東京都中央区で不動産とテクノロジーの2本柱で業務を展開する株式会社S&Yリアルティ。
今回は代表取締役様とテクノロジー業務を担当するお2人に、出会いから会社設立、詳しい業務内容、現場から見た業界の状況、今後のビジョンまでお話を伺いました。
代表:私は日本で唯一、不動産学部のある大学の出身です。10代の頃に不動産に関わる仕事を経験し、その中で不動産に興味を持ち、そちらの方面に進むことを決意しました。
大学卒業後、財閥系の不動産販売会社にて、相続や富裕層向けの資産組み替えに携わり、その後も丸の内で高所得者向けに資産管理のコンサルタントとして、主に不動産の売買や有効活用といったウェルスマネジメントに携わりました。
そうして多くのお客様や企業様と関わっていくにつれ、情報の集約や分析が煩雑かつ困難になってきました。どうにかできないかと感じていたところ、顧客管理や営業の効率化に携わる彼に出会いました。彼と話す内に、自分に足りていない部分はテクノロジーでの視点だったのかと改めて気付かされ、一緒にやっていこうと彼を誘いました。
会社が大きく成長できている要因として、やはりITの影響が大きいと思います。独自の査定システムや、案件管理システムといった社内業務の効率化によって、通常の半分以下の時間で仕事ができています。自分に足りていなかったテクノロジーの部分を、彼が担ってくれるおかげで、効率の良い営業や業務が実現しているのです。
代表:「本当にこの価格が適正なの?」不動産を売買されたご経験のある方で、この疑問を抱かなかった方はいないのではないでしょうか。
通常、不動産仲介といえば、不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステム、いわゆるレインズだけで取引事例を確認し、お客様に価格提示を行います。
しかし実際には、レインズに載らない取引が相当数存在し、ここ一年間に何件も取引されているはずの地域でも、レインズには5年前のデータしかないなんてことは、ザラにあったりします。ここに価格の不透明感が生まれてしまうのだと感じています。
実際、レインズの取引事例だけ見て資産価値のない"負"動産だと思われていた物件が、手を加えたら資産価値の高い不動産に蘇る等、こういう事例は何度も見てきました。
もっと高く売れたかもしれないとなれば、売主様からしても損失ですよね?
処分に困って負債になっている"負"動産を、自分なら生き返らせることができるのに、取引事例が知られていないことで、放置されてしまっているなんて勿体ない!
その想いでこの会社を設立いたしました。人とテクノロジーの総合力でこの業界を変える担い手になりたいと考えています。
代表:弊社は「不動産を買取り、再生させる事業」と「不動産データを活用したシステム構築」を手がけております。
不動産とテクノロジー、柱が2本であることが弊社の大きな特徴で、同時に強みだと感じています。
もちろん、仲介や管理といった業務も行っておりますが、現在の事業の中心は「リノベーション事業」です。例えば、弊社では相続物件を購入することが多いのですが、そういった物件は長らく人が住んでいなかったりするので設備機器などが使えなくなっていることがほとんどです。また何十年も前の規格なので、現代のニーズと大きくズレてしまっています。そういった場合に、市況を加味したフルリノベーションを施して、いま求められている価値を付加した上で販売します。
こうした中古マンションのリノベーションの他、空き家再生にも積極的に取り組んでいます。放置されている古家をたくさん買ってきましたが、売主様はもちろん、生まれ変わった物件を見た地域住民の方にも喜んでいただけており、社会貢献できているなと感じています。
また、弊社独自のシステムを駆使して、データ活用などのテクノロジー事業にも力を入れています。何がいくらで成約されているかレインズにはない取引事例もすべてデータベース化しており、それ以外にも不動産に関わる膨大なデータを収集研究して、外部システムも組み合わせるなどして社内利用しているため、瞬時に適切な査定を行うことができております。
