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起業前にするべき自問自答【起業の世界Vol.2】
ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック
起業前に考えておくべきこととは?
上でも少し解説させていただいたように、起業の手続き自体はそれほど難しいことではありません。
ですがその前に、「本当に自分は起業したほうが良いのか?自分が本当に求めている働き方は独立なのか?」ということについて深く考えておく必要があります。
というのも、独立した後にはあなたに対して命令をする人はいなくなるからです。
いっけん自由で楽しいようですが、あなた自身の仕事へのモチベーションが収入に直結することになりますから、これはとても厳しいことでもあります。
起業後になって「こんなはずじゃなかった…」なんてことにはならないよう、起業前の段階で以下のようなことについて深く考えておきましょう(できれば紙に書き出しておくのが良いです)
起業前に考えておくべきこと
1:自分の価値観を見直す
上でも説明させていただいた通り、起業後には経営者であるあなた自身の事業への意気込みが、事業の将来そのものを決定づけることになります。
なので、あなた自身が事業に対してどのぐらい思い入れがあるのか?あるいはあなた自身が「独立起業して生きる」というライフスタイルにどれぐらい魅力を感じているのか?ということを確認しておかなくてはなりません。
はやりの言葉でいえば「あなたはあなたの事業に対してどれぐらいコミットしているのか?」をよく考えておく必要があるということですね。
具体的には、以下のような質問を自分自身に対して投げかけてみて、その答えを書き出してみることをおすすめします。
起業前の自問自答
1:起業は、現在の不満を解消するベストの方法ですか?
実際に独立起業している経営者の中には、大きく分けて2つのタイプの人がいます。
1つは「自分の経験やアイデアを事業にしたくてしょうがなかった。そのためには独立起業する必要があった」というタイプの人です。
もう1つは「サラリーマンとして仕事をするのが嫌なので、いっそ独立したい」というタイプの人です。
前者は仕事そのものが人生のモチベーションとなっているタイプの人なので、一応は起業に向く人といえます。
後者の場合は少し問題で、このタイプの方は「起業することが現在の不満を解消するベストの方法なのか?」についてもう一度検討してみる必要があります。
場合によっては転職や異動願いを出すことが解決策となることもありますし、収入が不満であるなら現在の仕事をつづけながら副業を始めてみるという選択肢も考えられます。
「起業」というアクションが、自分の現在の不満をどのように解消するのか?についてもう一度考えて紙に書き出してみましょう。
起業前の自問自答
2:家族に100%反対されたとしてもやりますか?
実際にサラリーマンを辞めて起業を経験した人の中には「家族からの反対が意外に強くて説得するのに苦労した…」という人もすくなくありません。
現在独身の方であればそれほど大きな反対を受けることはないかもしれませんが、配偶者やお子さんがすでにいる方の場合は彼らの賛成を得られるかどうかについてよく検討しておかなくてはなりません。
起業後に家族のサポートをしっかりと受けられるかどうかは、起業時に家族への配慮をどの程度したか?によることが多いです。
あなた自身が事業にコミットするとともに、あなたの家族にも事業にコミットしてもらう必要があるということですね。
起業後には、あなたは経営者として事業をコントロールしていかなくてはならなくなります。
「一緒に働く予定の従業員やパートナーがいるから大丈夫」という方もおられるかもしれませんが、事業主であるあなた(お給料を払う立場)と、お給料を受け取る立場である従業員やパートナーとでは考え方が全く異なります。
経営者としての仕事は実に孤独な仕事ですから、家族からのサポートを受けられるかどうかは非常に重要です。
起業しようと思っていることを家族に打ち明けるとき、あなたはどのような言葉で彼らを説得するでしょうか?
起業前の自問自答
3:失敗したときのあなたの反応の傾向は?
サラリーマンを辞めて、今後は経営者として事業に取り組む場合、「失敗」というものについての考え方を180度転換する必要があります。
経営者として仕事をする場合、「ほとんどは失敗に終わる新しいチャレンジの中から、うまくいくパターンを見つけていく」という発想が重要になります。
起業してすぐにうまくいくパターンをみつけたとしても、参入障壁が低い事業であればどんどん別の事業者があなたと同じことを始めることでしょう(新規開業のあなたでも取り組めた事業なのですから、当然参入障壁は低いと考えらえます)
一方で、組織の中で働くサラリーマンにとって、失敗はできるだけ少なくすることが重要です。
失敗を起こさないようにするためには、どうしてもこれまでの経験の延長線上で行動することになりがちです。
やや極端な言い方をすれば、「最近、失敗をすることはほとんどない」ということは、「最近、新しい挑戦をほとんどしていない」ということでもあるのです。
イメージとしては10個の新しいアイデアのうち、9個は失敗してもたった1個の成功パターンが見つかれば良い、という考え方で仕事をすることになります。
ポイントは「致命的なダメージとならないよう、リスクを小さく抑えた挑戦をたくさんする」ということです。
新しい施策を行う際には、その施策の失敗によって事業そのものが傾くようなことがあってはなりません。
許容できる小さな失敗をたくさん積み重ね、そのうちのたった1個から新しい成功パターンを生み出していくという発想が重要になります。
普段、あなたは失敗をしたときにどういう反応をしているでしょうか?その反応の仕方は、経営者として仕事をしていくうえで望ましいものでしょうか?
