最終更新日:2022/6/6
青色申告承認申請書は郵送で提出できる!必要書類や手続きの流れまとめ
ベンチャーサポート税理士法人 税理士。
大学を卒業後、他業種で働きながら税理士を志し科目を取得。
その後大手税理士法人を経験し、現在に至る。
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この記事でわかること
- 青色申告承認申請書を郵送するメリットや手続きの流れについて理解できる
- 青色申告承認申請書を提出する際の必要書類がわかる
- 青色申告承認申請書を郵送提出する際の注意点がわかる
最大55万円(電子申告又は電子帳簿保存を行えば最大65万円)の控除を受けられるようになる青色申告。
この青色申告を行うためには、税務署へ青色申告申請書を提出しなくてはなりません。
青色申告承認申請書の提出は一般的に、個人事業の開業や会社設立のタイミングで行うケースがほとんどですが、そのような状況では実際、行うべき手続きが沢山生じてきます。
そのため、この手続きに時間を割くことが難しくなる場合もあるでしょう。
青色申告承認申請書の提出は、窓口への提出だけでなく、郵送でも行うことが可能です。
忙しく時間に追われているような状態であれば、郵送で提出することによって、時間的にも労力的にも負担を軽減させることができます。
今回は、青色申告承認申請書を郵送で提出することのメリットや、郵送する際の手続きの流れについて解説していきます。
また、青色申告承認申請書を郵送する際に必要な書類や注意点も説明しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
青色申告承認申請書は郵送で提出可能
最初に、青色申告承認申請書の提出期限を確認した上で、郵送で提出することのメリットについて説明します。
青色申告承認申請書の提出期限は、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(開業した場合には原則として開業日から2ヶ月以内)と定められています。
そのため一般的に、個人事業を開業した時点では、開業届の提出と同時または直後に行うことが多いです。
上記の期限を過ぎたとしても、特に罰則などはありません。
しかし、この提出期限を過ぎてしまうと、せっかく申請をしても、実際に青色申告が可能になるのは申請手続きをしたその年ではなく、翌年以降からとなります。
青色申告の控除適用可能な期間が狭まることになるため、早めの提出を心がけましょう。
どうしても時間的に余裕がなく、税務署の窓口まで提出しに行くのが困難な場合には、郵送提出を視野に入れましょう。
提出期限が間近まで差し迫っている状況下では、青色申告承認申請書を郵送提出が非常に効果的です。
郵送で提出することによって、時間的にも労力的にも、問題を解消することができます。
特に、郵送提出は以下のようなメリットがあります。
- ・提出期限ギリギリでも申請できる
- ・窓口に行くまでにかかる時間と手間を省略できる
この2点について詳しく説明していきます。
提出期限ギリギリでも申請できる
青色申告承認申請書の提出期限が差し迫っている場合、青色申告承認申請書を郵送提出することで提出期限までに間に合わせることができます。
これは、郵青色申告承認申請書の受領日が、実際に税務署に到着する日ではなく、郵便局が発送した日として扱われるためです。
国税庁では、税務手続きに関する書類の提出時期について、次のように定めています。
税務手続に関する書類の提出日は、原則として税務官庁に書類が到達した日となります(到達主義)。
ただし、納税申告書(添付書類及び関連して提出する書類を含む。)や提出時期に具体的な制約がある書類(後続の手続に影響を及ぼすおそれのある書類を除く。)については、その書類が郵便や 信書便により提出された場合、その郵便物や信書便物の通信日付印により表示された日が提出日とみなされます(発信主義)。
※ 税務手続に関する書類は「信書」に該当するため、作成済みの書類を送付する場合には、「郵便物」(第一種郵便物)又は「信書便物」として送付してください。
つまり、提出期限の当日までに郵便局で青色申告承認申請書を発送すれば、実際に税務署へ到着した日が提出期限を過ぎていたとしても問題がないというわけです。
このような定めがあることから、提出期限までに税務署の窓口へ行く時間的余裕がないときでも、郵送提出を行い、郵便局で当日までに発送すれば提出期限に間に合わせることができるというメリットがあります。
窓口に行くまでにかかる時間と手間を省略できる
また、お住まいの地域から税務署までの距離が遠く、アクセスしにくい場合にも郵送提出が便利です。
窓口に足を運ぶ時間を要するときにも、郵送提出することで、手続きにかかる時間と手間を省略することができます。
窓口まで行く時間と手間を考えるとかなりの負担になりますが、郵送提出すればそのような負担が生じることもありません。
とりわけ、個人事業の開業時や会社設立時であれば、多忙な状況下であることが多いでしょう。
そのようなケースでは、税務署までの往復時間と手続きにかかる手間をかけずに済むことは、非常に大きなメリットとなります。
青色申告承認申請書を郵送提出する流れ
前述のように、青色申告承認申請書を郵送提出することで時間や手間を省略できるというメリットがあります。
この郵送提出の方法には特段の決まりなどはなく、自身が利用したいときにいつでも郵送することが可能です。
ここからは、青色申告承認申請書を郵送で提出する際の基本的な流れについて解説するとともに、必要な書類について紹介していきます。
なお、個人事業の開業届と同時に提出する場合は、下記で紹介するものの他、別途必要となる書類があるので、注意が必要です。
青色申告承認申請書の郵送提出の基本的な流れは、大きく分けると以下のようになります。
- ・青色申告承認申請書(原本・控え)を準備する
- ・封筒(送付用・返信用)を用意する
- ・管轄の税務署へ郵送する
上記の流れについて、それぞれ詳しく解説しますので確認していきましょう。
青色申告承認申請書(原本・控え)を準備する
まず初めに、税務署への提出用となる青色申告承認申請書を準備しましょう。