この最新の情報や正しいデータを基にした査定システムにより、売り手が損をしない取引を可能にしました。誰でも簡単に必要な情報に瞬時にアクセスできるため、ビジネススピードも一層加速していると実感しています。
引用元:株式会社S&Yリアルティ
社内 SE:先ほど代表からもあったように、これまで表に出てこなかった取引事例などの数値データを、アナログ・デジタルひっくるめたすべての情報を「見える化」させることに力を入れています。
リアルタイムに近い新鮮な情報はもちろんのこと、過去の膨大な情報を独自のアルゴリズムによってビジュアライゼーションすることで、知りたいデータを簡単に抽出できるように最適化させています。不透明な不動産取引を可視化させることで、売り手にとっても、買い手にとっても、より妥当性のある取引を実現できていると感じています。
今流通している最新のデータを扱っているので、主にレインズでのみ情報収集されている不動産会社よりも踏み込んだ金額での買取を可能にしています。現在、勝どきで最も多くの不動産取引データを保有している会社だと自負しております。
またこの可視化によってもたらされる恩恵は、弊社だけに留めず他社様にも提供したいと考えております。どうしてもクローズドになりやすい不動産業界なので、我々が先陣を切って業界にイノベーションを起こさなければという義憤に駆られております。査定システム以外にも、MA・SFA・CRMといったセールスマーケティングツールも構築運用しているので、いろいろなシステムをご提供させて頂き、横の繋がりを広げたいとも考えています。
そうしてできた繋がりを大切しながら、人が笑顔で暮らすSustainableな街づくりの架け橋になれたら嬉しいです。
代表:独自システムによって、どんなリノベーションにニーズがあるのかトレンドを押さえることができるため、結果として売り出しから販売決済まで短期間で回転できています。出口が見えているので強気で仕入もできますし、流通する商品ラインナップが増えることで不動産市場もより活発になり好循環が生まれているなと感じます。
そんなに高く買って大丈夫なの?と心配されることもありますが、一般の不動産会社では閲覧できない最新の流通データ等をご覧になっていただくと、高値買取できる秘密が垣間見れるかと思います。高く売れたと喜んでいただけた時は業者冥利に尽きます。
販売後の物件にご招待いただくことも多いのですが、実際どの部分のリノベーションがどのように有効活用されているのか垣間見る絶好の機会だと思っています。ここが良かったあそこも良かったと、嬉しそうに案内されるのを目の当たりにすると感慨深いものがあります。買主様にも、妥協せずに満足いく物件が買えたと喜んでもらえると、やはりこの事業を続けてきて良かったと日々感じています。
代表:いつ倒壊してもおかしくない長年放置されてきたような空き家を、街づくり再生の目的で頑張って買うことも多いのですが、実は買い受けるよりもその後の方が大変だったりします。
トラブルを抱えているようであれば、近隣住民の方々と柔軟に交渉を重ねて解決し、解体・リフォームで顕現する問題なども一つ一つ丁寧にクリアしていきます。そうして何年もかけてようやく商品化にこぎつけられるなんてことも少なくありません。こういったリスクも弊社で引き受けて再生事業に取り組んでおりますので、苦労することの方が多いかもしれません(笑)。
ともすると、かける労力は多大な割に、利益は僅少となってしまうのですが、これから先も何十年とその地に残る訳ですから「納得のいく物を提供したい」という気持ちで、妥協なく手がけております。
また、高く買ってくれた分の浮いたお金で立派な家が建てることができたよと、売主様にも喜んでいただけて、弊社が掲げる「未来へ繋げる不動産売買を」という意味では結果としてはよかったのかなと(笑)。
これまで苦労しながらも精力的に再生事業に取り組んできましたが、売主様はもちろん、生まれ変わった物件を見た地域住民の方にも喜んでいただけており、社会貢献できているなと感じています。
こうした住まいの再生を通して、持続可能な社会を目指しこれからも邁進していきます。