起業前の自問自答
4:あなたを外部から助けてくれる人はいますか?
上では家族のサポートを受けられるようにしておくことが経営者にとっては重要という話をさせていただきましたが、家族以外の外部の人からのサポートを受けられるかどうか?も事業の成功を左右する重要な要因となります。
取引先の人のサポートが受けられることが起業のきっかけとなることもあるでしょうし、すでに先輩として同種の事業に取り組んでいる人がアドバイスをくれるということもあるでしょう。
経営者にとって、外部からのアドバイスはとても貴重なものです。
というのも、起業した後にはあなたは独立した経営者ですから、あなたの事業の中ではあなたに命令や指示をしてくれる人は基本的に誰もいなくなるからです。
事業の命運を左右するような重要な意思決定に関しては、基本的に従業員をあてにすることはできません。
良くも悪くもあなたの事業に命懸けで取り組んでくむのは、あなただけだということをよく理解しておかなくてはなりません(従業員はあなたの事業が傾いても、別の会社で働くという選択肢があります)
起業した後に、あなたに外部からアドバイスしてくれる人はどんな人がいるでしょうか?
起業前の自問自答
5:なんでも自分でやろうとしていませんか?
起業して経営者となった後には、あなたは今以上にいろんな仕事をこなすことが必要になります。
例えば、あなたが特定の分野について専門的な知識を持っており(資格を持っているなど)、その専門知識をもとに起業したとしましょう。
その場合、当面あなたの仕事は第一にはその専門領域についてお客さんにサービスを行うことです。
しかし、経営者として仕事をする場合にはそれ以外にも副次的な仕事がどんどん舞い込んでくることを知っておかなくてはなりません。
納税のための経理や、オフィスを維持するための雑務、さらには顧客からのクレーム対応など、事業の規模が大きくなっていくほどあなたは本来の専門領域から離れた仕事もこなさなくてはならなくなります。
この時点で、あなたは自分以外の人間をスタッフとして雇用する必要が生じるわけですが、彼らがあなたの思った通りに動いてくれるかどうかはわかりません。
他人は基本的に自分の思った通りには動いてくれないものですし、従業員はあなたほどあなたの事業に対して熱心ではないのが普通です。
自分の事業に協力してくれるスタッフを雇う場合、長期的な視点に立って、彼らを教育をしていくということが必要になるのです。
この点、完璧主義な性格の人は注意しておきましょう。
起業前の自問自答
6:起業は一人でやるか?誰かと組むか?
「起業したいが、1人で会社を立ち上げるのは不安。でも2人で創業すると、いずれ意見が衝突するのではないか…」と悩んだ経験はありませんか?
起業家にとって永遠のテーマとも言えるこの悩み。
ベンチャーサポートの顧問先でも、複数のメンバーで立ち上げて、その後仲たがいして揉めるケースがとても多いです。
「一緒にやろう!」と決心した後でも、会社設立前に一人で起業する場合、二人で起業する場合のメリット・デメリットについて確認していきましょう。
1人で起業する場合のメリット・デメリット
1人で起業する場合のメリットは、何と言っても「全て自分で決められること」です。
利益配分や責任の分担等の話しにくい内容について、1人の場合は頭を悩ませなくて済みます。
逆に2人で起業する場合は、お互いに納得のいく落としどころを見つけるために、根気強く議論していく必要があります。
事業が思うようにいかなかったり、業績が落ち込んだときが最も2人の意見が対立したり、二人のいざこざが生まれるので予めそのような場合の対応も考えておいたほうがよいでしょう。
二人で起業する場合のメリット・デメリット
2人で起業する場合のメリットは、自分の不得意な分野においてパートナーに助言をしてもらえ、1人よりもアイディアが豊富になる点です。
アイディアが豊富に出れば、それを客観視することも必要になり、そんな時こそパートナーがいるメリットが大きいでしょう。
また、自分が体調を崩した時はもちろんのこと、精神面でもパートナーが大きな支えになります。逆に、1人で起業する場合は、アイディア不足に陥ったり、いざという時のサポーターがいなかったりと、個人への負担が大きくなります。
まとめ
今回は、近い将来に起業して独立することを考えている方向けに、起業前や起業直後にしっておくべき知識について解説させていただきました。
起業を目指すことになったきっかけというのは人それぞれだとは思いますが、起業家にはなによりも「収益を上げること」への執着が必要です。
これから起業を目指す方は、本文で解説させていただいた内容を参考に、しっかりと心の準備を固めてみてくださいね。
▼ 起業の世界
- 起業の世界Vol.1 起業の基礎知識と手順|現状分析・資金調達・開業手続きまで徹底解説
- 起業の世界Vol.2 起業前にするべき自問自答
- 起業の世界Vol.3 これからの働き方 ~“起業”という選択肢~
- 起業の世界Vol.4 知っておきたい起業のリスク
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- 起業の世界Vol.6 資金調達について
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