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東京都港区で完全非公開物件のみを扱う「株式会社リンクフロンティア」。代表取締役の尾﨑 祐司様は、独自のネットワークと柔軟な思考を武器に事業に取り組まれています。
今回は不動産業界で独立された理由、コロナ禍でもダメージを受けなかったという事業内容、業界を取り巻くさまざまな変化、将来のビジョンについてお聞きしました。
不動産業界に入ったきっかけは、前職のサラリーマン時代にあります。前職の人材事業系企業が不動産部門を立ち上げることになり、そこで初めて不動産業に携わりました。
つまり、不動産がやりたくて飛び込んだのではなくて、当時は不動産業について全くわからず「高い単価を扱う業種」くらいの認識しかありませんでした。
学生時代から起業したいとずっと思っていて「30歳までに起業する」と決めていたことが理由です。
不動産事業で起業したのは、前職の経験を通じて、自分ならできると判断したためですね。
前職で不動産の世界へ実際に飛び込み、当時の代表や上司や部下にも恵まれ、全国の仲介会社さん・管理会社さんに電話・メール・FAXをしたり、物件情報を取得して、お客様に対して不動産商品をご提案する中で、細やかでマメな資質が必要だと気づきました。
引用元:株式会社リンクフロンティア
私は非常にマメな性格なので「自分にもできるな」「もっとやりたいな」と意欲的になり、30歳のときに株式会社リンクフロンティア設立しました。
ちなみに、2020年1月に会社を作り、同年3月は海外にいたのですが、帰国して「さあ、新しい会社で頑張ろう」と思った矢先の、緊急事態宣言でした。
不動産売買に関すること全般でして、主に首都圏エリアはもちろん、全国の政令指定都市における投資用の一棟マンションや一棟ビル、マンション用地、戸建用地等、あらゆる物件情報をお預かりするので、最近では自社での保有物件も増やしているところです。
▲株式会社リンクフロンティアの事業内容
引用元:株式会社リンクフロンティア
中でも、不動産情報の仕入れがメインですので、市場に出回ることがない、未公開物件を全国各地で集めています。
主なお客様は、個人の投資家様よりも上場企業などの法人様が多く、資産の整理、物件の入れ替えといったBtoB案件を手がけております。
「これぐらいの利回りで、こんな物件があったら欲しい」といったニーズがあり次第、お力になる形ですね。
前職からのベースはありますが、独立してから新規で開拓していった部分ももちろんあります。
実際に、全国の仲介会社・管理会社など知っている業者様も多く、そこはかなりの数であると自負しています。
新規開拓に伴って蓄積されたノウハウも溜まっており、データに関しては大手様にも引けを取らない規模かと思っております。
なお、弊社が扱うのは「完全未公開物件」のみで、ホームページなどに情報は一切出しておりません。
このように、希少性のある物件情報に特化しているのが、弊社の強みであり、大きな特徴です。
先ほどお伝えしたように、BtoB案件として、法人様からご相談をいただくことが多いです。
例えば、役員クラスの方から「この物件を出して、いくら以上で売ってきてくれ」「こういう利回りの商品だったら、数ヶ月以内で買いたい」などのご相談をいただきます。
一方、個人の方からですと、離婚や相続に伴う不動産の売却などについてご相談を頂くことが多いですね。
毎日ホットなニーズを更新しながら、それにお応えしている状況です。
コロナ禍の影響で人気が出た、と感じられる間取り・部屋の仕様はありますね。
例えば、オンライン会議などに使用できる個室ブースを設けるようなリノベーションは、比較的反響があるかと思います。
また、部屋数の多い古い4LDKなどの物件などでは、間仕切りをなくして広くするリノベーションにもニーズがあります。
在宅時間が増えて、室内に広々とした開放感を求められるためか、人気です。
▲メタバースのイメージ図
それは圧倒的に「メタバース」ですね。
つまり仮想空間内、いわゆる第2の世界における不動産売買が、この10〜20年ぐらいで絶対に始まると思いますし、主要な売買チャネルのひとつになっていくかと思います。
現在、メタバースに乗り出しているのは先端企業の数社程度で、まだ一般的に普及はしていません。
もちろん、メタバース内の取引に関わる新たな法律の整備が待たれますが、これは確実に浸透してくるものかと思っています。
メタバースでの不動産売買、土地の売買、賃貸など、いずれさまざまな取引が始まるかと思いますので、私自身それに備えて、さらに勉強していきたいです。