代表:パンデミックの影響で、人々が自宅で過ごす時間を増やしたことで、リノベーションの需要は急拡大したというのは、皆さんご存じの通りかと思います。
これという画一的なトレンドがないのが近年のトレンドでしょうか、多種多様なニーズに応えるリノベーションが求められているように感じます。
例えば、3LDKから2LDKに間取り変更して開放感のあるリビングを設けて、テーブルやソファなんかも取っ払ってスペースを広くとって贅沢に使いたい。スペースに限りがある都心部のマンションでは、各自が自由に過ごせる広々とした空間づくりに需要があるようです。
反対に、とにかく部屋数が欲しい、必要最低限の広さだけを確保して自分の時間を過ごせる個室を設けてほしいというニーズがあります。自宅にこもりがちになる中で、ワークスペースとしてもプライベート空間としても既存の間取りデザインに捉われず、自由な発想で家を充実させたいというお声も数多くいただいております。
これからの時代、画一的なデザインよりも自分が良いと思えるかどうかが重要視される流れになっていくかと思います。
そうした流れからカスタマイズできるリノベーションが主流になってくると思います。とはいえ、適切な業者にたどり着くまでの道のりは長く複雑なのが実態です。
そのためにも複雑なプロセスをより簡単にし、ネットショッピングのような手軽さで提供できるようにするのが、今後の住宅リノベーション分野の課題だと考えております。
代表:2020年から2021年にかけては、不動産バブルと言えるような状態だったと思います。
ステイホームとなり、快適な住環境を求めて不動産購入を検討されたことも、1つの要因でしょう。また不動産業者も、銀行からの資金調達がしやすい状況がありました。
直近では、資材の高騰(ウッドショック)や、住宅設備の値上がりは感じます。ここ1年で見てもおよそ20%は値上がりした状況です。ウクライナ戦争、そしてコロナ禍が続けば値上がりは続くのではないでしょうか。
また、不動産につきものの内見や契約などの対面交渉が難しくなったことで、不動産業界のIT化が一足飛びに進んだと思います。
Web上での接客業務がスタンダードになりつつあり、不動産にまつわるさまざまな手続きもオンラインのみで完結できるようになっていくと思います。
代表:久しく問題視されてきた空き家ですが、実は倒壊リスクが高いものはさほど多くはありません。
例えば、全国的にも非常に空き家が多いと言われる世田谷区での実態調査によれば、適切な管理が行われていない空き家は、0.5%程度とのことだそうです。
いわゆる「特定空き家」と呼ばれる、倒壊の恐れや周辺の生活環境に悪影響を与えるような放置住宅の数は意外にも少数で、多くは物置など二次利用されているのが実態のようです。
とはいえ、団塊世代の相続によって有効利用できず放置された住宅は一気に傷んでしまいます。そうして「特定空き家」と認定されると、固定資産税が最大6倍、都市計画税で最大3倍まで課税されることになり、50万円以下の罰金を課されるケースもあります。さらには、行政代執行による解体費用で1000万円近い金額を請求されている事例もあります。
こうした空き家や古い住宅は、所有者だけではなく、その地域に住む人にとっても悩ましい問題なので、まずは一度不動産会社にご相談いただきたいですね。
代表:金利の動きについては注視しています。
アメリカは金利が上昇しており、中国も住宅金利が5%を超えている状況です。つまり海外では、不動産を購入したくてもできない層が少なくありません。
日本は低金利なので不動産購入しやすい状況ですが、仮に今後、金利が上がってきた時にどのような影響が出てくるのか。そのような動きもしっかり見ておかなければならないでしょう。
現在弊社はしっかりと利益が出て好調ですが、今後の時代の流れを考えると胃が痛くなることもありますね。
金利以外にも、アメリカではMLSと呼ばれる一般の消費者でも不動産情報をチェックすることができる不動産情報ネットワークが整備されているのですが、こうした情報の透明性を高めるようなサービスが日本でも導入されていくと感じています。
それによって不動産取引が円滑になり、より市場も活発になると思うので、先々を見越して準備しているところです。