準備する青色申告承認申請書は、税務署への提出する原本と自身の控えを作成します。
青色申告承認申請書の書式は、以下の国税庁のwebサイトからダウンロードすることができます。
この書式はPDF形式のため、そのまま必要事項の入力が可能です。
もしくは、印刷して手書きで必要事項を記入してもよいでしょう。
記載方法については、上記の青色申告承認申請書の書式2ページ目をご参照ください。
ご不明点がある場合は、納税地を管轄する税務署へ問い合わせることをおすすめします。
必要事項を記入し終えたら、印鑑を押す前に、1部コピーを取りましょう。
最後に、税務署に提出する原本と自身の控え(原本のコピー)にそれぞれ押印して、書類を完成させます。
なお、押印する際は認印で問題ありません。
封筒(送付用・返信用)を用意する
上記の手順で青色申告承認申請書の原本と控えを作成したら、次に郵送する際に必要な封筒を用意します。
青色申告承認申請書の郵送提出に必要な封筒は、税務署への送付用封筒と自身への返信用封筒の2枚です。
返信用封筒は、前述した青色申告承認申請書の控えを返送してもらうために同封する必要があります。
必ず送付用封筒と返信用封筒の両方を準備しましょう。
税務署へ青色申告承認申請書を送付するときは、普通郵便でも問題ありませんが、簡易書留やレターパックなど、追跡が可能な郵送方法が好ましいです。
送付用封筒には、管轄税務署の宛先を記入します。
管轄事務所とは、納税地となる税務署のことを指します。
基本的には、法人であれば会社の本店所在地、個人事業主であれば住所です。
普通郵便や簡易書留の場合、必要な郵便料金分の切手を貼ります。
レターパックの場合、レターパックについている保管用シールを剥がしておきます。
郵送追跡ができるように、剥がした保管用シールには送付した日付と郵送先の税務署名等を記載し、きちんと保管しておきましょう。
返信用封筒には、自身の住所を記入します。
記入を終えた後、返信用封筒にも忘れずに、必要な郵便料金分の切手を貼りましょう。
管轄税務署へ郵送する
最後に、用意した送付用封筒に、青色申告承認申請書(税務署への提出する原本・自身の控え)と返信用封筒(切手を貼ったもの)を同封して、管轄税務署へ郵送します。
お近くの郵便局の窓口に持参するか、ポストに投函しましょう。
郵送後、通常であれば1週間程度で、青色申告承認申請書の控えが同封した返信用封筒で返送されてきます。
返送されてきた控えには税務署の受領印が押印されています。
自身が申請した内容の証明・記録となるため、大切に保管しておきましょう。
青色申告承認申請書は郵送するときの注意点
ここからは、青色申告承認申請書を郵送する際の注意すべきポイントについて紹介します。
注意すべきポイントは次の通りです。
- ・1週間たって控えが戻ってこない場合は、一度税務署に確認
- ・開業時の場合はあわせて開業届も提出
- ・従業員や家族を雇う場合はあわせて青色事業専従者給与に関する届出・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書も提出
上記の3点について、説明します。
1週間たって控えが戻ってこない場合は、一度税務署に確認
青色申告承認申請書を郵送提出した場合、通常であれば約1週間程度で税務署から控えが返送されてきます。
しかし万が一、1週間以上経過しても控えが返送されてこない場合には、一度、郵送先の管轄税務署へ問い合わせてみるのがよいでしょう。
手続き中の可能性や、何らかの事情により手続きが滞っている可能性もあります。
税務署に連絡をすれば、現在の進捗状況を把握できます。
申請した内容に不備や不足がある場合などを除き、基本的には税務署からの連絡というのはありません。
承認された場合も連絡は来ないので、承認されたかどうかご不安であれば、管轄の税務署に連絡しましょう。
税務署に連絡する際には、自身が申請した書類の内容を正確に把握しておくことで、スムーズに進捗状況を確認できます。
念のため、郵送するもの(原本・控え)とは別に、写真やデータとして青色申告承認申請書の記録を保存しておくとよいかもしれません。
開業時の場合はあわせて開業届も提出
個人事業を開業した場合は、開業届とともに青色申告承認申請書を郵送提出します。
開業届の提出期限は、原則として開業日から1ヶ月以内であるため、青色申告承認申請書とほぼ同時に提出することが多いです。
開業届を提出する場合にも、青色申告承認申請書の作成時と同様、原本と控えを作成する必要があります。
また、その他に本人確認書類(マイナンバー通知カードや身分証明書のコピーなど)も必要です。
詳しくは、国税庁のwebサイトをご覧ください。
従業員や家族を雇う場合はあわせて青色事業専従者給与に関する届出・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書も提出
従業員を雇用したり、家族に給与を支払ったりする場合には、以下の書類もあわせて郵送提出できます。
- ・青色事業専従者給与に関する届出
- ・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
青色事業専従者給与に関する届出をすることにより、青色事業専従者(生計を一にする家族)への給与を経費に算入することができます。
また、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請を行うことにより、原則毎月徴収される源泉所得税を年2回にまとめて納付できるようになります(ただし、給与の支給人員が常時10人未満である場合に限ります)。
これらの書類は、後日でも提出可能ですが、もし青色申告承認申請を行うタイミングで、従業員や家族を雇う予定であれば、青色申告承認申請書と一緒に郵送で提出しましょう。
まとめ
青色申告承認申請書を郵送で提出する際には、原本と控えを作成する必要があります。
控えの作成時は、原本に印鑑を押す前にあらかじめコピーを取ってから、原本・控えに押印します。
郵送する際に用意する送付用封筒と返信用封筒には、必ず忘れずに両方とも切手を貼りましょう。
開業時などには別途、提出が必要な書類があります。
青色申告承認申請書を郵送で提出するときには、本記事を参考に準備してみてください。