的な効果についてよく見極める必要があります。

影響をよく見極める

利益が出過ぎた当期については節税になったとしても、恒久的に実施する施策の場合、その影響をよく見極めることも重要です。

継続的に費用が発生する場合や業績が悪化した場合は、そのことで悪影響を与えることもあるため、最終的にどうするのかを考えておく必要があります。

また、初回は節税になっても、その後毎年行うなら結果的に納税の先延ばしになっているだけの意味のない施策は最初からやる必要はありませんので、実施前によく検討しなければなりません。

手法をよく見極める

利益が出過ぎた場合は、法人税の節税を検討するのは当然としても、その方法は前述した通り非常に多くの方法があります。

それでももっと利益を圧縮したい、税金を払いたくないという場合は、いわゆる節税商品というものを検討することがありますが、その手法についてよく見極める必要があります。

節税商品とは、リースなどを利用して行うことが多く、そういう手法があるならやってみたいと思うのは理解できますが、投資の一環であることを認識しなければなりませんし、投資ならば損をする可能性もあります。

コロナ禍によって航空機リースを使った節税商品の破綻が事実としてあります。

税金を払いたくないばかりに大損をしてしまっては本末転倒ですし、高額な損失によって経営に大きな影響が出る場合もあります。

聞いたことがない節税手法や、よくわからない手法には安易に乗らないのが得策ですし、ましてや脱税につながるような行為はご法度ですから、慎重に検討するようにしましょう。

実施前に確認する

そして、利益が出過ぎた場合には、一番身近にいる顧問税理士に、まずは節税について相談してみることが重要です。

もし、満足のいく節税対策が聞けなかった場合は、他の税理士にセカンドオピニオンを求めることも検討しましょう。

まとめ

ここまで、法人で利益が出過ぎた場合にできる節税対策、やってはいけない節税対策などについて解説してきました。

実に様々な対策があることがお分かりいただけたことでしょう。

節税については、税制改正や中小企業特有の税制優遇など変化が激しいため、常に最新情報をチェックすることをおすすめします。

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