代表:不動産業界は旧態依然とした部分があるので、ちょっとしたデジタル導入でもインパクトは大きいと思います。一気に何かを変えるのは難しいかもしれませんが、弊社がそのきっかけ作りに携われれば嬉しく思います。
そこで、まずは「プチテクノロジー」のような形で、少しずつ便利さをご提供しつつ、その規模を広げていきたいと思います。
社内 SE:インターネットが発達した現在でも不動産情報が透明になっているとは言えず、不動産取引もまだ紙ベースの状態で煩雑です。
先ほども触れたように、例えば不動産情報をMLSのように広く公開したり、取引データをブロックチェーン技術などを用いて紐付けたりすることができれば、情報の透明性が担保されるようになります。誰でもアクセスできて、紐つきで情報履歴を追っていけるようになれば、すごく便利な世界になるのではないでしょうか。
不動産業界にデジタル化の意識が浸透すれば、空き家問題の解決にも寄与するはずです。逆に言うと、デジタル化が進んでいないことが、空き家問題の解決を妨げている側面が大きいとも感じます。
ITは弊社の強みなので「ブロックチェーンのように情報のすべてにアクセスできる」「ネットショッピングのように分かりやすく売買できる」「メタバースのように直感的にリフォームできる」といったワクワクする未来を目指して、弊社としても関わっていきたいです。
代表:「空き家をなくす」「古い物件をリノベーションする」といった事業を通じて、社会貢献できる存在になりたいと思います。
弊社では古い分譲地を買って、キレイに造成する作業も手がけているので、不動産を買う人、売る人、その街に暮らすすべての人に喜んでもらえるような街づくりを担うポジションになりたいですね。
社内 SE:BtoCはもちろん、BtoBで業界の利便性向上に寄与できる存在を目指したいと思います。
不動産業者の方々は、本当に毎日深夜まで残って書類を作ったり、役所で調べものをしたりなど、煩雑で大変な作業を担っています。
そこで例えば、ちょっとでも書類が少なくなれば楽になりますし、働き方の改善にもつながります。また、営業担当がより詳細なデータをご提供できるようになれば、お客様にとってもメリットは大きいでしょう。
また、弊社独自のシステムを駆使して、データ活用などのテクノロジー事業にも力を入れています。何がいくらで成約されているかレインズにはない取引事例もすべてデータベース化しており、それ以外にも不動産に関わる膨大なデータを収集研究して、外部システムも組み合わせるなどして社内利用しているため、瞬時に適切な査定を行うことができております。
この最新の情報や正しいデータを基にした査定システムにより、売り手が損をしない取引を可能にしました。誰でも簡単に必要な情報に瞬時にアクセスできるため、ビジネススピードも一層加速していると実感しています。
代表:現実的な部分では、今、単発で1年プロジェクトの融資を組んで、利益を出して、売上と利益を作っていますが、それに一棟収益をプラスして、会社の安定した基盤を作りたいと思います。
展望の部分では、テクノロジー分野をどんどん取り入れていって、システム構築などを通じて、2本柱の収益を安定させたいです。
社内 SE:弊社独自の不動産プラットフォーム作りにチャレンジしたいです。
近年では電子契約も少しずつ出始め、利用され始めている状況なので、ゆくゆくは「自治体、業者、買う人・売る人」のみんなが一気通貫で利用できるプラットフォームが理想です。
加えて、販売、購入、登記がすべてできて、なおかつ透明性のあるサービスにできれば、大変便利なことでしょう。
これが実現できた場合は、さらにハザードマップなどの災害、水道・ガスなどのインフラなども含めて、波及できれば最高ですね。
代表:弊社は近々、私も含めて5人体制となる予定です。今後は新卒採用も考えていく予定ですので、不動産だけでなくITに興味がある方も、ぜひお問い合わせください。
社内 SE:弊社はユニークな事業形態で、会社もこれからどんどんと成長していくと思います。そこで志を共にして頂ける方と、ぜひ一緒に頑張っていきたいですね。