弊社の数字(業績)への影響は、あまりありませんでした。
緊急事態宣言の出た創業当時は、基本的に仲介業(売買事業)がメインで、物件情報とお客様がいれば成り立つ事業形態だったので、幸いにもあまり影響はなかった形です。
ただ、金融機関と面談ができなかったり、お客様に会うことができなかったりなど、今まで当たり前だったことができなくなったのは大きかったです。
不動産業界への影響については、現場でよく耳にしました。コロナ禍でリモートワークが進みましたが、不動産は個人情報を扱う業界のため、それも難しい側面があります。
特に従業員を多く抱える大手不動産企業などは、かなり影響があったのではないでしょうか。今後は、コロナ禍のような状況にも順応できるよう、業界の変化が求められている時期かとは思いますね。
ウッドショックと言われる木材価格の上昇には関係しているかと思います。
日本の輸入木材の約18%がウクライナ、ロシア産と聞いています。元々コロナ禍で、ウッドショックがあったのですが、ウクライナ情勢によって、さらに拍車がかかってくるのではないかと予想します。
私は実際にマンションデベロッパー様とお仕事をさせていただくこともありますが、ウッドショックによる木材の価格の上昇で、木材を多く使用する住宅建築工事費がかなり上がってきていますね。
そういったこともあり、中古物件・中古マンションをリノベーションして、付加価値をつける動きが、さらに強くなってくるのではないでしょうか。
業界では新築販売が軒並み好調かと思いますが、弊社は基本的に中古物件しか扱っておりません。その意味では空き家問題に間接的に関わっていると言えるかと思います。
実際に、中古物件のリノベーションは需要が高く、多数手掛けております。そしてコンサルティング業務の一環として、マンションの空室問題に取り組むこともありますね。
例えば、20部屋ある1棟のマンションで「10部屋が空室」という場合に、10部屋の空室を埋めるお手伝いを通じて、お力になれるかと思っております。
ただし、空き室問題に直接的に触れているわけではないので、このような社会問題にも今後取り組んでいきたいです。
賃貸事業に関しては「賃貸のDX化」が進んでいますが、売買に関しては、DX化はなかなか難しいのではないかと思います。
今不動産を所有されているのは、ご高齢の方が多く、さらに不動産業に関わる法令がデジタル化に追いついていない部分もあります。
また、売買が数億円の規模になるケースもあり、大切なご資産ですから、そのような取引をオンラインだけで済ませるのはなかなか難しいかと思います。
弊社でもZOOMなどのオンラインに対応していますが、弊社が賃貸をほとんど扱っていないこともあり、お客様によってケースバイケースでご対応させて頂いているのが現状です。
不動産マッチングサービスについては色々試しましたが、これだと思うものには巡り会えておりません。つまり、直接的に数字につながるサービスには、まだ出会えていないという印象です。
一方、簡単に名刺交換や管理ができるアプリは非常に便利で「すごいいい時代だな」とつくづく思います。
これから、さまざまな新技術やサービスも出てくるかと思いますので、使えるものはどんどん取り入れて、使っていきたいですね。
海外の不動産には触れていきたいです。
円安の問題もあり、まだ日本の不動産の物件しか扱っていませんが、お客様に海外物件もご紹介できるように引き出しを増やしていきたいと思います。
具体的には、オーストラリアのシドニーやUAEのドバイなど、私のお客様にニーズがありそうなエリアを扱い、海外物件にも特化していきたいと考えております。 現在はご縁があってイギリスの不動産業者との提携の打診も来ています。
社名に、弊社の姿勢やビジョンが込められています。
「リンク」にはご縁や関わりの意味があり「フロンティア」には最前線や開拓者などの意味合いがありますので「ご縁や関わりを大切に、業界の最前線で走ることを止めずに、不動産業に留まらずに新規性ある意義のある事業を開拓していきたい」ですね。
驚くような新技術が登場する昨今、不動産だけでなく、さまざまな業界が過渡期、変化の時期にあります。その変化の渦中で、弊社も試行錯誤し、模索しています。
古き良きものを大切にしながら、先ほどのメタバースも含め、失敗を恐れず新しいことにチャレンジしたいですね。
■ 企業プロフィール
社名:株式会社リンクフロンティア(Link frontier Co., Ltd.)
所在地:東京都港区芝大門1-6-6 芝大門ヤマトビル 3F
事業内容:売買や賃貸・開発・仲介、損害保険代理店業、不動産コンサルティング、リノベーション事業
TEL:03-6821-1770